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  • Setting the Table 2025年7月14日

    World Trade Organization “In a world of trade tensions, what do tariffs really do?”

    1930年代の不況後、
    世界経済のブロック化が進み
    各国が保護主義的貿易政策を設けました。
    それが第二次世界大戦の一因となり、
    終戦後にその反省から
    1947年にガット(関税及び貿易に関する一般協定)が作成され、
    ガット体制が1948年に発足しました。

    ガットは国際機関ではなく、
    暫定的な組織として運営されてきました。

    しかし、より強固な基盤をもつ国際機関を設立する必要性が強く認識されるようになり、
    1994年のウルグァイ・ラウンド交渉の妥結の際にWTOの設立が合意され、
    1995年に設立されました。

    WTOの2大原則として、
    最恵国待遇:すべての加盟国に同等の貿易条件を与えること
    内国民待遇:輸入品を国産品と同等に扱うこと
    があり、それにより加盟国間で世界経済の発展と
    貿易のルールと紛争処理システムを確立を
    目指してきました。

    WTO accessions mapで加盟国数の年次推移をビジュアルで見ることができます。

    経済的に遅れている途上国の加盟が増えていっていることが分かります。
    グローバリゼーションによって先進国は途上国から富を移転させ、
    貧困をもたらし、格差を拡大する、という見解がありますが、
    必ずしもそうとは言えないと思います。
    途上国が厳しい基準をクリアして加盟するには理由があります。
    中国がWTO加盟によって飛躍的な経済成長を遂げたように、
    自由貿易は発展途上の国の経済を改良する力を持っています。

    今、その自由貿易をリードしてきたアメリカ発の
    トランプ関税が世界を揺るがしています。

    このRalph Rossa氏の記事は、
    そもそも関税の役割は何か?
    について改めて説明しています。

    関税が関税収入を増やし、
    国内産業を保護する効果は
    短期的なものであり、
    長期的にはインフレをもたらし
    国際競争力を低下させるということが、
    非常にシンプルに分かりやすく説明されています。

  • Setting the Table 2025年7月12日

    消費者庁 第9回デジタル社会における消費取引研究会

    2021年に特定商取引法が改正され、
    通信販売における取消権創設
    詐欺的な定期購入商法への対策
    が定められました。

    また取引デジタルプラットフォーム消費者保護法で、
    以下のような内容が定められています。

    ●オンラインモール等の
    取引デジタルプラットフォーム提供者に対して
    販売業者等と円滑に連絡できるようにするための措置
    販売条件等の表示の適正を確保するための措置
    販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置
    などの努力義務

    ●事実に相違する等の場合、
    取引データプラットフォームの利用の停止等の要請

    ●消費者が販売業者等の情報の開示を請求できる権利

    ●官民協議会を組織

    デジタルインフラがはすでに十分に普及して
    一般的なものとなっている中で、
    消費者が
    自らの個人情報を保護すること
    正しい情報にアクセスすること
    を確保し続けることは大きなテーマとなっています。

    英国では犯罪捜査の基準に準拠して
    デジタルフォレンジック
    を実施しているとの内容も紹介されています。

    サービスを提供する側から、
    消費者を守る側も、
    発展していく必要があり、
    その過程で新しい法制度・技術・サービスが
    必要になっていくことになります。

    デジタル庁 民間事業者向けマイナンバーカード活用情報

    2024年12月26日に
    行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令
    が定められ、
    民間事業者は、
    マイナンバーカード(ICチップ)の空き領域にアプリケーションを搭載することにより、
    様々な事務でマイナンバーカードを活用することが可能
    となりました。

    2025年7月11日時点で、
    マイナンバーカードの本人確認機能を活用したサービスを
    提供している民間事業者は580社を突破しているとのこと。

    マイナンバーカードを行政機関や民間事業者が
    有効に活用するために、
    以下のような基盤が構築されています。

    公的個人認証サービス(JPKI)
    マイナンバーカード対面確認アプリ
    マイナンバーカードかざし利用クライアントソフト
    デジタル認証アプリサービス
    マイナポータルAPI

    行政側がマイナンバーカードの情報を扱う基盤を
    提供することにより、
    民間事業者にとっても、
    消費者にとっても、
    安心して利用できる基盤が確立されています。

    これからますます利便性が高まっていくことが
    期待できるとともに、
    日々更新されている情報も、
    確実にキャッチアップして、
    使えるものは使っていくという考え方も
    必要と感じます。

