投稿者: Kouhaku@Table

  • Setting the Table 2025年6月23日

    World Economics Forum “Annual Meeting of the new Champions”

    先進国と発展途上国といった分類なく、
    新しい技術や地球環境問題への対応に対して、
    新興国がグローバル社会でリーダーシップを発揮つつあります。

    World Economics Forumでは
    中国が官民連携で取り組む技術
    人と地球のために投資するパートナーシップ
    安定的供給が可能な再生可能エネルギーのために必要な材料
    変化する環境にアジャイルで適応していく産業
    経済の低成長が予想される中で実現していくイノベーション
    の5つのテーマで新興国のリーダー達が3日間にわたってプレゼンをします。

    ヨーロッパ時間の設定のため、日本でも夕方から問題なく参加できます。

    環境省 リユース等の促進に関するロードマップの方向性 

    物価高は私たちの生活にネガティブなインパクトを与えていますが、
    一方で「リユース」という市場が成長しています。
    こちらの資料にある通り、古物商の許可件数は年々増加し、
    2030年には4兆円という経済規模になることが見込まれています。

    リユースの裾野が拡大すると、
    リサイクルショップといったB2Cのビジネルモデルだけでなく、
    イギリスのCar Bootsのような取り組みが活性化すれば、
    新たなの地域コミュニティ交流の場が形成されて、
    地域での様々な取り組みにもつながっていくと思います。

    すでに一部の自治体では、大型ゴミで回収した家具等を、
    自治体と障害支援センターが連携して修復し、
    メルカリで販売するといったリユースモデルも確立されています。

    大量生産・大量消費の見直しが叫ばれるようになってから、
    ずいぶんと時間が経ち、
    循環型社会の様々な提案が行われていますが、
    どのようなモデルであっても、
    「地域」での取り組みが必要であると思います。

  • Setting the Table 2025年6月21日

    経済産業省「価格交渉促進月間(2025年3月)フォローアップ調査結果」

    モノの値段が上がっていて、
    政府も賃上げを促進しています。
    現実に企業にとって労務費が上がっており、
    人手が不足している一方で、
    一人ひとりの所得水準の改善は
    なかなか感じにくい状況となっています。

    発注側の値下げ交渉ではなく、
    受注側の値上げ交渉という形で
    価格交渉が定着するのは時間がかかります。
    そういった中で、
    「受注企業から発注企業に交渉を申し出、価格交渉が行われた」
    割合が41.5%まであがってきている点は注目に値します。
    これが5割を超えると、
    受注側の中小企業にとっても、
    発注側の大手企業に対して値上げを依頼しやすくなると思います。

    農林水産省「バイオマス産業都市構想」

    バイオマス産業都市は、
    平成24年から取り組まれている
    バイオマス事業化戦略における総合支援の一つで、
    地域のバイオマスを活用したグリーン産業の創出と
    地域循環型エネルギーシステムの構築
    を目指した取り組みです。
    これまでに104の市町村が選定されています。

    バイオマス産業都市構想は市町村が主体となって作成することになっていますが、
    地域バイオマスの利用促進、
    地域循環型のエネルギーの強化、
    地域産業振興・雇用創出、
    温室効果ガス削減
    などの波及効果を実現するためには、
    民間部門の積極的な関与が不可欠です。

    建設、産業廃棄、農林水産業業、エネルギーなど、
    地域を熟知している、地域の様々な企業が、
    ボトムアップで参画して、アジャイルで自律的に
    運営・改善され続けていくことが
    本来の目指す姿と思います。
    地域企業がこういった政府の支援施策を知ることで、
    所属する市町村と積極的にコミュニケーションを取って
    提案をしていくような形になると望ましいと思います。

  • Setting the Table 2025年6月20日

    環境省 「令和7年度グリーンスローモビリティ導入促進事業」

    グリーンスローモビリティとは、
    1)時速20km未満で公道を走ることができる
    2)電動車を活用した
    3)小さな移動サービス
    です。

    シートベルトやチャイルドシート免除など、
    一部道路交通法上の規制も緩和されており、
    地域でのコミュニケーションの場、
    高齢者にとって重要な地域での移動手段、
    観光における魅力
    など様々な役割が期待されています。

    「スピード」は必ずしも「速い」ことを求められるばかりではありません。
    「スロー」が生む価値は大きいと思います。

    金融庁 「Payment TransparencyにFATF勧告16の改訂」

    クロスボーター送金は大きな転換点を迎えています。
    1974年にG-10の中央銀行総裁によって
    バーゼル委員会が設立され、
    銀行による顧客管理、
    支払指図や送金の透明性、
    テロ資金供与対策
    などの国際的な法域が定められてきましたが、
    今はクロスボーダー送金の当事者も、
    手法も多様化しており、
    同時に
    マネーロンダリングやテロ資金供与対策も
    複雑化してきています。

