カテゴリー: 環境

  • 環境影響性評価への行政書士の関わり

    プロジェクトプランニングにおける環境影響性評価は、環境的損失を防ぐことに寄与します。環境破壊型開発ではなく、環境保全型開発が前提となっている今の社会において、環境影響性評価は手続き面にとどまらず、開発の成功を左右するほどの重要な意義をもっています。

    環境影響性評価は、各分野毎に深い知識をもった環境アセスメント会社がその中心的な役割を担っています。同時に、行政書士が環境影響性評価に関わることに大きな意義があります。以下一例をご紹介いたします。

    よく準備された環境影響性評価は、開発者と行政の労力を節約することになりますが、逆に環境影響性評価が十分でないと余分な時間とコストを費やすことになります。そのため環境影響性評価は開かれたアプローチで十分な議論とともに行われるべきです。環境に詳しい行政書士が環境影響性評価段階から関与する意義はそこにあり、プラニング段階から行政書士が関与することで、精度が高くて実効性のある事業計画の策定にも繋がります。

    環境アセスメント対象13事業(1.道路、2.河川、3.鉄道、4.飛行場、5.発電所、6.廃棄物最終処分場、7.埋め立て、8.干拓、9.新住宅市街地開発事業、10.工業団地造成事業、11.新都市基盤整備事業、12.流通業務団地造成事業、13.宅地の造成の事業)の詳細は環境影響評価法第2条に列挙されており、また港湾については港湾環境アセスメントの対象となります。環境影響評価法、施行令・施行規則、基本的事項、主務省令、通知等、制定・改正経緯等を詳細に読むこむだけでなく、各地域の条例含めて地域の最新の情報を入手するとともに、事前に行政とコミュニケーションできる体制も必要です。ここでも行政書士が関与する意義があります。また、データセンターを環境評価するなど、技術的に新しい動向もありますので、環境アセスメントの専門性に加えて、新たな技術・法律の両面から支援できるメンバーが必要となります。

    人口減少と超高齢化が進む日本にとって、地域のコミュニティデザインの重要性は高まり続けています。電力その他インフラ関連の開発においてはもともと地域との連携は開発において最重要テーマの一つとして地方行政との連携や地域住民との対話含めた仕組み化ができていますが、土地開発事業では地域コミュニティとの対話という点でリソースが十分でない場合もあります。適切な人物及びグループの関与という点においても、地域コミュニティとのネットワークを持つ行政書士の役割が期待できます。

    環境影響性評価は、その名の通り、環境に与える影響を評価することです。その本質は、環境に与える影響を測定することだけでなく、代替手段と比較検討した上で、環境保全にもっとも適合する手段を構築することにあります。環境アセスメントの対象となる環境要素の範囲は、環境の自然的構成要素の良好な状態の保持、生物多様性の確保及び自然環境の体系的保全、人と自然との豊かな触れ合い、環境への負荷、一般環境中の放射性物質と多岐に渡り、技術的な要素だけでなく、ケーススタディ含めた多様な情報収集が必要となります。こういった多様なアプローチが必要な場合においても環境に詳しい行政書士は役割を果たすことができます。

  • エコアクション21と環境経営

    エコアクション21は、環境省が定めた環境経営システムに関する第三者認証・登録制度で、環境マネジメントシステム、環境パフォーマンス評価及び環境報告をひとつに統合したものです。

    エコアクション21に取り組むことで低利融資制度を受けることができるといったメリットもあります。他にもGX(グリーントランスフォーメーション)関連融資にで、エコアクション21の認証・登録をしている企業等は特別利率が受けられるようです。

    この制度の大きなポイントはエコアクション21に取り組むことにより、中小事業者でも自主的・積極的な環境配慮に対する取組が展開でき、かつその取組結果を「環境経営レポート」として取りまとめて公表できるように工夫されている点にあります。

    環境経営とは、その名の通り、環境に配慮した経営です。環境経営では、環境問題に取り組むことがだけが目的ではなく、環境問題に取り組むことで、自社の企業価値を高めることも重要な目的となります。

    企業の社会的責任として環境対応や環境保全の重要性はいうまでもありませんが、生産活動には環境負荷は避けられません。株式を上場しているような大企業ならば、投資家向けの情報発信は企業価値向上に直結するため、環境経営推進のための特別な組織を設けることも可能です。一方で、中小事業者が環境経営に取り組むことによる企業価値向上は、大企業の場合ほどイメージを抱くことは難しいですし、環境経営という重要なテーマに専任の人材を選定できるほど人的なリソースに余裕がある中小事業者は稀であると思います。