  • Setting the Table 2025年7月11日

    農林水産省 「食料システム法」

    「食料の持続的な供給」
    という日本の食料安全保障のための法律が6月に成立しました。
    価格形成に関する制度
    計画認定制度
    の2つの制度からなります。

    価格形成に関する制度は
    食料が低価格で取引されることによる
    供給事業者の継続が困難になることを防ぐための措置で、
    生産者の持続的な供給のために、
    事業者側に新たな努力義務が定められ、
    取組が不十分な場合は行政による指導・助言の措置の対象と成り得ます。

    計画認定制度は、
    食品製造業者
    食品卸売業者
    食品小売業者
    外食産業
    の各事業者が、
    生産者との安定的な取引関係の確立
    流通の合理化
    環境負荷の低減
    商品者に選ばれるための情報提供
    などの取組を作成し、
    農林水産大臣の認定を受けた老婆、
    各種支援・特例措置を受けることが可能です。

    7月から8月にかけて、
    北海道から沖縄までの各ブロックで説明会が開催されます。

    流通の仕組みにインパクトのある仕組みなので、
    ウォッチしていきたいと思います。

    内閣府 「第465回消費者委員会本会議」

    超高齢化やデジタル化で取引慣行が大きく変化しています。

    生活にとって不可欠なサービスを受けようとした時に、
    膨大な約款や利用規約がついていて、
    到底読むことができないので、
    そのまま同意をクリックしたという経験は、
    誰もが少なからずあると思います。

    立場として、一般消費者は事業者よりも弱者です。
    消費者保護法と言われる、
    消費者契約法、景品表示法、割賦販売法、特定商取引法といった
    一連の法律が定められており、
    事業者が強い交渉力を背景に消費者から不当に搾取する行為が規制されています。
    クーリング・オフなどはわかりやすい例と言えます。

    変化している取引慣行の中で、
    どのように消費者を保護していくか、
    という観点から、
    法学だけでなく、
    法哲学
    法社会学
    倫理学
    経済学
    法と経済学
    AI技術
    等の様々な分野から検討されてた専門委員会の報告書が
    公表されています。

    時代の変化に応じてサービスも変化しますが、
    同時に弱者を守るために規制も変化することもあります。
    事業者の方々にとって
    こういった動きをチェックすることも
    必要と思います。

  • Setting the Table 2025年7月10日

    日本銀行 「中央銀行デジタル通貨に関する連絡協議会」

    CDBCはCentral Bank Digital Currencyの略。
    中央銀行が発行するデジタル通貨です。

    CDBCの導入のためには、
    既存の金融システムを、
    根本から見直す必要があり、
    金融業界だけでなく、
    すべての企業、そしてすべての国民にとって
    大きなインパクトのある取り組みです。

    諸外国でもCDBC導入に向けた議論が進んでいて、
    デジタル人民元に関しては
    すでに越境決済含めた実証段階に入っています。
    欧州中央銀行(ECB)もデジタルユーロに関する会議体を、
    英中銀もデジタルボンドに関して
    技術的側面と非技術的側面のそれぞれの
    フォーラムを設置しています。

    一貫してFintechを推進している日本では、
    資金決済法改正でステーブルコインが
    電子決済手段の一つとして
    法的に定義され、
    信託銀行等が発行するステーブルコインが
    決済手段として本格的に流通することが期待されています。

    CDBCはいわばデジタルの「円」。
    諸外国の状況、
    マネーロンダリング対策、
    新たな技術、
    既存のシステム
    など、検討すべき内容は無限大ですが、
    この議事録からは、
    着実に検討が進められていることを感じます。

    公正取引委員会 「海外の動き」

    ITで世界の支配的シャアを持つ企業が、
    海外当局から独占禁止法違反の疑い等で
    対応を迫られている事例が掲載されています。

    インターネットのサービスで、
    インターネットにつながると、
    それは世界とつながることを意味します。

    今、どのようなサービスであっても、
    各地域にローカライズすることは
    難しいことではなくなってきています。

    しかし、たとえローカライズされて、
    各地域で消費者に受け入れられたとしても
    市場は別であり、
    各市場にサービスを提供する以上は、
    その市場のルールに従わなければなりません。

    そして、ある市場で独禁法違反と認定されると、
    それは他の市場にも波及することになります。

    グローバル市場にサービスを展開する上で、
    独禁法についての正しい知識を持つことが必要です。

  • Setting the Table 2025年7月9日

    財務省 「令和7年5月 国際収支状況」

    経常収支における貿易・サービス収支は
    財またはサービスの輸出入の差額、
    所得収支は海外からの利子や配当金等の収益です。
    金融収支における直接投資と証券投資は
    海外への投資の金額です。

