カテゴリー: Mail Magazine Back Number

  • Setting the Table 2025年7月26日

    観光庁 「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」

    観光地域づくり法人。
    DMO(Destination Management Organizations)
    という組織が定着しています。

    毎年開催されているツーリズムEXPOでは
    各県の魅力が、自然、特産品、歴史、その他観光資源が
    綺麗なパンフレットにまとめられています。

    こういった地域の魅力を再発掘し、
    対外的にPRする上でDMOが
    大きな役割を果たしています。

    各地域をWEBで検索すると、
    直感的でUXに優れたWEBサイトが、
    多言語で提供されています。

    これらのWEBサイトの構築の上でも
    マーケティングやソーシャルリスニングに
    優れたDMOの存在があります。

    外国人が日本の魅力を再発見する上で、
    このDMOが果たしている役割は大きいです。

    ヨーロッパをはじめ、世界中で観光誘致に
    大きな影響力を持つDMOを
    日本向けにローカライズして、
    成功をおさめていると思います。

    一方で新たな問題として
    インバウンド増加に伴うオーバーツーリズム。
    観光税として宿泊税を導入する自治体も
    増えてきましたが、
    依然として地域住民や環境に
    過剰な負担を与え、観光客の満足度を低下させる
    オーバーツーリズムは存在しています。

    高度な専門知識をもって、
    地域の魅力を再発見し、
    国や自治体と連携しながら、
    対外的に情報を発信する。
    観光に特化した
    マーケティングとマネジメント技術を持つ
    DMOに求められる役割は
    増大しています。

    環境省 「グリーンファイナンス市場の中長期的な発展に向けて」

    資本主義経済で定着している
    収益を最大化するために
    規模を追求するシステムを
    気候変動対策や生物多様性維持のための
    循環型のシステムに変更することが
    できるのか?

    その重要性を誰もが認識しながらも、
    GDP等の指標に見られるように、
    経済力は
    すなわち規模を指すという方向に
    変更はありません。

    成長・発展というサイクルを、
    循環というサイクルに
    経済システムを変更するためには、
    まずはネット・ゼロを実現しなければなりません。

    そのためには、
    環境への取り組みのために
    資金が提供される仕組みが重要です。

    この環境省からの公表資料は
    「市場参加者に期待する取組事項」
    となっており、
    直接的な政策そのものではないものの、
    国が、環境保護のための
    「自律的な」ファイナンスを
    どのように形成していくか、
    という点で非常に意味深い内容となっています。

    もちろんガイドライン等の充実や
    国際的なルール形成、
    個別の企業支援といった、
    国としての直接の取り組みもありますが、
    中小企業に融資する地域金融、
    グリーン市場における新興企業に投資をする
    機関投資家、
    その他金融市場における様々なステークホルダー
    を巻き込んだ間接的な支援体制を
    描いていることがよく分かります。

    最終的に利用者としても投資家としても
    一人ひとりの個人の参画が
    ファイナンスを回す上で重要になってくると思います。

    「中長期的」な視点で、
    どのような内容が実現していくのか、
    注目していきたいです。

  • Setting the Table 2025年7月25日

    農林水産省 「食品安全委員会 遺伝子組換え食品等専門調査会」

    病気への耐性の強い穀物を交配などの手法で
    人工的に作り出し、
    農業の生産性を高めるという手法は
    コメの品種改良などで伝統的に行われてきました。

    一方、遺伝子組み換え技術は、
    全く異なる生物種の細胞から
    有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、
    植物の細胞の遺伝子に組み込む技術です。

    従来の交配との手法とは違い、
    遺伝子組み換えでは
    このように人為的に
    新しい種を作り出しています。

    遺伝子組み換え作物は自然種とは異なるため
    人体に与える影響が立証いないため、
    人体への安全性が懸念されています。

    問題は人体への影響だけではありません。

    害虫をはじめとする微生物は
    食物連鎖において重要な役割を果たしていますが、
    遺伝子組み換え作物につく害虫に対して
    何かしらの影響を与えることになると、
    生態系そのもの、さらには
    土壌そのものにも変化をもたらす可能性があります。