    その点、エクアクション21においては、環境経営システムの構築・運用・維持のプロセスが明確になっており、ガイドラインにしたがって取り組みができますし、その取り組みにあたって、行政書士やその他専門家など外部リソースを活用することもできます。

    取引先である大手企業の多くが、今環境への取り組みや環境経営システムの構築を取引条件の一つとしているため、エコアクション21で環境経営システムを構築していることは、こういった大手企業の取引条件をクリアすることにもつながります。

    また、認証・登録にあたり自治体の補助を受けられたり、入札参加資格審査での加点を受けることができる場合があります。第三者機関の認証を受け、その他、ロゴマークを使用し、環境経営レポートを公表しているということは、取引先だけでなく、広く社会一般からも信頼が向上します。

    2025年7月24日現在で、認証・登録事業者数は7572社となっています。総務省統計局データによると、日本には法人が207万、個人経営が162万あるとのことなので、認証を受けた企業数は非常に少ないです。

    大切な地球の未来に貢献し、かつ、自社の企業価値を高めるために、今すぐできる活動としてエコアクション21への取り組みをお勧めします。ご支援が必要な際はお声がけをいただけますと幸いです。

  • ネイチャーポジティブ経済移行戦略と生物多様性民間参画ガイドライン

    国際統合報告評議会(IIRC)が公表している国際統合フレームワークでは、資本は

    • 財務資本
    • 製造資本
    • 知的資本
    • 人的資本
    • 社会・関係資本
    • 自然資本

    の6つに分類されています。自然資本は6つの資本のうちの一つとして企業の活動は自然に依存するとともに、その活用等により新たな価値創造の機会を得ることができるとしています。このように、自然資本は、今、事業活動にとってリスク・機会の両面でマテリアリティとして位置づけられています。

    2024 年 3 月には、環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名で「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」が策定され、ネイチャーポジティブ経済への移行の必要性、移行にあたって企業が押えるべき要素、新たなビジネス機会の具体例、ネイチャーポジティブ経済への移行に向けた国の具体施策が示されています。

    ネイチャーポジティブ経済移行戦略では以下の3点が定められています。

    • 企業の価値創造プロセスとビジネス機会の具体例
    • ネイチャーポジティブ経営への移行に当たって企業が押えるべき要素
    • 国の施策によるバックアップ

    2023年には、ネイチャーポジティブ経営に向けて生物多様性民間参画ガイドラインが定められました。ガイドラインでは基本プロセスとして、以下の4つのプロセスが整理されており、継続的な改善活動が期待されています。

    1. 社内体制を構築し、自社の事業活動・サプライチェーンが生物多様性 に及ぼす影響の把握により、経営としての重要事項を抽出
    2. その結果を踏まえ、自社としての戦略や対応方針、裏付けとなる指標・目標を設定し、目標に向けた具体的な取組を盛り込んだ計画を策定
    3. 計画等に基づいて具体的な取組を実施
    4. 定期的なモニタリングにより、 自社の取組状況を定期的に把握・分析し、計画の進捗状況や達成度を評価するとともに、必要に応じて計画の見直しに反映

    さらに横断的取組として、5. 内部の能力構築や、6.情報公開や外部ステークホルダー等とのコミュニケーションを随時実施することを推奨しています。

    このガイドラインでは、サプライチェーン上のステップ(原材料調達>生産・加工>物流>販売>保守・廃棄・リサイクル)と組織内の活動の種類(土地利用・開発、保有地管理、研究開発・イノベーション、資金調達)ごとに分類し、自社事業活動に該当するものを参照する形となっています。

    このように、大きな方向性として、各企業は、自社の事業活動が生物多様性にどのような負の影響を与えているか、自社の活動や製品・サービスの提供により負荷軽減への貢献があるか、といった内容を評価し、指標等を選定し、情報公開するようになることが求められるようになっていると言えます。

    自社の企業活動の環境への影響評価、負荷軽減への評価の指標化について、これから検討段階にある場合はご連絡をいただけますと幸いです。

  • 気候変動対策への企業の対応

    製造業がサプライチェーンを通じて気候変動対策を中心とした社会的責任を果たしていくためのプログラムが多数存在しています。以下はその一例となります。

    • RBA (Responsible Business Alliance)
    • CDP (Carbon Disclosure Project)
    • TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures/2023年解散)
    • TNFD (Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)
    • PSCI (The Pharmaceutical Supply Chain Initiative) 
    • Sedex (Supplier Ethical Data Exchange)

