投稿者: Kouhaku@Table

  • 環境影響性評価への行政書士の関わり

    プロジェクトプランニングにおける環境影響性評価は、環境的損失を防ぐことに寄与します。環境破壊型開発ではなく、環境保全型開発が前提となっている今の社会において、環境影響性評価は手続き面にとどまらず、開発の成功を左右するほどの重要な意義をもっています。

    環境影響性評価は、各分野毎に深い知識をもった環境アセスメント会社がその中心的な役割を担っています。同時に、行政書士が環境影響性評価に関わることに大きな意義があります。以下一例をご紹介いたします。

    よく準備された環境影響性評価は、開発者と行政の労力を節約することになりますが、逆に環境影響性評価が十分でないと余分な時間とコストを費やすことになります。そのため環境影響性評価は開かれたアプローチで十分な議論とともに行われるべきです。環境に詳しい行政書士が環境影響性評価段階から関与する意義はそこにあり、プラニング段階から行政書士が関与することで、精度が高くて実効性のある事業計画の策定にも繋がります。

    環境アセスメント対象13事業(1.道路、2.河川、3.鉄道、4.飛行場、5.発電所、6.廃棄物最終処分場、7.埋め立て、8.干拓、9.新住宅市街地開発事業、10.工業団地造成事業、11.新都市基盤整備事業、12.流通業務団地造成事業、13.宅地の造成の事業)の詳細は環境影響評価法第2条に列挙されており、また港湾については港湾環境アセスメントの対象となります。環境影響評価法、施行令・施行規則、基本的事項、主務省令、通知等、制定・改正経緯等を詳細に読むこむだけでなく、各地域の条例含めて地域の最新の情報を入手するとともに、事前に行政とコミュニケーションできる体制も必要です。ここでも行政書士が関与する意義があります。また、データセンターを環境評価するなど、技術的に新しい動向もありますので、環境アセスメントの専門性に加えて、新たな技術・法律の両面から支援できるメンバーが必要となります。

    人口減少と超高齢化が進む日本にとって、地域のコミュニティデザインの重要性は高まり続けています。電力その他インフラ関連の開発においてはもともと地域との連携は開発において最重要テーマの一つとして地方行政との連携や地域住民との対話含めた仕組み化ができていますが、土地開発事業では地域コミュニティとの対話という点でリソースが十分でない場合もあります。適切な人物及びグループの関与という点においても、地域コミュニティとのネットワークを持つ行政書士の役割が期待できます。

    環境影響性評価は、その名の通り、環境に与える影響を評価することです。その本質は、環境に与える影響を測定することだけでなく、代替手段と比較検討した上で、環境保全にもっとも適合する手段を構築することにあります。環境アセスメントの対象となる環境要素の範囲は、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持、生物多様性の確保及び自然環境の体系的保全、人と自然との豊かな触れ合い、環境への負荷、一般環境中の放射性物質と多岐に渡り、技術的な要素だけでなく、ケーススタディ含めた多様な情報収集が必要となります。こういった多様なアプローチが必要な場合においても環境に詳しい行政書士は役割を果たすことができます。

  • Setting the Table 2025年7月26日

    観光庁 「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」

    観光地域づくり法人。
    DMO(Destination Management Organizations)
    という組織が定着しています。

    毎年開催されているツーリズムEXPOでは
    各県の魅力が、自然、特産品、歴史、その他観光資源が
    綺麗なパンフレットにまとめられています。

    こういった地域の魅力を再発掘し、
    対外的にPRする上でDMOが
    大きな役割を果たしています。

    各地域をWEBで検索すると、
    直感的でUXに優れたWEBサイトが、
    多言語で提供されています。

    これらのWEBサイトの構築の上でも
    マーケティングやソーシャルリスニングに
    優れたDMOの存在があります。

    外国人が日本の魅力を再発見する上で、
    このDMOが果たしている役割は大きいです。

    ヨーロッパをはじめ、世界中で観光誘致に
    大きな影響力を持つDMOを
    日本向けにローカライズして、
    成功をおさめていると思います。

    一方で新たな問題として
    インバウンド増加に伴うオーバーツーリズム。
    観光税として宿泊税を導入する自治体も
    増えてきましたが、
    依然として地域住民や環境に
    過剰な負担を与え、観光客の満足度を低下させる
    オーバーツーリズムは存在しています。

    高度な専門知識をもって、
    地域の魅力を再発見し、
    国や自治体と連携しながら、
    対外的に情報を発信する。
    観光に特化した
    マーケティングとマネジメント技術を持つ
    DMOに求められる役割は
    増大しています。

    環境省 「グリーンファイナンス市場の中長期的な発展に向けて」

    資本主義経済で定着している
    収益を最大化するために
    規模を追求するシステムを
    気候変動対策や生物多様性維持のための
    循環型のシステムに変更することが
    できるのか?