    遺伝子組換え食品等専門調査会は
    今回で第266回とのこと、
    会合の内容は非公開とのことですが、
    生態系踏まえた多角的なディスカッションが
    行われていることを願います。

    経済産業省 「プラスチック使用製品設計指針に基づく4製品分野における設計認定基準」

    プラスチック資源循環促進法では、
    3R((Reduce, Reuse, Recycle) +Renewable を
    促進するために、
    以下のぞれぞの主体毎に指針が定められています。

    * 設計・製造
    * 販売・提供
    * 排出・回収・リサイクル

    設計・製造の事業者は国の指針に適合していることの認定を受けるためには、
    指定調査機関に設計調査の申請を行い、
    特に優れた設計を国が認定するという制度になっています。

    今回、
    清涼飲料用ペットボトル容器
    文具
    家庭用化粧品容器
    家庭用洗浄剤容器
    について設計認定基準が策定されました。

    清涼飲料用ペットボトルの基準を見ると、
    まず

    【ボトル】
    原料はPETのみ、
    着色はしない
    把手は着色していないPE若しくはPP
    ボトルに印刷を施さない
    【ラベル】
    PVCを使用しない
    風選又は洗浄等の再生処理の工程においてボトルと分離できる
    ラベルに用いる印刷用インキがボトル付着しない
    アルミニウムでラミネートされるラベルを使用しない
    【キャップ】
    アルミニウム又はPVCを使用しない
    比重1.0未満のPEまたはPPを主な原料をする
    ガラス玉又はパッキンを使用する場合は、その取り外し方をラベルに明示

    と記載されていいます。

    ここまでを満たしているペットボトルは多いと感じますが、
    以降、
    容器1本あたりの重量の数値基準が細かく記載されています。

    認定を受けるためには、材料から見直す必要があるペットボトルも
    あると感じます。

    基準は日本語だけでなく英語でも策定されています。

  • Setting the Table 2025年7月24日

    総務省 「安心・安全なメタバースの実現に関する研究会」

    この資料によると2024年のメタバース市場は
    全世界で744億ドル(約11兆円)
    国内で9,100億円

    とのこと。
    すでに巨大な市場です。

    2024年の国内市場データを見ると、
    土木建築が最も大きく2,475億円、
    職場教育(1,847億円)
    オフィス・ワークプレイス(1,608億円)
    ライブ・エンターテインメント・ゲーム(1,330億円)
    と続いています。

    メタバースがバーチャル空間だけでなく、
    フィジカルに影響を与える形で
    市場が拡大していることがわかります。

    メタバースは
    バーチャル空間をリアルに近い環境
    として実現できる技術です。

    ゲーム等エンターテインメントの世界では、
    バーチャル空間の世界が広がり、
    そこで出会いや取引が成立することになります。
    バーチャル空間内で新しい決済手法や流通等が
    創出されると、それらはフィジカル空間のような制約がないため
    無限に無秩序に広がる可能性があります。

    建設、農業等の世界では、
    現実世界に近い環境をバーチャル空間に作り出すことで
    シミュレーションが可能となります。
    メタバースの技術が高まれば高まるほど、
    シミュレーションの精度が高まり、
    フィジカル空間への投資はリスクをより低減させる
    効率性の高いものになると思います。

    この資料では、
    メタバースについて、活用、リスク、技術等、
    多角的に検討されており、
    諸外国の動向も整理されています。

    SNSが政治家にとって重要な情報発信のツールになったように、
    民間の技術が、新しい常識を創造する可能性もあります。
    メタバースというポテンシャルのある技術を、
    課題解決のために活かすという方向性に基づき、
    今後行政からどのような情報が提供されるか、注目です。

    金融庁 「投資運用業等 登録手続ガイドブック」

    新NISAで投資家の裾野が広がりました。
    長期、分散、積立のキーワードで、
    短期的な損益にとらわれず、
    毎月一定額を投資に回すようになった方も少なくないと思います。

    年金や投資信託等の運用を行うのがアセットマネジメント。

    金融庁は
    「高度な専門性をもって資産運用機能を担う
    アセットマネージャー等の存在は、
    我が国の資本市場の活性化や
    国民の安定的な資産形成を実現する上で極めて重要であり、
    その国内金融市場への参入に当たっての負担を軽減し、
    金融商品取引業者の新規参入の円滑化を図ることは、
    かかる目的を達成するために不可欠」
    と述べています。

