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  • Setting the Table 2026年4月16日

    経済産業省
    「地政学リスクを踏まえた製造基盤強化等に関する検討会」中間取りまとめ「製造基盤強化レポート」

    日本は製造業のGDP比率が高く、材料を輸入し、加工し、工業製品を輸出することで経済を成長させてきました。

    オイルや鉱物資源を輸入に頼っている中、諸外国の輸出規制により工業製品が生産できないリスクに直面しています。
    併せて強みとしている技術力もグローバル・サウス含めた新興国の台頭が著しく、特にソフトウェア、デジタル・AIの導入状況は相対的に低い状況が続いています。

    通貨としての円の国際的な価値が低下している今、再び輸出によって外貨を稼ぐことが、喫緊のテーマと言えます。
    しかしながら設備が老朽化し、人材が不足し、国内市場の規模が縮小しており、かつてのような機動力が発揮できない状況です。

    「製造基盤強化」は、まさに今の日本にとって必要な施策と言えます。
    経済安全保障は、今、製造業の競争力維持に直結しています。

    このレポートから多くを学ぶことができます。
    一部を抜粋させていただきます。

    【支援対象の拡大】

    • 鉱物に加え、化学品等、重要物資の製造に不可欠であるが、汎用性がある基盤的物資を支援
    • 製造基盤の強靭課を支える技術要素群に着目して支援[支援対象イメージ:鋳造、鍛造等]
    • 「総合的なシンクタンク」「官民協議会」の活用

    【サプライチェーンの上流から下流、循環までの一貫支援】

    • 循環:循環資源獲得競争が進む中、経済安保上重要な循環資源を支援
    • 上中流:次世代技術開発に必要な部素材のうち重要なものを支援[支援対象イメージ:ヒューマノイドのモーター・センサー、量子のレーザー等]
    • 中下流:経済安保を踏まえた企業ガバナンス構築、調達源多角化等の需要サイドの対策を推進
    • 新たな戦略的国際分業の推進:地政学リスクにも耐え得る形での新たな戦略的国際分業の構築、FSから実証、実証まで切れ目ない海外展開支援
    • 物流の強靭化:海上輸送を含む物流の強靭化のための対策を強化

    【「エコシステム」への支援】

    • 製造AXの推進:蓄積された現場データを生かしたデータ基盤整備とその実装を加速
    • 製造基盤を支える人材の育成・確保:文理分断からの脱却、学部再編等による理工・デジタル系人材の育成等
    • 技術流出防止のより一層の強化:官民対話スキームや技術流出対策ガイダンス等の徹底・充実、同志国連携等
    • 中堅・中小企業を含むサプライチェーンの強靭化:100億宣言のネットワーク等を活用した支援の拡充

    【「自助」「共助」「公助」のバランス】

    • 国による積極的な対応:民の対応が極めて困難な領域について、国による更なる支援のあり方を検討
    • 「経営判断」のアップデート:地政学リスクも織り込んだ新たな経営への行動変容を促進

    <所感>

    かつては日本の経済全体は、旧通産省が各産業や商社と密接に連携をしながら、裏側で成長の設計図を描いてきました。
    しかしながら特に日米貿易摩擦などを背景に長い間経済への国の関与は表立って行われることは少なかったと言えます。
    特に官公庁との飲食が厳しくなってからは、民間企業と中央官庁との交流も少なくなったと言えます。

    しかしながら、行政と民間がバラバラで活動するのと、一体で活動するのでは、後者の方が強いことは分かりきっています。

    これまでは、大きな展示会や大きな外交イベントで組まれる使節団のような形でしか政治主体と経済主体が合同で取り組む機会はなかったかも知れませんが、
    そういった中で、今回のこのレポートは、かつて日本株式会社と言われた旧通産省が牽引する経済活動の復活を感じさせてくれる内容になっています。

    今後、この中間取りまとめをもとに、製造基盤の強化等に向けた施策が具体化させるとのこと、期待したいです。