    様々な分野で、規制が技術の後追いになりつつあります。
    Cost
    Speed
    Access
    Transparency
    の4つの課題をピックアップして、
    国際的な取り組みが進められており、
    2030年末を対応期限として、
    ガイダンスの作成が進められています。

  • Setting the Table 2025年6月19日

    農林水産省「デジタル水産業戦略拠点」

    地域の産業振興や地域の課題解決のために、
    地域の企業や自治体など様々な機関が連携する地域コンソーシアムが
    様々な分野で形成されることが望ましいです。

    水産業は集中豪雨、地震、水温の変化など、
    地球環境の変化の影響をダイレクトに受けています。
    生き物を相手にしている産業である限り、
    生産性向上だけにフォーカスすることはできず、
    受け継がれてきた資源の保護を考慮しながら、
    自然とともに漁業に従事されています。

    そういった中でも、
    むしろ、だからこそ、デジタル技術が活用できる余地が
    十分にあると言えます。
    その一方で、デジタルの導入には投資、知識、経験が不可欠であり、
    現場の方々が独力でデジタル技術を確立することには限界があるため、
    こういった国の支援枠組みを積極的に活用することも
    重要と思います。

    国土交通省「中堅・中小建設企業向け『海外事業計画策定』支援」

    中堅・中小建設企業は、さまざまな独自技術を保有しています。
    それらの独自技術には国際的な競争力をもつものも多数あり、
    日本の建設企業の技術は、海外からも高く評価されています。
    関西・大阪万博は、その評価をさらに高めるきっかけになるでしょう。

    JASMOCには、
    中堅・中小建設企業の海外展開促進のために、
    行政庁、独立行政法人、金融機関、中小企業診断士、業界団体などが
    参画しており、
    資本金10億円以下または従業員300人以下の企業284社が
    現在メンバーとなっています。

    市場としての「海外」に目を向けるよい機会かも知れません。

    厚生労働省「医療通訳者、外国人患者受入れ医療コーディネーター」

    日本在住の外国人の数も日本を観光で訪れる外国人の数も、
    増えるにつれて、滞在中に医療を必要とする外国人のセーフティネットも
    必要となります。
    医療の現場での意思疎通は、正しい診断、正しい対応に直結します。
    その一方で、医療の分野は専門用語が多く、
    カタコトの日本語、カタコトの外国語では意思疎通が難しいです。

    地域医療・専門医療のあり方を考えていく上で、
    日本語の理解力が十分でない外国人に対する医療支援体制をどのように確保していくか、
    これからますます重要なテーマになっていくと思います。

  • Setting the Table 2025年6月18日

    厚生労働省「介護系スタートアップ支援事業 CARISO」

    65歳以上の高齢者の割合が人口の21%を超えた社会を超高齢社会といいます。
    2023年10月1日時点で、高齢化率は29.1%、
    超高齢社会となります。
    (内閣府公表)
    超高齢社会は様々な社会課題を内包していますが、
    それらの社会課題をビジネスで解決することができれば、
    そのビジネスモデルは
    日本より後に超高齢社会を迎える国々にも適用できる、
    グローバルなビジネルモデルとなります。

    国土交通省「インフラDX大賞」

    建設現場では、ドローンや自動運転など
    様々な新しいテクノロジーが活用され始めています。
    現場であつめたデータは
    効率化・省力化だけでなく、
    働く環境の改善にも活用できます。
    今年もインフラDX大賞の募集が開始されました。
    人が活躍する現場だからこそ、
    デジタル技術は、そこで働く人のために活用されることが重視されます。

    経済産業省 「100億宣言」

    100億企業成長ポータル上で、
    初回の宣言公表が行われています。
    100億は多くの企業が目指すゴールですが、
    100億を達成する前に公表をすることによって、
    業種を超えた、つながりや刺激が生まれると思います。
    まさに切磋琢磨。
    宣言企業のネットワーキングの場も予定されているようですし、
    経営強化税制の計画策定にも活用できると思うので、
    100億を目指している企業には宣言するメリットがあると思われます。

    財務省 「奨学金受給が生活時間、収入、支出にあたえる影響」

    財務省からディスカッションペーパーが公表されています。
    貸与型、給付型のそれぞれについて分析を行った結果、
    奨学金受給者は勉強時間や修学費が多くなるという傾向を、
    データとして検証しています。

  • Setting the Table 2025年6月17日

    財務省 「米国関税措置の影響に関する企業ヒアリングの結果」

    政府系金融機関が
    大企業・中堅企業と
    中小企業・小規模事業者に
    米国関税措置の影響を
    それぞれヒアリングした結果が公表されています。