    投資運用業、投資助言、代理業、第二種金融商品取引業、
    第一種金融取引業への登録を行うためのガイドブックが
    日本語と英語で提供されています。
    日本で資産運用機能を担うアセットマネージャーには、
    外国人も含まれるということを念頭においてのことと思います。

    日本のアセットマネジメント会社も、
    英語で情報を提供するようになっています。

    日本での資産運用が量と質の両面から成長するために、
    新たなステージに入っていることを感じます。

    消費者庁 「PIO-NETデータを用いた消費生活相談の地域傾向分析」

    年代別に消費生活相談の地域傾向を分析した内容が
    日本地図にまとめられています。

    年代別に相談内容が全く異なっています。
    一方で地域間の相違はそんなに大きくないように感じます。

    ●19歳以下
    オンラインゲームへの課金による高額請求
    アプリを通じた決済や解決方法

    ●20〜39歳
    動画サイトやSNS広告をきっかけとした契約
    副業や商品の購入に関して、解約や返金の手続き

    ●40〜64歳
    定期購入と判明したため解約を求めるが電話での解約方法がわからない

    ●65歳以上
    自宅固定電話への不審な電話
    住宅の工事
    ネット通販の定期購入

    消費者が消費行動をするチャネルが
    40歳以下で全国的にインターネット経由になっていることを感じます。

    証券口座を乗っ取られて、不正に株式を売買される被害が相次いだように、
    デジタル社会では、
    いつどこで、気が付かないうちにどんな被害にあうか分かりません。
    正しい知識を持って、正しい手続きをしたとしても、
    新しい被害は発生し続けると思います。

    デジタル化の推進とともに、
    消費者をどのように守っていくか、
    ということも大きな論点です。

  • Setting the Table 2025年7月23日

    農林水産省 「食育実践優良法人制度」

    経済産業省の行う「健康経営優良法人制度」は、
    企業に健康経営を定着させる上で大きな役割を果たしました。

    従業員の健康に投資する
    その投資のリターンは、
    従業員が健康になる
    というだけでなく、
    企業の業績が向上する。

    ちょうど人的資本経営の重要性が唱えられたタイミングとも一致し、
    健康経営優良法人に認定された企業、
    その中でも健康経営銘柄に認定された企業は、
    株式市場で高い評価を受け、
    財務諸表の数値上の経営状態だけでなく、
    新しい企業評価の基準を提供しました。

    農林水産省は、健康経営優良認定制度に
    申請している法人のうち、
    従業員に対して「食生活の改善」に資する取り組みを実施し、
    かつ、複数の条件を満たした法人を
    「食育実践優良法人」として認定する制度を開始しました。

    健康経営は、従業員一人ひとりに
    健康の大切さを認識してもらう上で、
    大きな役割を果たしています。
    食育実践は、どうように、食育の大切さを
    認識してもらうきっかけになるでしょうか?

    もしなれば、フードロスの削減、
    地産地消など、健康以外のテーマについても、
    従業員の関心が高まる効果が期待できます。

    国民一人一人が、
    ほんの少しだけ、
    何かに前向きに取り組むことができれば、
    社会はよくなります。
    そういったことを目指した行政の取り組みには、
    積極的に関与していきたいものです。

    国土交通省 「荷主・物流事業者間の輸出入通関依頼を円滑に」

    FedEX、DHL、EMSなど、ドア ツー ドアで
    国を超えて貨物が届くサービスが多数存在しています。

    小口貨物で、関税がかからず、個人消費目的ならば、
    こういったサービスでダイレクトに貨物を輸出入できることもあり、
    越境ECのようなサービスも発展し、決済方法の多様化で、
    ますます便利になっています。

    しかしこれは輸出入全体の極々一部の話。

    通関手続きのためには事前の許可や承認を得なければ
    ならないのが大前提です。
    そして、輸出入する危険物、食品の検疫など
    輸出入する製品によって用意すべき書類も手続きも異なります。

