カテゴリー: 環境

  • Setting the Table 2026年4月8日

    環境省
    今後の廃棄物処理制度のあり方について

    廃棄物の処理について以下の3点で対策を講じることが検討されています。

    • 雑品スクラップや使用済鉛電池等
    • PCB廃棄物
    • 災害廃棄物

    中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会で議論が重ねられ、
    一定の方向性が指し示されたうえで意見具申が行われました。

    意見具申の概要について以下記載させていただきます。

    <不適正スクラップヤード対策>

    【課題】

    平成29年の廃棄物処理法の改正により有害使用済機器保管等届出制度が創設され、当該機器の保管又は処分を業として行う場合に届出が義務付けられました。

    しかしながら対象機器が家電リサイクル法及び小型家電リサイクル法の対象機器となっていることから、金属スクラップが対象外となり、不適正な保管や処理が問題になっています。

    これらの対象外のスクラップ等については、現在各自治体が再生資源物の保管に関する規制条例を制定していますが、法制度により不適正スクラップヤード対策を行うことが求められています。

    【方向性】

    • 全国で統一的な制度の創設
    • 金属やプラスチックが含まれる使用済の物品に対して包括的に制度の網をかけられる定義づけを行う
    • 生活環境保全上の配慮がなされていること等が確認できない事業者の新規参入を禁止し、不適正な処分が確認された場合には取消等により厳格に対処、事前審査制の導入、罰則強化
    • 帳簿への記載を義務付けることによりトレーサビリティを強化
    • 使用済鉛蓄電池について、国内処理原則を適用し、輸出にあたっては環境大臣の確認を得る

    <使用済リチウム蓄電池等への対応>

    【課題】

    スクラップヤード、一般廃棄物及び産業廃棄物収取運搬車両や処理施設の火災の原因となっています。

    令和5年度市町村の廃棄物処理施設等で約2万件発生、発火事故による自治体の廃棄物処理施設の被害総額は年間約100億円とも推計されています。

    【方向性】

    収集運搬や保管時に他のものと区別することや産業廃棄物の委託契約においてリチウム蓄電池等の含有のうむを明確にするための仕組みの導入

    <再生材供給のサプライチェーン強靭化の推進>

    【方向性】

    • 不適正な処理が行われるスクラップヤードを規制することによりこれにつながる商流を立つ
    • 再生材製造の原料の安定調達のための物流網の効率化
    • 適正かつ競争力のあるリサイクルを行う再生材製造拠点の構築

    <PCB廃棄物>

    【現行制度】

    • PCB廃棄物を保管する事業者は廃棄物処理法及びPCB特措法に基づき届出や期間内処分又は処分委託が義務付けられている
    • 高濃度PCB廃棄物はJESCO法に基づき中間貯蔵・環境安全事業株式会社が処理を行なっているが令和8年3月末で処理事業を終了
    • 低濃度PCB廃棄物については、令和9年3月待つまでに自ら処分又は処分委託が義務付けられている。

    【方向性】

    • PCBの適正な管理体制の確保
    • 高濃度PCB廃棄物の新たな処理体制の確保
    • 低濃度PCB使用製品に係る管理制度の創設及び低濃度PCB疑い製品に係る措置
    • 建築物・設備にかかる低濃度PCB廃棄物の計画的な処理に係る措置

    <災害廃棄物>

    【現行制度】

    • 東日本大震災からの教訓や災害廃棄物処理における課題を踏まえ、平成27年度の廃棄物処理法等の改正により、措置の拡充がなされた
    • 平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨等における災害廃棄物処理対策を実施

    【課題】

    • 災害廃棄物処理計画について、仮置場候補地の選定、水害の被害想定、民間団体との協定締結など、同計画に盛り込むべき重要事項の反映が不十分
    • 災害時には大量の廃棄物が発生し、市町村の廃棄物最終処分場だけでなく民間の廃棄物処分場も活用する必要があり、民間最終処分場での災害廃棄物受入れを促進するための制度的措置が必要

    【方向性】

    • 公費解体・災害廃棄物処理を横断的に調整支援する専門支援機能の規定整備
    • 一般廃棄物処理計画・災害支援協定に基づく災害廃棄物処理に係る特例措置等の整備
    • 廃棄物最終処分場での災害廃棄物の受入容量確保に係る特例制度の創設

    <所感>

    廃棄物処理法は清掃法を全部改正して1970年に制定されました。

    その後、1976年、1991年、1997年、2000年、2003年、2004年、2005年、2006年、2010年、2015年、2017年と頻繁に改正がなされています、

    廃棄物処理法は社会における新たな要請や法的規制の不備に応じて法政策を作り上げていくという性質があると言えます。

    制度が体系的に形作られているので、改正時の社会的事情を読み取ることができます。

    今回の意見具申からは、産業廃棄物処理をサプライチェーンとして位置付ける方向性を感じます。

    2000年に制定された循環基本法では、再使用を最優先に、再生利用を次に、その次に熱回収、適正処分を優先順位としては最後に位置付けています。

    廃棄物処理法においても、循環を前提とした体系に向かっていると言えるでしょう。

    また、市町村の処分場と民間の処分場の連携がこれからますます重要になっていくことになることも感じます。