    その重要性を誰もが認識しながらも、
    GDP等の指標に見られるように、
    経済力は
    すなわち規模を指すという方向に
    変更はありません。

    成長・発展というサイクルを、
    循環というサイクルに
    経済システムを変更するためには、
    まずはネット・ゼロを実現しなければなりません。

    そのためには、
    環境への取り組みのために
    資金が提供される仕組みが重要です。

    この環境省からの公表資料は
    「市場参加者に期待する取組事項」
    となっており、
    直接的な政策そのものではないものの、
    国が、環境保護のための
    「自律的な」ファイナンスを
    どのように形成していくか、
    という点で非常に意味深い内容となっています。

    もちろんガイドライン等の充実や
    国際的なルール形成、
    個別の企業支援といった、
    国としての直接の取り組みもありますが、
    中小企業に融資する地域金融、
    グリーン市場における新興企業に投資をする
    機関投資家、
    その他金融市場における様々なステークホルダー
    を巻き込んだ間接的な支援体制を
    描いていることがよく分かります。

    最終的に利用者としても投資家としても
    一人ひとりの個人の参画が
    ファイナンスを回す上で重要になってくると思います。

    「中長期的」な視点で、
    どのような内容が実現していくのか、
    注目していきたいです。

  • Setting the Table 2025年7月25日

    農林水産省 「食品安全委員会 遺伝子組換え食品等専門調査会」

    病気への耐性の強い穀物を交配などの手法で
    人工的に作り出し、
    農業の生産性を高めるという手法は
    コメの品種改良などで伝統的に行われてきました。

    一方、遺伝子組み換え技術は、
    全く異なる生物種の細胞から
    有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、
    植物の細胞の遺伝子に組み込む技術です。

    従来の交配との手法とは違い、
    遺伝子組み換えでは
    このように人為的に
    新しい種を作り出しています。

    遺伝子組み換え作物は自然種とは異なるため
    人体に与える影響が立証いないため、
    人体への安全性が懸念されています。

    問題は人体への影響だけではありません。

    害虫をはじめとする微生物は
    食物連鎖において重要な役割を果たしていますが、
    遺伝子組み換え作物につく害虫に対して
    何かしらの影響を与えることになると、
    生態系そのもの、さらには
    土壌そのものにも変化をもたらす可能性があります。

    遺伝子組換え食品等専門調査会は
    今回で第266回とのこと、
    会合の内容は非公開とのことですが、
    生態系踏まえた多角的なディスカッションが
    行われていることを願います。

    経済産業省 「プラスチック使用製品設計指針に基づく4製品分野における設計認定基準」

    プラスチック資源循環促進法では、
    3R((Reduce, Reuse, Recycle) +Renewable を
    促進するために、
    以下のぞれぞの主体毎に指針が定められています。

    * 設計・製造
    * 販売・提供
    * 排出・回収・リサイクル

    設計・製造の事業者は国の指針に適合していることの認定を受けるためには、
    指定調査機関に設計調査の申請を行い、
    特に優れた設計を国が認定するという制度になっています。

    今回、
    清涼飲料用ペットボトル容器
    文具
    家庭用化粧品容器
    家庭用洗浄剤容器
    について設計認定基準が策定されました。

    清涼飲料用ペットボトルの基準を見ると、
    まず

    【ボトル】
    原料はPETのみ、
    着色はしない
    把手は着色していないPE若しくはPP
    ボトルに印刷を施さない
    【ラベル】
    PVCを使用しない
    風選又は洗浄等の再生処理の工程においてボトルと分離できる
    ラベルに用いる印刷用インキがボトル付着しない
    アルミニウムでラミネートされるラベルを使用しない
    【キャップ】
    アルミニウム又はPVCを使用しない
    比重1.0未満のPEまたはPPを主な原料をする
    ガラス玉又はパッキンを使用する場合は、その取り外し方をラベルに明示