    今回、行政のシステムと民間のシステムが
    相互に連携することになりました。
    これにより港湾関連手続きの利便性が向上することになります。

    「もの」と「カネ」以外にも「書類」の流れが必要な輸出入。
    この「書類」の手続きには行政が関与します。
    行政が関与する手続きの利便性が高まると、
    生産性は向上します。

    システムを提供する側にとっては、
    もっと生産性を向上させるアイデアを提供することによって、
    新しいビジネスを創出するチャンスでもあると言えます。

  • Setting the Table 2025年7月22日

    United Nations Climate Change
    A Decade After Paris, New Work Programme Drives Stronger, More Coordinated Climate Action

    1992年から国際会合COP(Conference of Parties)
    が開催され、
    COPを舞台に地球温暖化の問題に対して
    議論が重ねられてきました。

    この国際会合において大きな進展をもたらしたのが、
    京都で開催されたCOP3を経て採択された
    京都議定書です。

    京都議定書は
    2008年〜2012年までの5年間に
    温室効果ガスの排出量を
    1990年よりも5%削減することを、
    「法的拘束力」のある目標として定め、
    さらにその期間が終了した後の
    2013年以降も新たな取り組みを合意して、
    継続していくことを合意しました。

    しかしながら京都議定書で
    温室効果ガスの削減義務を
    負ったのは先進国だけであったこと、
    世界最大の温室効果ガス排出国アメリカが
    京都議定書に参加しなかったことなど、
    国際的な合意としては未完成でした。

    そして2009年にコペンハーゲンで開催された
    COP15では2013年以降の合意を定める予定
    であったにもかかわらず、
    国際合意は得られませんでした。

    翌年カンクンで開催された
    COP16では法的拘束力のある国際条約ではなく、
    各国の自主的な削減目標達成に委ねる枠組みとして
    合意することになりましたが、
    2013年以降の枠組みでは京都議定書は
    実質的にその実効性を失い、
    ロシア、
    さらには日本までもが合意から抜けてしまいました。

    この流れを大きく変えたのが
    2011年末にダーバンで開催されたCOP17です。

    議長国である南アフリカの
    粘り強い取り組みにより、
    2020年以降の期間では
    再び法的拘束力のある合意を行うことを目標にして、
    世界は合意に向けた交渉をスタートさせ、
    そして2015年末にパリで開催されたCOP21では
    議長国フランスの緻密なリーダーシップによる
    アメリカと中国の周到な事前交渉の結果、
    先進国・途上国含めた196カ国の間で
    「“すべての国”が、同じ“拘束力のある国際条約”の下で温暖化対策に取り組む『パリ協定』がついに成立しました」
    (小西雅子著『地球温暖化は解決できるのか』(2016年岩波ジュニア新書)

    すべての国家が共通の目標に向かって
    自国を拘束する合意を行うことは
    非常に稀であり、
    産業革命後温室効果ガスの排出を続けてきた先進国と、
    21世紀になってからようやく経済成長を迎え、
    これから温室効果ガス排出が増えて行くことが見込まれる途上国が、
    対等な立場で合意したことは
    国際的な枠組みの上で画期的な出来事であり、
    奇跡とも言えることでした。

    この記事ではパリ協定から10年たった今年、
    パリ協定は各国に国家レベルの政策を促したものの、
    枠組みにとどまり、
    気候変動対策は
    世界の隅々まで行き渡るさらなる明確な実行までには
    至っていないことに言及しています。

    今年11月にCOP 30が開催されます。
    アジェンダは以下の6つのエリアで、
    アクションプランを定めることになります。

    1.Transitioning Energy, Industry, and Transport
    エネルギー、産業及び輸送の以降
    2.Stewarding Forests, Oceans, and Biodiversity
    森林、海洋、生物多様性の保護
    3.Transforming Agriculture and Food Systems
    農業及びフードシステムの見直し
    4.Building Resilience for Cities, Infrastructure, and Water
    都市、インフラ、水資源の回復力の構築
    5.Fostering Human and Social Development
    人間及び社会の開発育成
    6.Cross-cutting enablers and accelerators 
    横断的な実現者及び支援者

    そしてこの記事では、
    自発的なアクションの枠組みである
    Cooperative Climate Initiatives (CCIs) 
    が紹介されています。