    気候変動に関するプログラムは、継続して現状から改善を続けることで、企業が連携して地球環境を保護していくものなので、こういったプログラムのメンバーであることは、地球環境を守るというミッションに取り組むメンバーの一員であるということの証明にすぎず、お墨付きを得ているわけではないので、ISOのような認証とは異なります。しかしながら、こういったプログラムに参画することは海外投資家からの投資を呼び込む上でも欠かせなくなってきています。

    新しい動きとして、EUにおいてはCSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive)という制度が始まっています。以下European CommissionのWEBから抜粋です。このCSRDは自発的に参加するプログラムとは異なり、EU域内でビジネスをする企業にとって義務であり、監査の対象となります。

    What the EU is doing and why

    EU law requires companies above a certain size to disclose information on what they see as the risks and opportunities arising from social and environmental issues, and on the impact of their activities on people and the environment.

    This helps investors, civil society organisations, consumers and other stakeholders to evaluate the sustainability performance of companies, as part of the European green deal.

    The first companies subject to the Corporate Sustainability Reporting Directive (CSRD) have to apply the new rules for the first time in the 2024 financial year, for reports published in 2025.

    Companies subject to the CSRD have to report according to European Sustainability Reporting Standards (ESRS). The standards are developed in a draft form by the EFRAG, previously known as the European Financial Reporting Advisory Group, an independent body bringing together various different stakeholders.

    上記に記載のある通り、2025年からEuropean Sustainability Reporting Standards (ESRS)に従った報告が必要となります。

    ESRSで報告が義務化される内容はEFRAGのWEBの”Sustainability Reporting”に更新されるはずです。2024年9月19日にドラフトが公開されてPublic Commentが受け付けられ、2025年6月20日付けリリースではドラフトよりも報告義務とするデータポイントを50%以上削減する方向で簡素化の検討が進められているようです。ミーティングの内容含めて、EFRAGのWEBで公開されています。

    ヨーロッパ域内で事業を行う企業は対象となり得ますので、ESRSの動向をチェックしておく必要があります。

  • 環境配慮契約法

    環境配慮契約法は、国や独立行政法人、国立大学法人、地方公共団体等の公共機関が契約を結ぶ際に、価格に加えて環境性能を含めて総合的に評価し、もっとも優れた製品やサービス等を提供する者と契約する仕組みを作り、もって、環境保全の技術や知恵が経済的にも報われる、新しい経済社会を構築することを目指し2007年11月に施行されました。

    国の機関や独立行政法人等が契約する内容として以下のものが列挙されています。

    • 電気の供給を受ける契約
    • 自動車の購入及び賃貸借にかかる契約
    • 船舶の調達に係る契約
    • 建築物に係る契約
    • 建築物の設計に係る契約
    • 建築物の維持管理に係る契約
    • 建築物の回収に係る契約
    • 産業廃棄物の処理に係る契約
    • 環境に配慮したOA機器の調達

    詳細は2023年2月の「環境配慮契約法に基づく基本方針」、2025年2月の「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針(環境配慮契約法基本方針)関連資料」に記載されています。

    この環境配慮契約法に基づく基本方針は必要に応じて見直しを行うこととされており、令和7年度も「令和7年度環境配慮契約法基本方針検討会」が開催されています。

    国の機関や独立行政法人等に供給をしようとする事業者は、この基本方針を理解した上で、適合する内容で提案を行う必要があることになります。

    例えば、電気の供給を受ける契約では、入札に参加する者に必要な資格として、温室効果ガス等の排出の程度を示す係数、環 境への負荷の低減に関する取組の状況(再生可能エネルギーの導入状況、未利用エネルギーの活用状況)並びに電源構成及び温室効果ガス等の排出の程度を示す係数の開示の状況等を定めることが必要です。

    また、建築の設計に係る契約については温室効果ガス等の排出の削減に配慮する内容を含む技術提案が求められ、

    • 設計成果に求める施設の長寿命化、省エネルギー・省資源、自然エネルギーの利用、環境負荷低減に配慮した木材等の資機材の利用等を踏まえた環境保全性能
    • 必 要に応じ、エネルギー管理機能の導入