    と記載されていいます。

    ここまでを満たしているペットボトルは多いと感じますが、
    以降、
    容器1本あたりの重量の数値基準が細かく記載されています。

    認定を受けるためには、材料から見直す必要があるペットボトルも
    あると感じます。

    基準は日本語だけでなく英語でも策定されています。

  • エコアクション21と環境経営

    エコアクション21は、環境省が定めた環境経営システムに関する第三者認証・登録制度で、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価及び環境報告をひとつに統合したものです。

    エコアクション21に取り組むことで低利融資制度を受けることができるといったメリットもあります。他にもGX(グリーントランスフォーメーション)関連融資にで、エコアクション21の認証・登録をしている企業等は特別利率が受けられるようです。

    この制度の大きなポイントはエコアクション21に取り組むことにより、中小事業者でも自主的・積極的な環境配慮に対する取組が展開でき、かつその取組結果を「環境経営レポート」として取りまとめて公表できるように工夫されている点にあります。

    環境経営とは、その名の通り、環境に配慮した経営です。環境経営では、環境問題に取り組むことがだけが目的ではなく、環境問題に取り組むことで、自社の企業価値を高めることも重要な目的となります。

    企業の社会的責任として環境対応や環境保全の重要性はいうまでもありませんが、生産活動には環境負荷は避けられません。株式を上場しているような大企業ならば、投資家向けの情報発信は企業価値向上に直結するため、環境経営推進のための特別な組織を設けることも可能です。一方で、中小事業者が環境経営に取り組むことによる企業価値向上は、大企業の場合ほどイメージを抱くことは難しいですし、環境経営という重要なテーマに専任の人材を選定できるほど人的なリソースに余裕がある中小事業者は稀であると思います。

    その点、エクアクション21においては、環境経営システムの構築・運用・維持のプロセスが明確になっており、ガイドラインにしたがって取り組みができますし、その取り組みにあたって、行政書士やその他専門家など外部リソースを活用することもできます。

    取引先である大手企業の多くが、今環境への取り組みや環境経営システムの構築を取引条件の一つとしているため、エコアクション21で環境経営システムを構築していることは、こういった大手企業の取引条件をクリアすることにもつながります。

    また、認証・登録にあたり自治体の補助を受けられたり、入札参加資格審査での加点を受けることができる場合があります。第三者機関の認証を受け、その他、ロゴマークを使用し、環境経営レポートを公表しているということは、取引先だけでなく、広く社会一般からも信頼が向上します。

    2025年7月24日現在で、認証・登録事業者数は7572社となっています。総務省統計局データによると、日本には法人が207万、個人経営が162万あるとのことなので、認証を受けた企業数は非常に少ないです。

    大切な地球の未来に貢献し、かつ、自社の企業価値を高めるために、今すぐできる活動としてエコアクション21への取り組みをお勧めします。ご支援が必要な際はお声がけをいただけますと幸いです。

  • ネイチャーポジティブ経済移行戦略と生物多様性民間参画ガイドライン

    国際統合報告評議会(IIRC)が公表している国際統合フレームワークでは、資本は

    • 財務資本
    • 製造資本
    • 知的資本
    • 人的資本
    • 社会・関係資本
    • 自然資本

    の6つに分類されています。自然資本は6つの資本のうちの一つとして企業の活動は自然に依存するとともに、その活用等により新たな価値創造の機会を得ることができるとしています。このように、自然資本は、今、事業活動にとってリスク・機会の両面でマテリアリティとして位置づけられています。

    2024 年 3 月には、環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名で「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」が策定され、ネイチャーポジティブ経済への移行の必要性、移行にあたって企業が押えるべき要素、新たなビジネス機会の具体例、ネイチャーポジティブ経済への移行に向けた国の具体施策が示されています。

    ネイチャーポジティブ経済移行戦略では以下の3点が定められています。

    • 企業の価値創造プロセスとビジネス機会の具体例
    • ネイチャーポジティブ経営への移行に当たって企業が押えるべき要素
    • 国の施策によるバックアップ

    2023年には、ネイチャーポジティブ経営に向けて生物多様性民間参画ガイドラインが定められました。ガイドラインでは基本プロセスとして、以下の4つのプロセスが整理されており、継続的な改善活動が期待されています。

