IPがビジネスをデザインする時代
ドラえもん、クレヨンしんちゃん、ハローキティ、スタジオジブリなど、世界中の人々を惹きつけている日本のIPは枚挙にいとまがありません。
大阪・関西万博ではバンダイナムコの『GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION』はひときわ大きな注目を集めました。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはアジア最大の来場者を誇るテーマパークですが、その成長の背景にはスーパーマリオやワンピースなどのIPの世界観をテーマパークに導入したことがあります。
今、日本のIPはビジネスのデザインそのものに大きな影響を与えるようになっています。
NFTで先行する海外企業
一方で、テクノロジーを活用したビジネスのデザインでは海外企業が先行しており、日本のIPを海外企業が獲得する動きが目立っています。
例えば香港のAnimoca Brandsは香港のサンリオ・デジタルを買収したほか、Doraemonと提携してゲームライセンスも取得しています。
IPは著作権であり、所有権の移転の対象ではありません。ハローキティやドラえもんの著作権が、誰かに移転するわけではありません。ましてや、これらの著名なIPをNFT化して取引するようなものでは決してありません。
ではなぜ、海外のテック企業は著名なIPのライセンスを求めるのでしょうか?
NFTの取引とは?
著名なIPのライセンスについて考える前に、まずNFTの取引について考える必要があります。
所有権の対象でないにも関わらず、NFTはマーケットプレイスで取引されています。いったいNFTの「何が」取引されているのでしょうか?
例えば、ゲーム内のアイテムとしてドラえもんのスモールライトがあるとします。このドラえもんのスモールライトをゲームのプレイで用いることができるようにNFT化するとします。そしてプレイヤー同士で、NFT化されたスモールライトを売買できるとします。
または、ドラえもんをデジタルアートにして、そのデジタルアートをトークンとしてNFTマーケットプレイスを通じて取引するとします。
マーケットプレイスやゲーム内などで取引されているのは、ゲームの中で使うことができるアイテムであったり、デジタルアートとしてトークン化されたものであって、もととなるIPそのものではありません。そして、いずれの場合においても、トークン化するためには元となるIPのライセンスを受けている必要があります。
つまり、IPのライセンスはそのIPを利用したNFTの取引を行う前提として必要になるものであると言うことができます。
NFTゲーム X IP
ゲームはNFTのポテンシャルを活かせる有力な分野の一つです。NFTゲームでは、ゲームに登場するキャラクターやアイテムをユーザー同士で取引でき、Play-to-earnという新しいゲームの楽しみ方も期待されています。
しかしながら、ゲーム業界全体としてAAAタイトルの投資規模は大きくなり、かつタイトルの成功はますます難しくなっています。いかにNFTゲームの潜在性が高くでも、市場の評価を得るためのハードルは非常に高い状況です。
そういった中で、近年のAAAタイトルは既存IPのリメイク版としてリリースされる傾向が強くなっています。
IPを保有またはライセンスを受けているパブリッシャーは、NFTゲームの展開にあたっても、多くの選択肢を有しているということができるでしょう。
インディーズへの期待
新たな産業の黎明期では、イノベーションを起こすベンチャー企業が現れます。NFTゲームにおいても、尖ったゲームを開発してパブリッシュするインディーズへの期待が高まっています。
集英社やKADOKAWAなど、多くのIPを扱うことができる企業がゲーム業界でプレゼンスを増しています。
NFTゲームという新たなコンテンツ産業で、大手、IPホルダー、インディーズが連携することで、新たな潮流が生まれることを願っています。