    自動車産業は約4割が現時点で影響を受けている一方で、
    他の産業の多くが現時点での直接的な影響ではなく、
    将来的な経済の減速を懸念していることが分かります。

    政治の動きを注視し、マクロとミクロで的確な情報をキャッチし、
    長期的な観点で経営に反映していくという、
    難しい舵取りが経営者に求められていると思います。

    現在カナダで行われているG7会合のタイミングで、
    日米首脳会談が行われたとのニュースがありました。
    ここからどのような動きにつながっていくのか、注目です。

    経済産業省 「新たな基準認証政策の展開-日本型標準加速化モデル2025」

    規格は品質の維持のために不可欠です。
    例えばネジの規格があることによって、自動車も飛行機もロケットも、
    安心して動くことができます。
    一方で、国内的な規格と国際的な規格が整合できていないと、
    グローバル市場での競争力を阻害する要因となります。

    新しい技術ではこういった規格を含んだ認証が問題となります。
    例えば電気自動車の充電プラグはまだ国・地域での統一がなされておらず、
    充電プラグのメーカーは展開する国の規格に合わせた開発をしなければなりません。

    このように、基準認証は国際競争力に直結します。
    様々な産業でトランスフォーメーションが起こっている今、
    国主導で戦略的な標準化が進められることは望ましいことと思います。
    対象産業に関わる企業にとっては、
    標準化の動向をキャッチすることも重要になっています。

    国土交通省「産学官連携インフラ戦略推進プラットフォーム」

    地方が元気になれば日本が元気になります。

    一方で、観光誘致一つとっても、行政だけでも民間だけも完結できず、
    大きな戦略に基づくゴールを共有した上で、
    様々なステークホルダーが協働することが必要です。

    観光、防災、教育、交通、産業、医療、福祉など含め、
    様々な社会インフラの戦略に多様な関係者が参画できるようになることは、
    望ましい姿と言えます。

    本内容からだけでは全体像が見えませんが、
    今後どのようなプラットフォームが形成されていくことになるのか、
    楽しみです。

  • Setting the Table 2025年6月16日

    内閣官房「データ利活用制度の在り方に関する基本方針」

    制度・システム・運用全体を再設計するという壮大な方針ですが、
    併せて公表されている「デジタル行財政改革とりまとめ2025」
    から、各分野の具体的なゴールイメージを確認することができます。
    これらの文脈から共通して読み取ることができるのが「地方創生」。
    ビジネスを通じて社会課題を解決するのが理想ですが、
    競争社会における収益モデルのためのデジタル化の推進は
    新たな格差を生むことになります。
    民間主導の分野ではなく、行政主導の分野でどのような取り組みが推進されるか?
    その社会基盤を知ることは、民間企業にとって、
    新たなビジネス機会を知ることにつながります。

    国土交通省「国土交通省DXビジョン」

    デジタル行財政改革の国土交通省バージョンと言ってもいいかも知れません。
    メタバースを活用した街づくりのアカウンタビリティの向上、
    データ管理による安全なドローン運用、
    空き家対策、
    など、どのようなアプリケーションなのか、具体的なイメージを持つことができます。

    経済産業省「エネルギー白書2025」

    大阪・関西万博の西ゲートバスターミナル近くの敷地に
    ペロブスカイト太陽電池が広大なスケールで設置されています。
    万博は楽しむ場であり、学ぶ場であり、交流する場であり、披露する場でもありますが、
    実証する場でもあることも感じます。
    言うまでもなくエネルギー自給率の向上は国の重要課題。
    様々な新技術の開発が進んでいますがが、まだ導入段階ではないため、
    突然ドラスティックな変化が訪れることはないと思います。
    その一方で、これらの新たな技術開発は着実に進んでおり、
    いずれは必ず、大きな変化をもたらすことになるでしょう。
    地球環境の保護が待ったなしの状況にある今、
    日本のエネルギー行政がどういった方向に向かっているかは、
    建設業、製造業、エネルギー産業だけでなく、
    あらゆる分野の企業にとって重要な論点といえます。

    農林水産省「農業技術の基本方針」

    天候の影響を直接的に受ける農産物の流通の難しさは、
    今に始まったことではありません。
    だからこそ、国内で安定的に食料を確保するために、
    海外から食料調達をしてきたと言えるかも知れません。
    一方で、国産の維持はあらゆる意味で重要です。
    天候や食料自給率の低下だけでなく、
    農業には担い手不足という大きな課題があります。
    もちろんこれらの課題の解決に向けて、様々な取り組みが行われていますが、
    その中でも「農業技術」に対する期待は高いと言えます。