    1. 社内体制を構築し、自社の事業活動・サプライチェーンが生物多様性 に及ぼす影響の把握により、経営としての重要事項を抽出
    2. その結果を踏まえ、自社としての戦略や対応方針、裏付けとなる指標・目標を設定し、目標に向けた具体的な取組を盛り込んだ計画を策定
    3. 計画等に基づいて具体的な取組を実施
    4. 定期的なモニタリングにより、 自社の取組状況を定期的に把握・分析し、計画の進捗状況や達成度を評価するとともに、必要に応じて計画の見直しに反映

    さらに横断的取組として、5. 内部の能力構築や、6.情報公開や外部ステークホルダー等とのコミュニケーションを随時実施することを推奨しています。

    このガイドラインでは、サプライチェーン上のステップ(原材料調達>生産・加工>物流>販売>保守・廃棄・リサイクル)と組織内の活動の種類(土地利用・開発、保有地管理、研究開発・イノベーション、資金調達)ごとに分類し、自社事業活動に該当するものを参照する形となっています。

    このように、大きな方向性として、各企業は、自社の事業活動が生物多様性にどのような負の影響を与えているか、自社の活動や製品・サービスの提供により負荷軽減への貢献があるか、といった内容を評価し、指標等を選定し、情報公開するようになることが求められるようになっていると言えます。

    自社の企業活動の環境への影響評価、負荷軽減への評価の指標化について、これから検討段階にある場合はご連絡をいただけますと幸いです。

  • 気候変動対策への企業の対応

    製造業がサプライチェーンを通じて気候変動対策を中心とした社会的責任を果たしていくためのプログラムが多数存在しています。以下はその一例となります。

    • RBA (Responsible Business Alliance)
    • CDP (Carbon Disclosure Project)
    • TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures/2023年解散)
    • TNFD (Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
    • PSCI (The Pharmaceutical Supply Chain Initiative) 
    • Sedex (Supplier Ethical Data Exchange)

    気候変動に関するプログラムは、継続して現状から改善を続けることで、企業が連携して地球環境を保護していくものなので、こういったプログラムのメンバーであることは、地球環境を守るというミッションに取り組むメンバーの一員であるということの証明にすぎず、お墨付きを得ているわけではないので、ISOのような認証とは異なります。しかしながら、こういったプログラムに参画することは海外投資家からの投資を呼び込む上でも欠かせなくなってきています。

    新しい動きとして、EUにおいてはCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)という制度が始まっています。以下European CommissionのWEBから抜粋です。このCSRDは自発的に参加するプログラムとは異なり、EU域内でビジネスをする企業にとって義務であり、監査の対象となります。

    What the EU is doing and why

    EU law requires companies above a certain size to disclose information on what they see as the risks and opportunities arising from social and environmental issues, and on the impact of their activities on people and the environment.

    This helps investors, civil society organisations, consumers and other stakeholders to evaluate the sustainability performance of companies, as part of the European green deal.

    The first companies subject to the Corporate Sustainability Reporting Directive (CSRD) have to apply the new rules for the first time in the 2024 financial year, for reports published in 2025.

    Companies subject to the CSRD have to report according to European Sustainability Reporting Standards (ESRS). The standards are developed in a draft form by the EFRAG, previously known as the European Financial Reporting Advisory Group, an independent body bringing together various different stakeholders.

    上記に記載のある通り、2025年からEuropean Sustainability Reporting Standards (ESRS)に従った報告が必要となります。

    ESRSで報告が義務化される内容はEFRAGのWEBの”Sustainability Reporting”に更新されるはずです。2024年9月19日にドラフトが公開されてPublic Commentが受け付けられ、2025年6月20日付けリリースではドラフトよりも報告義務とするデータポイントを50%以上削減する方向で簡素化の検討が進められているようです。ミーティングの内容含めて、EFRAGのWEBで公開されています。

    ヨーロッパ域内で事業を行う企業は対象となり得ますので、ESRSの動向をチェックしておく必要があります。

  • Setting the Table 2025年7月24日

    総務省 「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」

    この資料によると2024年のメタバース市場は
    全世界で744億ドル(約11兆円)
    国内で9,100億円

    とのこと。
    すでに巨大な市場です。

    2024年の国内市場データを見ると、
    土木建築が最も大きく2,475億円、
    職場教育(1,847億円)
    オフィス・ワークプレイス(1,608億円)
    ライブ・エンターテインメント・ゲーム(1,330億円)
    と続いています。

