サステナビリティ・リンク・ローンとは、借り手が野心的かつ事前に定められたサステナビリティ・パフォ ーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローンです。
サステナビリティ・リンク・ローンには、企業が設定したSPTsに連動して金利が変動する等のインセンティブが組み込まれているためサステナビリティへの取り組みを進めるほど、有利な条件で金融機関から融資を受けることができる仕組みとなっています。
一方でサステナビリティ・リンク・ローンについては
借り入れ準備として、
- KPIsの選定
- SPTsの選定
- SPTs達成状況に対するローン特性の決定
- 外部レビューの取得または内部の専門性の開示又は開発
- レポーティング方法の検討
返済・情報開示として
- SPTs達成状況の測定・レポーティング
- 外部機関による検証の実施
といった追加的な手続きがあり、特に外部レビューや外部機関におる検証などはコストがかかります。そのため、サステナビリティ・リンク・ローンで融資を受けることは中小企業にとって少しハードルが高いものとなっています。
そういった中で、自治体と地域金融機関が連携して、地域企業がサステナビリティ・リンク・ローンで融資を受けることができるような動きが進んでいます。
京都府が地方銀行や信用金庫等と連携して進めている「京都ゼロカーボン・フレームワーク」では、
金融機関が
- 脱炭素相談
- 排出量の策定支援
- 排出量削減計画の策定支援
- サステナビリティ・リンク・ローンの提供
京都府・市が
- セミナーの開催
- 中小版SBP策定
- 省エネ補助金の提供
- 再エネ補助金の提供
- 非化石証書の取得支援
- 特定事業者制度の運用
- 脱炭素優良企業の表彰
を通じて企業を支援しています。
2025年10月末時点で154社がサステナビリティ・リンク・ローンで融資を受けています。
このような動きが他の自治体にも広がってきています。上場企業には有価証券報告書にサステナビリティ情報の開示が義務付けられるようになっていますが、非上場企業においても、こういった支援制度を今の段階から活用しておくことは事業基盤の強化につながると言えます。