日本人と外国人を区別・差別していないか?
従業員の採用にあたって、日本人と外国人を区別している企業は多いと思います。このことに対して、違和感をおぼえる方もいらっしゃれば、当然だと思う方もいらっしゃるかも知れません。しかしながら、日本企業で働きたいと思って、来日して入社した外国人の立場で考えると、日本人社員と外国人社員とが区別される会社よりも、日本人社員と同じ条件で外国人を採用する会社の方が魅力的に感じると思います。
日本人にも、アメリカに留学して、そのままアメリカでアメリカ企業に就職する方が多数いらっしゃいます。そういった日本人の方々はアメリカ企業で、国籍にかかわらず同じキャリアパス条件が与えられているはずです。もしアメリカ人と日本人とで処遇や昇進条件が異なっていたら、差別と感じると思います。
日本国内にも、アメリカ資本の企業が多数あります。そういったアメリカ資本の企業は、日本で従業員を採用するにあたって、日本人か外国人か?日本人かアメリカ人か?といったことを区別するでしょうか?
日本で仕事をするにあたって、日本語を正しく理解し、正しく日本語で表現できる能力は現時点では重要度が高いと言えます。しかしながらそれと同時に、英語を正しく理解し正しく英語で表現できる能力の重要度も高まっています。
国境を一瞬で超えるインターネットが、ビジネスを行う上での不可欠なインフラとなりつつある今、海外のソフトウェアを使いこなしたり、海外から必要な情報を入手でき、多様な考え方をもたらしてくれる外国人を採用することは、人手不足解消のみならず自社の組織力強化の上でも貴重です。
究極的には、企業の規模や事業内容にかかわらず、外国人を採用する上で、日本人と同様の処遇を提供していくことが将来的に望ましいと言えます。
外国人に成長を提供できるか?
ただし、日本企業に就職して技能を習得することを目的とする技能実習や特定技能制度で雇用される外国人と、技術・人文知識・国際業務や高度技能など即戦力で雇用される外国人を同列で考えることはできません。
現行の入管法に基づく制度のもとでは、技能実習制度は人材育成を通じた国際貢献を目的としており、特定技能制度は人手不足分野における人材確保を目的としています。また、技能実習や特定技能の在留資格で雇用されている外国人社員は日本で技能を習得する必要があり、同時に日本語能力を高めることも求められています。
技能実習は今後人材の育成・確保を目的 とする育成就労制度にとって変わられ、育成就労制度では3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材となることが求められるようになります。そして最終的に特定技能2号の技能と日本語レベルとなれば在留期間の制限がなくなります。
このように考えると、技能実習改め育成就労制度で入社する外国人にとって、入社する企業が自らが成長できる環境かどうか、ということはこれまで以上に重要になってきます。そして、特定技能で入社する外国人にとっても、それ以外の在留資格をもって入社する外国人にとっても、自らの技能を活かし、そして企業とともに成長することができるかどうかは、その企業で働き続けるかどうかという点で非常に重要なポイントになると言えます。
外国人社員の雇用を意識したキャリアパス
外国人が自社で十分実力を発揮し、自社とともに成長する環境を提供する上でキャリアパスが重要な意味を持つことになります。外国人が日本人と区別されていると感じることなく、自らがもつ特有の能力を発揮でき、成果を出したことに対して公平な評価が与えられ、かつ自らの成長とともに新たなステージが用意されていてそのステージに向けてステップアップしていくことができる環境があるかどうか?
このことが、将来的に自社の競争力を左右するようになっていくと思います。