    等を契約図書に明記するものと定められています。建築物の維持管理に係る契約においても温室効果ガス等の排出の削減に配慮した内容を契約図書に明記するものとされています。建築物の改修に係る契約についてはESCO事業とその他の省エネ回収事業に係る契約と分けて定められており、その他の省エネ改修事業の立案に当たっては、当該施設の運用段階におけるエネ
    ルギー消費量等のデータの活用に努めるとともに、必要に応じ、改修後の維持管理における運用改善に資するエネルギー管理機能の拡充を図るものとする、とされています。

    産業廃棄物の処理に係る契約については、入札に参加する者に必要な資格として、温室効果ガス等の排出削減に関する取組の状況並びに適正な産業廃棄物処理の実施に関する能力及び実績等を定めた上で、裾切り方式によるものとする、とされています。

    このように、国及び国の機関と契約をする際には、「温室効果ガス等の排出削減」の効果が価格同様の競争入札の要件となっております。国及び国の機関と契約をするにあたって、提供しようとする財・サービスについて、どれくらいの温室効果ガス削減効果を期待することができるか、示すことができる必要があります。

  • 水質汚濁防止法

    水質汚濁防止法は、特定施設を有する事業場(特定事業場)から排出される水について、 排水基準以下の濃度で排水することを義務づけています。

    そのため、まず特定施設に該当するかどうかが最初のチェックポイントとなります。

    特定施設は水質汚濁防止法施行令別表第一(第一条関係)に列挙されています。大分類で74項目あります。環境省の「令和2年度水質汚濁防止法の施行状況」によると、事業所数の上位10業種は以下の通りとなっています。

    • 旅館業 64,996
    • 自動式車両洗浄施設 32,269
    • 畜産農業 25,166
    • 洗濯業 19,566
    • し尿処理施設 10,399
    • 豆腐・煮豆製造業 10,336
    • し尿浄化槽 9,523
    • 水産食料品製造業 8,106
    • 酸・アルカリ表面処理施設 5,879
    • 科学技術に関する研究・試験・検査を行う事業場 5,032

    上記10業種の事業場の合計は191,272で、全特定事業場数の74%にあたり、これら191,272事業場の約90%が、1日あたりの平均排出量が50㎤未満の規模の小さい事業場とのことです。

    水質汚濁防止法では、特定施設を有する事業場(特定事業場)から排出される水について、 排水基準以下の濃度で排水することを義務づけています。排水基準により規定される物質は大きく次の2つに分類されています。

    • 人の健康に係る被害を生ずるおそれのある物質(有害物質)を含む排水に係る項目
    • 水の汚染状態を示す項目(生活環境項目)

    有害物質については 27 項目の基準が設定されており、 有害物質を排出するすべての特定事業場に基準が適用されます。生活環境項目については、15 項目の基準が設定されており、1日の平均的な排水量が 50㎤以上の特定事業場が対象のため、上記データによると対象となる事業場数は35%以下ということになると思います。

    規制基準は以下の通りとなっています。

    • 一律排水基準:国が定める全国一律の基準
    • 上乗せ排水基準:一律排水基準だけでは水質汚濁の防止が不十分な地域において、都道府県が条例によって定めるより厳しい基準。
    • 総量規制基準:事業場ごとの基準のみによっては環境基準の達成が 困難な地域(東京湾、伊勢湾、瀬戸内海)において、一定規模以上の事業場から 排出される排出水の汚濁負荷量の許容限度として適用される基準。

    事前規制

    特定施設を設置しようとするときは、水質汚濁防止法に基づく届出が必要です。都道府県知事は、届出があった場合において、

    • 特定事業場の排出水が排出基準に適合しないと認めるとき
    • 特定地下浸透水が有害物質を含むものとして環境省令で定める要件に該当すると認めるとき、又は地下水汚染の未然防止の為の構造基準等として環境省令で定める基準に適合しないと認めるとき

    は、特定施設の構造や使用の方法、汚水等の処理方法に関する計画の変更等を命ずることができます。

    通常時規制

    都道府県知事は、以下の場合は、期限を定めて特定施設の構造や使用の方法、汚水等の処理方法の改善を命じ、又は特定施設の使用や排出水の排出、特定地下浸透水の浸透の一時停止を命ずることができます。

    • 特定事業場からの排出水が排水基準に適合しないおそれがあると認めるとき
    • 環境省令で定める要件に該当する特定地下浸透水を浸透させるおそれがあると認めるとき

