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  • 外国人患者受け入れ

    在留外国人の方の数が増えています。訪日外国人の方の数も増えています。2025年度はともに過去最高を更新する見込みとなっています。

    同時に、来日中に医療を必要とする外国人の方も増えています。

    厚生労働省では2010年度から外国人患者受け入れ体制の整備を進めてきています。今回はJMIP(外国人患者受入医療機関認証制度)についてご紹介します。

    JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)とは

    Japan MedicalAssociation for International Patientsの略です。外国人患者の受け入れ体制が整備された医療機関が審査を受けて認証を受けます。

    JMIPでは、在留外国人、訪日外国人含め、すべての外国人が医療機関を受診するケースが対象となります。

    認証期間は3年となり更新審査による認証更新が可能です。

    JMIPの認証要件

    認証を受けるためには、医療機関は以下の体制を構築する必要があります。

    • 受け入れ体制
      • 外国人患者に関する情報収集と受入 れ体制
      • 医療費の請求や支 払いに関する対応
    • 患者サービス
      • 通訳(会話における多言語対応)体制の 整備
      • 翻訳(文書での多言語対応)体制の整備
      • 院内環境の整備
      • 患者の宗教・習慣の違いを考慮した食事への対応
    • 医療提供の運営
      • 外国人患者への医療提供に関する運営
      • 説明と同意 (インフォームドコンセント)
    • 組織体制と管理
      • 外国人患者受入れに関する議論と担 当者の配置
      • 安全管理体制
    • 改善に向けた取り組み
      • 院内スタッフへの教育・ 研修
      • 外国人患者の満足度向上への取り組み

    JMIP認証のメリット

    医療機関の規模は必ずしも認証の要件となっておらず、必ずしも大規模病院でなくてもJMIPの認証を受けることは可能です。

    JMIPの認証を受けるとJMIP認証医療機関であることを自ら発信できるだけでなく、JNTO等の政府機関がWEBサイトで訪日外国人向けに医療機関検索の際に表示をしたり厚生労働省と観光庁の連名で全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会宛に通知がされるなど、外国人、地域機関、周辺ホテル等への認知度と信頼度が向上することになります。

    こういった対外的な意義だけでなく、認証プロセスを経ることにより、自院の体制強化に取り組めることの意義は大きいと思います。JMIP認証を受けた医療機関であるか否かにかかわらず、外国人患者が受診に訪れる機会はこれから増えていくことになります。その際に、認証プロセスを経た医療機関の場合は、自院のスタッフが落ち着いた対応を取ることができ、また外国人の患者の方にとっても安心に医療を受けることができます。

    多言語対応

    認証を受ける上で多言語対応は必要不可欠です。一方で訪日外国人の国籍を多様化しておりすべての言語に対応することはたとえ十分な資本と時間があったとしても困難であり、ほとんどの医療機関には多言語対応は一つの大きなハードルと言えます。

    しかしながら今は機械翻訳の精度が高まっており、生成AIも機械翻訳と同等またはそれ以上の精度でアウトプットができるようになっています。WEBサーバで毎回多言語対応しなくても多言語サーバ側で多言語コンテンツを自動的に更新できるようなサービスもあるので、ホームページの多言語化のハードルはどんどん下がっています。実際にホームページの多言語化をアウトソースして完全に自動化している医療機関も存在しています。

    文書類については厚生労働省が問診票、説明文書、コミュニケーションツールなどの医療文書を13言語(英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、韓国語、ウクライナ語、ヒンディー語、インドネシア語、ネパール語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、アラビア語)に翻訳、専門家による検証を経てホームページで公開しています。こちらをそのまま使うことも、カスタマイズして使うことも可能です。

    ホームページや文書類だけではコミュニケーションが十分でない場合に備えて、英語など主要な言語については通訳者を活用できる体制を整えておくことが必要と言えます。

    所感

    外国人の方が日本で安全、安心に過ごしていただくことができることも、日本の大きなコンテンツ力の一つであると思います。そのためには、どの地域にいても外国人が安心して医療を受けることができることが必要と思います。

    奈良公園周辺で通訳ボランティアをさせていただいていると鹿と触れ合った際に怪我をされた外国人の方が少なからずいらっしゃり、日本人が怪我をされるよりもはるかに頻度は高いと思います。

    外国人の方を受け入れることができる地域の医療機関の存在と、そういった医療機関の情報が訪日、在留外国人にきちんと周知される仕組みが重要であり、そのためには医療機関だけでなく、自治会、消防、通訳ボランティア含めた地域の様々な当事者の連携の促進が求められていると思います。