    よく知られている通り、
    貿易収支とサービス収支の赤字を
    所得収支の黒字が補い、
    経常収支が黒字になっています。

    直接投資、証券投資の規模の大きさからも、
    日本で生産して輸出して外貨を稼ぐ、
    という日本の成長を支えてきたモデルは、
    影を薄めていることを感じます。

    一方で、エネルギー・食料だけでなく、
    サービスについても対外依存度が高まっています。

    さらに半導体や自動車など、
    日本の成長を牽引してきた産業について、
    外資が日本に投資をしたり、
    人手不足を外国人労働者で補ったり、
    という姿になりつつあります。

    グローバル市場で高い競争力をもつ日本の財は
    まだまだたくさんあり、
    コンテンツをはじめ新たに高い競争力を持つ産業も
    たくさん育っていますが、
    客観的に国際収支の数字を見る限り、
    日本から海外への投資ではなく、
    海外資本への日本への投資呼び込みでもなく、
    海外に輸出する財・サービスをより強化していくことが、
    とても重要なテーマであると感じます。

    総務省 「令和7年版情報通信白書」

    60代の8割がネット接続端末としてスマートフォンを利用、
    50代以下ではインターネットが最も欠かせない情報源。

    インターネットやスマートフォンが登場した時は、
    インターネットやスマートフォンは
    高い年齢層よりも若い年齢層に早く取り入れられました。

    その当時の若い人々も、今は40代や50代。
    さらに若い世代はインターネットやスマートフォンが
    当たり前の時代に育っています。

    インターネットやスマートフォンを前提とした
    生活インフラが当たり前になっていくのは
    当然の流れであり、
    避けられないことは当初からわかっていたシナリオと思います。

    その一方で、
    通信インフラやデジタルデバイスが、
    本当の意味で社会に実装され、
    私たちの生活を豊かにするのはこれからの話となります。

    民間企業が便利なサービスを提供して、収益を得る。
    国はそれらのサービスの運営を正しい方向に導く。

    国が社会課題を解決するために、デジタル技術のアイデアを募る。
    民間企業が、画期的なアイデアを新しいテクノロジーで実現し、
    社会課題が解決される。

    こういった自律的なエコシステムが形成され、
    情報通信が、かつての自動車や家電に続く、
    経済の礎となるような産業になると素晴らしいと思います。

    経済産業省 「国内投資マップ」

    行政が経済活性化のためにできることは
    補助や表彰など、サポート的な役割が中心で、
    行政自らが主体となって経済活動に参加する手段は限られています。

    一方で、日本は素材からアセンブリまで、
    様々な企業が連携して、一枚岩で成長してきました。
    自動車メーカーが強いのは、
    自動車部品、製鉄、機械、精密加工、ロボット、半導体などの、
    パートナー企業のサポートがあってこそ。
    そのパートナー企業には、
    大企業もあれば中小零細企業もあり、
    その企業も高い競争力を維持するためには欠かせません。

    それらの連携が実現したのは、
    最終アセンブリの産業が
    グローバルで高い競争力を持ち、
    国全体で振興してきたからこそと言えます。

    そういった意味でも、
    これまで国がどのような投資を支援してきて
    これからどんな投資を促していくのか、
    地域ごとに俯瞰的に見ることができる
    この国内投資マップはとても参考になります。

  • Setting the Table 2025年7月8日

    出入国管理庁 「第5回特定技能制度及び育成就労制度の基本方針及び分野別運用方針に関する有識者会議」

    入管法令和6年改正で技能制度が育成就労制度に変わることが決定し、
    3年以内に施行されます。

    育成就労制度での外国人受け入れを行うためには、
    「育成就労産業分野」として設定されていることが必要です。

    育成就労対象分野の設定はそれぞれの分野を所管する省庁を中心に
    検討が進められていますが、
    有識者会議の資料から
    新たに追加する分野、
    業務区分の追加を行う分野、
    業務区分の切り分け等を行う分野
    のそれぞれについて、
    育成就労の期間中にどのような技術を身につけるか、
    イメージを持つことができます。

    厚生労働省 「毎月勤労統計調査」
    内閣府 「景気動向指数」

    これらは新聞等でも大きく取り上げられています。
    マクロの流れをつかむ上では
    消費者物価、賃金、雇用、景気の動向を
    ウォッチすることが不可欠です。