    メタバースがバーチャル空間だけでなく、
    フィジカルに影響を与える形で
    市場が拡大していることがわかります。

    メタバースは
    バーチャル空間をリアルに近い環境
    として実現できる技術です。

    ゲーム等エンターテインメントの世界では、
    バーチャル空間の世界が広がり、
    そこで出会いや取引が成立することになります。
    バーチャル空間内で新しい決済手法や流通等が
    創出されると、それらはフィジカル空間のような制約がないため
    無限に無秩序に広がる可能性があります。

    建設、農業等の世界では、
    現実世界に近い環境をバーチャル空間に作り出すことで
    シミュレーションが可能となります。
    メタバースの技術が高まれば高まるほど、
    シミュレーションの精度が高まり、
    フィジカル空間への投資はリスクをより低減させる
    効率性の高いものになると思います。

    この資料では、
    メタバースについて、活用、リスク、技術等、
    多角的に検討されており、
    諸外国の動向も整理されています。

    SNSが政治家にとって重要な情報発信のツールになったように、
    民間の技術が、新しい常識を創造する可能性もあります。
    メタバースというポテンシャルのある技術を、
    課題解決のために活かすという方向性に基づき、
    今後行政からどのような情報が提供されるか、注目です。

    金融庁 「投資運用業等 登録手続ガイドブック」

    新NISAで投資家の裾野が広がりました。
    長期、分散、積立のキーワードで、
    短期的な損益にとらわれず、
    毎月一定額を投資に回すようになった方も少なくないと思います。

    年金や投資信託等の運用を行うのがアセットマネジメント。

    金融庁は
    「高度な専門性をもって資産運用機能を担う
    アセットマネージャー等の存在は、
    我が国の資本市場の活性化や
    国民の安定的な資産形成を実現する上で極めて重要であり、
    その国内金融市場への参入に当たっての負担を軽減し、
    金融商品取引業者の新規参入の円滑化を図ることは、
    かかる目的を達成するために不可欠」
    と述べています。

    投資運用業、投資助言、代理業、第二種金融商品取引業、
    第一種金融取引業への登録を行うためのガイドブックが
    日本語と英語で提供されています。
    日本で資産運用機能を担うアセットマネージャーには、
    外国人も含まれるということを念頭においてのことと思います。

    日本のアセットマネジメント会社も、
    英語で情報を提供するようになっています。

    日本での資産運用が量と質の両面から成長するために、
    新たなステージに入っていることを感じます。

    消費者庁 「PIO-NETデータを用いた消費生活相談の地域傾向分析」

    年代別に消費生活相談の地域傾向を分析した内容が
    日本地図にまとめられています。

    年代別に相談内容が全く異なっています。
    一方で地域間の相違はそんなに大きくないように感じます。

    ●19歳以下
    オンラインゲームへの課金による高額請求
    アプリを通じた決済や解決方法

    ●20〜39歳
    動画サイトやSNS広告をきっかけとした契約
    副業や商品の購入に関して、解約や返金の手続き

    ●40〜64歳
    定期購入と判明したため解約を求めるが電話での解約方法がわからない

    ●65歳以上
    自宅固定電話への不審な電話
    住宅の工事
    ネット通販の定期購入

    消費者が消費行動をするチャネルが
    40歳以下で全国的にインターネット経由になっていることを感じます。

    証券口座を乗っ取られて、不正に株式を売買される被害が相次いだように、
    デジタル社会では、
    いつどこで、気が付かないうちにどんな被害にあうか分かりません。
    正しい知識を持って、正しい手続きをしたとしても、
    新しい被害は発生し続けると思います。

    デジタル化の推進とともに、
    消費者をどのように守っていくか、
    ということも大きな論点です。

  • ドローンを飛ばすには許可は必要?