    CCIへの登録がNAZCAに承認されると、
    NAZCAによりプロフィールが公表され、
    毎年9月に開催されている年間報告に
    参加することができます。

    現時点でNAZCAのページを見てみると、
    20,560社が参加しています。

    現時点での日本のデータを見ると、
    1509社、558機関、
    2府県、196市がすでに参加しています。

  • Setting the Table 2025年7月19日

    国土交通省 「自動物流道路」

    「荷物そのものが自動輸送される道路」
    そんな壮大な構想が、実際に進められています。

    陸海空の輸送手段のうち、陸の輸送と言えば、
    トラックか鉄道。

    小口貨物にしても、
    コンテナ輸送貨物にしても、
    トラックドライバーの方々の
    運転するだけでなく積み下ろしたり、
    スケジュールを管理したりする
    きめ細かいノウハウによって成り立っています。

    そのトラックドライバーへの担い手不足、
    そして時間外労働の上限規制の適用により、
    物流そのものが危機になっています。

    それを専用の自動化道路をつくることで
    解決しようということで、
    「ぶっとんだ」発想のようにも思えます。

    でも資料を見る限り、
    決して夢物語ではありません。
    ビジネスモデル、
    オペレーション、
    インフラ
    の3つの分科会で検討されており、
    実際に誰がどのように運用し、
    そのために何処に何が実装されて、
    どのようにメンテされていくのか、
    具体的なイメージになっています。

    ビジネスにおいては、
    運用をサポートするシステムが誕生し、
    システムの向上とともに、
    運用前提でシステムを適用させるのではなく、
    システム前提で運用を適用させるようになっています。

    物流も、もしかしたら、
    自動物流というシステム前提に、
    陸上輸送の運用が構築されていく
    未来があるかも知れません。

    環境省 「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル」

    脱炭素経営の推進。

    国際的な枠組みでも唱えられており、
    環境技術が進んでいる日本が
    リーダーシップを発揮している分野でもあります。

    一方で実施するのは政府ではなく企業。
    それも一部の大企業だけではなく、
    中小企業含めたすべての企業が
    脱炭素経営を進める必要があります。

    脱炭素経営が定着するためには、
    脱炭素経営そのものにメリットがあり、
    脱炭素経営を進めることへのインセンティブが働く必要があります。
    そのインセンティブは、
    たとえ最初は政府が創出するものであったとしても、
    中長期的には、だれもが認識できる自律的なものである必要があります。

    この「バリューチェン全体」での事業モデルは、
    このチャレンジへの具体的な取り組みとなります。

    令和7年度は、製造業、食品、製薬、紙おむつなどの企業連合が
    選定されています。
    これまでは住宅、アパレル、小売などの業界が取り組んでいます。

    企業のサプライチェーン、バリューチェーンに
    一歩一歩、脱炭素化という横櫛が
    とおり始めているように感じます。

  • Setting the Table 2025年7月18日

    国土交通省 「リフォーム支援特設サイト」

    住宅リフォームについて補助金等多数の支援制度があります。

    住宅省エネ2025キャンペーン
    子育てグリーン住宅支援事業
    長期優良住宅化リフォーム推進事業
    子育て支援型共同住宅推進事業
    住宅建築物安全ストック形成事業
    既存住宅における断熱リフォーム支援事業
    介護保険法にもとづく住宅改修費の支給
    など

    補助金と税金が併用できること
    ローンの有無に関係なく利用可能なこと
    リフォーム促進税制で最大60万円〜80万円控除
    など、利用するメリットは大きいです。

    今回の特設サイトは、
    実際に行ったリフォームの内容を入力することで、
    具体的にどのような事業のどのような支援を
    いくらの金額受けることができるか、
    といったことが簡単に表示されます。

    一般消費者にとってだけでなく、
    事業者にとっても、
    消費者にコンサルティングを提供する上で
    非常に便利なツールとなっています。

    厚生労働省 「海外渡航者向け啓発ツール」

    映画アウトブレイクの原案になった小説ホットゾーン。
    実話であり、ウイルスの恐ろしさを
    生生しく伝える内容となっています。

    ホットゾーンのようなアフリカの奥地に冒険に出かける方は
    少ないと思いますが、
    感染症のリスクは、身近に存在しています。

    東南アジアに行けば犬が道路をあるいていますし、
    インドの地方に行けば牛は車よりも優先です。
    ネイチャーツーリズムやエコツアーには、
    現地を知り、地域の人と交流できる魅力的な
    コンテンツがあり
    自然動物に身近に接することができるものや
    熱帯雨林の中で冒険するようなものもあります。