    都道府県知事は、有害物質使用特定施設又は有害物質貯蔵指定施設を設置している者に対して、有害物質を含む水の地下への浸透の防止のための環境省令で定める基準を遵守 していないと認めるときは、当該施設の構造、設備若しくは使用の方法の改善を命じ、又は使用の一時停止を命ずることができます

    都道府県知事は、特定事業場又は有害物質貯蔵指定事業場において有害物質に該 当る物質を含む水の地下への浸透があったことにより、現に人の健康に係る被害が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、当該特定事業場の設置者や設置者であった者に対 し、相当の期限を定めて、地下水の水質浄化のための措置をとることを命ずることができます。

    都道府県知事は、水質汚濁防止法の施行に必要な限度において、その職員に、特定事業場又は有害物質貯蔵指定施設に立ち入り、特定施設や汚水等の処理施設を始め、特定施設において使用する原料や当該特定事業場敷地内の土壌、地下水等について検査させることができます。

    排水基準に適合しない排出水 を排出した場合は、排出した者は6か月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処せられることになります。

    異常時等の対応

    特定施設の破損等により有害物質を含む水等が公共用水域に排出又は地下浸透し、人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、特定事業場の設置者は、直ちに当該有害物質を含む水等の排出・浸透防止を図るべく応急措置を講ずるとともに、速やかにその 事故の状況と講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければなりません。

    指定施設の破損等により有害物質又は指定物質を含む水が公共用水域に排出又は地下浸透し、人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、指定事業場の設置者は、直ちに当該有害物質又は指定物質を含む水等の排出・浸透防止を図るべく応急措置を 講ずるとともに、速やかにその事故の状況と講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならなりません。

    貯油施設等を設置する者についても、当該貯油施設等の破損等により油を含む水が公共用水域に排出又は地下浸透し、生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに当該油を含む水の排出・浸透防止を図るべく応急措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況と講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければなりません。

  • プラスチック資源循環促進法

    環境に関する法制は水質汚濁防止法、大気汚染防止法、土壌汚染対策法、悪臭防止法、その他多数あり、まとめて環境法と言われています。

    これらの法律の多くが、環境を公益と位置付け、憲法の定める公共の利益のための財産権の制約を根拠として、各人、特に事業者が守るべき基準を定めて、違反をした場合は制裁を課する、という制度体系になっています。

    一方で、2022年4月1日に施行された「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律(以下プラスチック資源循環促進法」)はプラスチック使用製品のライフサイクル全般であらゆる主体による取り組みを「促進」することで循環型経済への移行を目指すことを目的としており、他の環境法の「基準を満たさない場合は制裁」という体系とは少し異なる仕組みになっています。

    プラスチック資源循環促進法では、3R(Reduce, Reuse, Recycle) +Renewable を促進するために、以下のそれぞれの主体毎に指針が定められています。

    • 設計・製造
    • 販売・提供
    • 排出・回収・リサイクル

    設計・製造の事業者は指針に適合していることの認定を受けるためには、指定調査機関に設計調査の申請を行い、特に優れた設計を国が認定するという、制度になっています。これは任意の仕組みと言えます。

    また、自主回収・再資源化事業の認定を受けた場合は、使用済みプラスチックの自主回収、再資源化について、認定事業者は廃棄物事業法上の業許可が不要となるといったことも定められています。

    一方で、プラスチック使用製品産業廃棄物等を排出する事業者は、積極的に排出の抑制・再資源化等に取り組むことが求められ、情報公開が義務化されます。主務大臣が判断基準に基づき、必要な指導や助言を行うとともに、多量排出事業者は、勧告・公表・命令等の対象となります。

    このようなプラスチックのリサイクルを促すことを目的とした法律が施行されたことにより、プラスチック製品の製造業者は、設計段階からプラスチックの機能だけでなく、リサイクルや再生利用を考慮に入れる必要があります。

    またプラスチックのリサイクル技術に従来以上の付加価値が与えられることになるため、リサイクル事業者にとっては新たな事業創出の機会とも言えるかも知れません。

    プラスチック資源循環促進法には、詳細な項目が定められており、多くの製造業、小売業、サービス業がこの制度の対象となります。

    プラスチック資源循環促進法への対応もご支援しておりますので、詳細お問い合わせまたはお困りの際はご連絡をいただけますと幸いです。