    土木建築の現場や農業でドローンが使われるようになっています。ドローンを購入して、いざ現場で利用しようと思ったら、許可が降りなかった、ということは避ける必要があります。

    ドローンの飛行に許可が必要かどうか、簡潔に説明させていただきます。

    関係する法律

    無人航空機の飛行は航空法で規制されています。無人航空機とは「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船 であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることが できるもの(100g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」です。いわゆるドローン(マルチローター)、ラジコン機(飛行機) 、農薬散布用ヘリコプター(ヘリコプター)等が該当します。

    屋外を飛行させる100g以上のすべての無人航空機は、登録を申請し、機体に登録記号を表示し、リモートID機能を備えることが法律で義務づけられています。

    その上で、飛行許可・承認が必要ない非特定飛行(カテゴリーⅠ飛行)と飛行許可が必要な特定飛行(カテゴリーⅡ及びカテゴリーⅢ)に分かれます。特定飛行(カテゴリーⅡ及びカテゴリーⅢ)は、航空法で規制されている空域や方法で無人航空機を飛行させる場合で、 技能証明を持った者が機体認証を有する無人航空機を飛行させる一部の場合を除き飛行許可・承認申請手続きを行い、あらかじめ国土交通大臣の 許可・承認を受ける必要があります。適切な許可・承認を得ずに飛行させる等した場合は懲役または罰金の対象となります。なお、無人航空機はカテゴリーⅢ飛行を除き、第三者の上空を飛行できません。

    特定飛行に該当する空域

    • 150m以上の上空
    • 人口集中地区の上空
    • 緊急用務空域

    特定飛行に該当する飛行の方法

    • 夜間での飛行
    • 目視外での飛行
    • 人または物件と距離を確保できない飛行
    • 催し場所上空での飛行
    • 危険物の輸送
    • 物件の投下

    無人航空機の飛行許可・承認申請

    以下のいずれか一つに該当する場合は、カテゴリⅡとして許可・承認申請が必要です。

    • 空港等の周辺
    • 150m以上の上空
    • 催し場所の上空
    • 危険物の輸送
    • 物件の投下

    上記のいずれにも該当しない場合でも、以下いずれに該当する場合は、第二種機体認証以上及び二等操縦者技能証明以上を有しない場合、カテゴリⅡとして許可・承認申請が必要です。

    • 人口集中地区
    • 夜間での飛行
    • 目視外での飛行
    • 人または物件との距離が30m未満

    レベル4飛行は有人地帯(第三者上空)での補助者なし目視外飛行を指します。レベル4飛行においては、第一種機体認証及び一等操縦者技能証明を有しない場合は、いずれにしても飛行不可です。第一種機体認証及び一等操縦者技能証明を有する場合、カテゴリⅢとして許可・承認申請が必要となります。

    国土交通省航空局の提供するドローン情報基盤システムですべての手続きが可能です。

    ご不明な点はお問い合わせをいただけますと幸いです。

  • 環境配慮契約法

    環境配慮契約法は、国や独立行政法人、国立大学法人、地方公共団体等の公共機関が契約を結ぶ際に、価格に加えて環境性能を含めて総合的に評価し、もっとも優れた製品やサービス等を提供する者と契約する仕組みを作り、もって、環境保全の技術や知恵が経済的にも報われる、新しい経済社会を構築することを目指し2007年11月に施行されました。

    国の機関や独立行政法人等が契約する内容として以下のものが列挙されています。

    • 電気の供給を受ける契約
    • 自動車の購入及び賃貸借にかかる契約
    • 船舶の調達に係る契約
    • 建築物に係る契約
    • 建築物の設計に係る契約
    • 建築物の維持管理に係る契約
    • 建築物の回収に係る契約
    • 産業廃棄物の処理に係る契約
    • 環境に配慮したOA機器の調達

    詳細は2023年2月の「環境配慮契約法に基づく基本方針」、2025年2月の「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(環境配慮契約法基本方針)関連資料」に記載されています。

    この環境配慮契約法に基づく基本方針は必要に応じて見直しを行うこととされており、令和7年度も「令和7年度環境配慮契約法基本方針検討会」が開催されています。

    国の機関や独立行政法人等に供給をしようとする事業者は、この基本方針を理解した上で、適合する内容で提案を行う必要があることになります。

    例えば、電気の供給を受ける契約では、入札に参加する者に必要な資格として、温室効果ガス等の排出の程度を示す係数、環 境への負荷の低減に関する取組の状況(再生可能エネルギーの導入状況、未利用エネルギーの活用状況)並びに電源構成及び温室効果ガス等の排出の程度を示す係数の開示の状況等を定めることが必要です。