    海外では自分の身は自分で守らなければなりません。
    万が一ウイルスを持ち込んだら、
    大切な人にも影響を与える可能性があります。

    何に注意をすればよいのか、
    簡単に理解できるリーフレットが
    厚生労働省から提供されています。

    環境省 「第12回大気汚染に関する日中韓三カ国政策対話」

    近隣国はお互いに環境を共有しています。
    ALPS処理水の海洋放出には
    中国や韓国では反対の声が根強いです。

    日本にも中国から定期的に飛来する黄砂に
    ネガティブなイメージを持っている方は少なくないと思います。

    他国のことで、自国ではコントロールできないため、
    近隣国の環境問題は
    外交問題に発展しがちです。

    こういった近隣国で対話の仕組みが存在しており、
    共通のゴールを持って
    技術交流が進められているということは、
    非常に大きな意義を持つと思います。

    オゾン発生要因の研究やNOx、VOC対策など、
    大気汚染の原因となる物質についての技術的な内容となりますが、
    日中韓のイニシアティブをアジアに展開していくなど、
    リーダーシップの要素もあります。

    この会合の内容が私たちの生活の場に
    どのように具現化していくか、
    という点において、
    何も約束されたものはありませんが、
    一人一人の環境意識の高まりが、
    こういった枠組みの
    背景にあると思います。

  • Setting the Table 2025年7月17日

    金融庁 「金融安定理事会」による最終報告書

    金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)は、
    1999年設立の
    金融安定化フォーラム(FSF、Financial Stability Forum)
    を引き継ぐ形で2009年に設立され、
    主要国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省
    IMF、世界銀行、国際決済銀行、OECD等
    の代表が参加する会議体です。

    今回、ノンバンク金融仲介に関する
    3つの報告書を公表しました。

    ノンバンク金融仲介とは
    証券会社、
    投資ファンド、
    保険会社、
    年金基金、
    その他銀行以外の金融仲介機関
    です。

    銀行の機能は各国で共通しており、
    その前提で国境を越えたネットワークで
    安全性や信頼性が担保されているのと
    対照的に、
    ノンバンク金融機関は
    ビジネスモデルもガバナンス構造も
    異なるので、
    画一的な規制監督対応が困難です。

    その一方で、
    預貯金、融資、決済等のビジネスモデルだけでなく、
    多様な金融仲介が誕生することには
    金融市場の拡大と安定化のためには
    歓迎すべきところもあります。

    今回の金融庁のWEBではわかりやすく
    3つの論点のそれぞれに分けていますが、
    原文は一つのもののようであり、
    ノンバンク金融機関のレバレッジ
    についての脆弱性やデータ面での課題
    にどのように対応していくか、
    ということが主要な論点と思われます。

    ノンバンク金融仲介には少ない資金で
    大きな取引を行うものもあります。
    こういった取引は金融市場への参加者を
    魅力を高めていますが、
    同時に多くのリスクを孕んでいます。

    現金需要が流動的で
    突発的に大量の需要が発生した場合、
    その需要に対応できないと
    金融機関として存続のリスクに晒されます。

    銀行においてはBIS規制があり、
    自己資本比率8%以上
    急な資金引き出しに備えるための流動性規制
    レバレッジ比率規制
    等が定められています。
    これらの規制は、
    金融システム全体の安定性を維持するとう観点で定められています。

    ノンバンク金融仲介が増えることは、
    金融システム全体の安定性そのものが脆弱になる
    リスクもあり、それらをデータ面でどのようにとらえ
    各国でどのように監督していくか、
    ということが各中央銀行の課題となります。

    電子マネーが当たり前になり、
    オンラインで様々な取引が可能になっています。
    金融仲介の裾野の広がりは
    すなわち様々な課題が、
    一部の金融機関だけでなく、
    私たち一人一人の問題にも
    つながっていくということを
    意味すると思います。