  • 五角形のテーブル:プロローグ

    名前は”ゲット・バイ”。

    奈良にある串カツ店である。オーナーの名前はヨシオ、64歳のバツイチ男だ。串カツ店にカタカナの名前をつけるのは珍しいが、ヨシオはこの”ゲット・バイ”という店の名前が気に入っている。

    ヨシオは昔から、恋人や友人と一緒にいるよりも、一人でレンタルビデオを借りて映画を見ることが好きだった。

    20歳前後の頃のある日、ヨシオは下宿先でアメリカ映画を見ていた。

    字幕の表示に
    「お前、そんな収入で生きていけるのか?」
    「なんとかやっていけるさ」
    というくだりがあった。
    その「なんとかやっていけるさ」というところで、英語が全くわからないヨシオの耳に、はっきりと、ゲット・バイという音が入ってきた。

    かっこいい、素敵な音だな、とその時ヨシオは思った。そのときは、それだけのことだった。ヨシオは英語とは無縁の生活を送ってきたので、この単語のこともそれ以来すっかり忘れていた。

    49歳で妻と別れ、再び独身になったヨシオは、30年近く勤めていた会社を辞めて、退職金含めたすべての貯金を使って、ヨシオの大好きな奈良の地で一人で串カツ店を始めることにしたのだが、その店の名前を何にしようか考えた時に、なぜか突然このゲット・バイという音を思い出した。

    「なんとかやっていく・・・、オレにピッタリじゃないか」

    それから15年。ヨシオは串カツ店”ゲット・バイ”とともに「なんとかやってきた」。儲かってないし、店の作りも15年間変わっていないが、毎日同じ時間に開店してコツコツとやってきたおかげで何年も通いつづけてくれる常連さんもできた。

    開店した時から「なんとかやっていく」ためにヨシオが固く守ってきたことが3つある。

    一つ目は、残り物には手をつけないこと。残ったらフードバンクに寄付する。残った食材を調理して自分で食べるようなことは絶対にしない。ヨシオ自身「なんとかやっていく」ことに美徳を求める自分の性格の弱い部分を知っていたので、これをするとヨシオ自身への甘えにつながると思っていた。そのため、ヨシオはこれを自分のルールにして、開業以来毎回、適切な量の食材を仕入れて、全部お客のために使い切るように工夫をしてきた。

    二つ目は、二人以上で入店するお客はお断りすること。入り口に大きく、「お一人様限定」と掲げているが、それでも、「二人でいいか」と尋ねられることは少なくない。子供に串カツを食べたいとねだられた父親、東京から二人で出張で奈良にやってきて、”ゲット・バイ”を魅力的に感じてくれたビジネスパーソンなど、様々だ。15年たった今も、そういったお客を断るのは心が痛むが、それでも初志貫徹でお一人様限定でやってきている。ヨシオは、フラッと入って、そこにたまたまいる人とたわいもない話をして帰っていく、そんな空間を作りたかったのである。一部の仲間内だけで会話をする、そんな例を一つでも作ったら、”ゲット・バイ”は自分の作りたい空間ではなくなってしまうとヨシオは思っていた。

    そんなヨシオのこだわりから、“ゲット・バイ”には五角形のテーブルが一つしかない。五人で満員御礼である。五角形のテーブルが一つしかないので、一人で入ったお客同士、自然と会話になる。初めてあったお客同士がビールを奢り合うのを見るのがヨシオは好きだ。そんな時はヨシオも仲間に入りたくて、つい、串カツ1本を奢った方にも奢られた方にもサービスをしてしまう。後から知ったことだが、五角形には調和という比喩的な意味もあるそうだ。最高だ。

    固く守ってきたことの三つ目は、「下ネタ禁止」。これは入り口に掲げるのではなく、ソースの「二度漬け御免」と並んで「下ネタ御免」と書いてある。下ネタを話すお客がいると、女性が一人で入れなくなるからである。ヨシオは”ゲット・バイ”を出逢いの場にしたいわけではない。ただ、どんな男性にもどんな女性にも、たまに一人で安心してフラッと寄れる場所が必要であり、”ゲット・バイ”はそんな場所でありたかった。「二度漬け御免」の表記が効果的なことと同様に、ソースに貼ってある「下ネタ御免」は効果的だ。かなりの確率で、お客が「なんやねんこれ!」とイジってくれるので、理由を説明すると、ほぼみんな、共感してくれる。ヨシオはいくら大事な常連のお客でも下ネタを言ったら「帰ってくれ」と言う覚悟をもって店を続けてきたが、今まで下ネタを話す客は一人もいなかった。

    カラン カラン カラン

    レトロな昭和の喫茶店のようなドアベルと共に、スーツ姿の50歳前後の男性が入ってきた。

    今日もここから、新しいストーリーが始まる。