    また、建築の設計に係る契約については温室効果ガス等の排出の削減に配慮する内容を含む技術提案が求められ、

    • 設計成果に求める施設の長寿命化、省エネルギー・省資源、自然エネルギーの利用、環境負荷低減に配慮した木材等の資機材の利用等を踏まえた環境保全性能
    • 必 要に応じ、エネルギー管理機能の導入

    等を契約図書に明記するものと定められています。建築物の維持管理に係る契約においても温室効果ガス等の排出の削減に配慮した内容を契約図書に明記するものとされています。建築物の改修に係る契約についてはESCO事業とその他の省エネ回収事業に係る契約と分けて定められており、その他の省エネ改修事業の立案に当たっては、当該施設の運用段階におけるエネ
    ルギー消費量等のデータの活用に努めるとともに、必要に応じ、改修後の維持管理における運用改善に資するエネルギー管理機能の拡充を図るものとする、とされています。

    産業廃棄物の処理に係る契約については、入札に参加する者に必要な資格として、温室効果ガス等の排出削減に関する取組の状況並びに適正な産業廃棄物処理の実施に関する能力及び実績等を定めた上で、裾切り方式によるものとする、とされています。

    このように、国及び国の機関と契約をする際には、「温室効果ガス等の排出削減」の効果が価格同様の競争入札の要件となっております。国及び国の機関と契約をするにあたって、提供しようとする財・サービスについて、どれくらいの温室効果ガス削減効果を期待することができるか、示すことができる必要があります。

  • Setting the Table 2025年7月23日

    農林水産省 「食育実践優良法人制度」

    経済産業省の行う「健康経営優良法人制度」は、
    企業に健康経営を定着させる上で大きな役割を果たしました。

    従業員の健康に投資する
    その投資のリターンは、
    従業員が健康になる
    というだけでなく、
    企業の業績が向上する。

    ちょうど人的資本経営の重要性が唱えられたタイミングとも一致し、
    健康経営優良法人に認定された企業、
    その中でも健康経営銘柄に認定された企業は、
    株式市場で高い評価を受け、
    財務諸表の数値上の経営状態だけでなく、
    新しい企業評価の基準を提供しました。

    農林水産省は、健康経営優良認定制度に
    申請している法人のうち、
    従業員に対して「食生活の改善」に資する取り組みを実施し、
    かつ、複数の条件を満たした法人を
    「食育実践優良法人」として認定する制度を開始しました。

    健康経営は、従業員一人ひとりに
    健康の大切さを認識してもらう上で、
    大きな役割を果たしています。
    食育実践は、どうように、食育の大切さを
    認識してもらうきっかけになるでしょうか?

    もしなれば、フードロスの削減、
    地産地消など、健康以外のテーマについても、
    従業員の関心が高まる効果が期待できます。

    国民一人一人が、
    ほんの少しだけ、
    何かに前向きに取り組むことができれば、
    社会はよくなります。
    そういったことを目指した行政の取り組みには、
    積極的に関与していきたいものです。

    国土交通省 「荷主・物流事業者間の輸出入通関依頼を円滑に」

    FedEX、DHL、EMSなど、ドア ツー ドアで
    国を超えて貨物が届くサービスが多数存在しています。

    小口貨物で、関税がかからず、個人消費目的ならば、
    こういったサービスでダイレクトに貨物を輸出入できることもあり、
    越境ECのようなサービスも発展し、決済方法の多様化で、
    ますます便利になっています。

    しかしこれは輸出入全体の極々一部の話。

    通関手続きのためには事前の許可や承認を得なければ
    ならないのが大前提です。
    そして、輸出入する危険物、食品の検疫など
    輸出入する製品によって用意すべき書類も手続きも異なります。

    今回、行政のシステムと民間のシステムが
    相互に連携することになりました。
    これにより港湾関連手続きの利便性が向上することになります。

    「もの」と「カネ」以外にも「書類」の流れが必要な輸出入。
    この「書類」の手続きには行政が関与します。
    行政が関与する手続きの利便性が高まると、
    生産性は向上します。

    システムを提供する側にとっては、
    もっと生産性を向上させるアイデアを提供することによって、
    新しいビジネスを創出するチャンスでもあると言えます。