  • Setting the Table 2025年7月16日

    経済産業省 「GENIAC」

    生成AI。
    わずか数年前に誕生したこの技術は、
    気づくと気づかざるとにかかわらず、
    すでに私たちの生活に深く浸透しています。
    そして、それにもかかわらず
    生成AIによる変化は
    これからが本番と言われています。

    生成AIから思う浮かぶのは、
    エヌビディアやオープンAIなど、
    アメリカの企業ばかりですが、
    日本でも生成AIの基盤モデル開発の
    取組が、官民を挙げて進められています。

    その名もGENIAC

    基盤モデル開発者と
    それを利活用する実証事業のネットワーク。

    実証事業の内容、
    採択事業者の報告会、
    ニュースレター
    等を通じて、
    どのような取り組みが行われているか、
    理解することができます。

    アプリケーションとして出来上がってきたものを
    使いこなすのが生成AIの活用ではない、
    ということを、GENIACから知ることができます。

    総務省 「26GHz帯及び40GHz帯における5Gの利用調査」

    世界で普及が進む5Gと、
    世界で取り組みが進むBeyond5Gと6G。

    万博でもこれらの新しい通信技術は
    テーマとして取り上げられていますが、
    日本にはユニークな、
    そして地に足のついた取り組みとして
    ローカル5Gがあります。

    5Gの周波数はそれを実装したり、利用したりする人にとっては
    身近ですが、関わっていない人には、
    なかなかイメージがつきにくいです。

    新たに26GHが割り当てられることにより、
    既存のサービスの利便性の向上だけでなく、
    新たなサービスも実現することが期待されます。

    この調査結果からその具体的内容の片鱗を
    垣間見ることができます。

  • Setting the Table 2025年7月15日

    環境省 「令和7年度生物多様性地域戦略の策定推進支援業務」

    食物連鎖・エコシステムにより
    生物が維持されていて、
    多様性が維持されないと、
    生態系が危機に陥ることは言うまでもありません。

    WWFによると、
    過去50年で
    生物多様性が68%減少しているとのことです。

    その原因は、
    森林伐採、
    野生動物の乱獲
    大気汚染
    気候変動
    外来種
    など、いずれも人間の活動によるものです。

    各国で生物多様性維持のための取り組みが行われており、
    日本でも様々な行政機関がそれぞれの
    専門分野で活動しています。

    例えば、農林水産省は生産者視点にたって、
    生産者が生物多様性の取り組みを行なっていることを
    ラベル化することを検討していたりします。

    化学肥料や合成農薬を低減し、
    昆虫等自然の力で農作物を栽培している
    農作物について、見える化する取り組みです。

    この環境省の生物多様性地域戦略の策定推進は「地域戦略」。

    自然を使って地域を元気にする。地域課題を解決する。
    地域の活力で自然を守り育てる。
    多くの取組や主体を巻込む。

    という3つの方向性を踏まえ、
    地域課題の解決や地域活動の活性化に
    つなげるという内容です。

    各地域での自然の活用がより情報発信されていくと思います。
    日本の歴史・文化・おもてなしの心
    の素晴らしさが改めて認識されていますが、
    それらを支えてきたのは自然の美しさ。

    地球環境の破壊は深刻な問題ですが、
    その対策の過程で、
    こういった素晴らしい取り組みが生まれていく
    ことは素晴らしいと思います。

    文部科学省 「AIスーツケース」

    文部科学省より広報誌ミラメクの夏号が公表されています。

    大阪・開催万博の会場で
    実証実験が行われている
    AIスーツケースについて本号で
    詳細な説明がなされています。

    ハード・ソフトで100以上の構成部品からなるとのこと、
    まさに技術の結晶。
    実験体験者の方からの評価も高いようです。

    また、万博だからこそ明らかになった、
    人混み対策や地図なし走行などの
    新たな課題。

    人が集まるところで、
    技術が生まれ、育つことを改めて感じます。

    AIはまだイノベーション段階なので、
    何の役に立つのか、
    わからないアプリケーションもありますが、
    何かしらの障害を持つ方を
    補助する機能としてAIを活用する、
    というのは、大きな可能性を秘めていると思います。