    アメリカではFRBが
    雇用の最大化と物価の安定
    の二つの責任を負っていて、
    雇用統計の内容が金利等の金融政策を左右します。

    日本ではこういったDual Mandateに
    明確に責任を負う単一の機関はないため、
    例えば実質賃金が5ヶ月連続でマイナスという資料をもって、
    日銀が賃金が上がるための施策の遂行する責任を持つ、
    といったことはありません。

    雇用、金融政策、財政政策、国際収支含めて、
    総合的に政策が遂行されているため、
    行政府がこれらの情報をどのように分析し、
    どのように政策に反映されるかについての
    見通しを得ることは難しいです。

    そして、財市場と貨幣市場は
    国際収支にも左右されます。
    アメリカとの関税交渉の結果が、
    これらの指数に何かしらの影響を与えることは
    間違いないでしょう。

    物価、賃金、
    貿易、安全保障、
    文化交流、インフラ、
    技術開発、地方創生
    これらのいずれをとっても、
    政治の対応が、私たちの生活に
    大きな影響を与えるタイミングになっています。
    このタイミングでの参議院選の結果は、
    とても重要と思います。

    農林水産省 「輸出支援サービスラボ」

    天然の農林水産物には賞味期限があります。
    その収穫は自然環境に大きく左右されます。
    農林水産物の流通のために大きな
    この2つのハードルは、
    海外に輸送するとなると、
    ますます高くなります。

    それだけでなく、販路をどう拡大するか、
    輸入国の通関手続きにどう対応するか
    売買代金を確実に受領するたには?
    など、貿易となると
    対応しなければならない内容が増え、
    専門的な知識も必要となります。

    輸出支援サービスラボでは、
    それぞれの項目について、
    分かりやすく説明されています。

    環境省 「温泉資源保護ガイドライン検討会」

    日本で歴史的に愛されてきた温泉。
    近年は観光資源だけでなく、
    地熱発電の資源としても
    改めて見直されています。

    「温泉」の良さを改めて見直し、
    地域資源を活かしてさらに活性化する。

    世界中で飛び交っている様々な情報に振り回されず、
    日本にある本当に良いものに着目した、
    地に足のついたプロジェクトであると感じます。

    国土交通省 「スマートシティ推進に向けたRFI」

    スマートシティが唱えられるようになったのは
    10年以上前。
    これまでに、
    地域の電力、ガス、住宅企業等が中心となって
    様々なスマートシティ構想が実現し、
    Toyota Wovn Cityのように
    大きな企業連合で継続的に実証が進んでいるものもあります。

    これまでにも国土交通省から
    スマートシティ実装化支援事業は行われてきましたが、
    今回は具体的な分野を絞って、
    テーマごとにアイデアや提案が募集されています。

    テーマが与えられることで、
    必ずしも大企業でなくとも、
    様々な主体から、
    多くのユニークな構想を提案することができる
    機会が提供されていると感じます。

  • Setting the Table 2025年7月7日

    Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)
    世界13億人の若者の農業従事促進

    定職につかない人を表現する
    NEET
    (Not in Employment, Education, or Training)
    という表現は日本でも定着しました。

    このReportによると、
    世界の20%の若者が
    このNEETのカテゴリに属するようです。
    20歳から24歳のNEETの若者に
    職の機会を提供することで、
    世界のGDPを1.4パーセント、
    金額にして1.5兆ドル上昇させる
    とのこと。

    同時に、若者の54%が都市部に住んでいて、
    農業部門に従事することがキャリア形成の上で
    魅力的でない限りは、
    農業部門における人不足が進むこと、
    都市部の若者が農業部門に従事することになれば、
    非常に大きな投資機会になることを
    示しています。

    もちろんこの数字が
    日本にそのまま当てはまるわけでは
    ありませんが、
    近代化された農業に従事することが
    若者にとってより魅力的な体験となり
    キャリア形成にとって魅力的な選択肢になることが、
    日本における様々な課題を解決することは、
    同じ文脈で捉えることができると思います。

    日本でも農福連携
    など、様々な取り組みが行われています。
    このレポートから、
    農業部門に従事することが、
    若者のキャリア形成にとって
    魅力的となること、
    という視点も重要なことがわかります。

  • Setting the Table 2025年7月5日

    厚生労働省 「いわゆる『スポットワーク』の留意事項等」

    経済が右肩上がりで、
    終身雇用が維持され、
    会社が生活を守ってくれる、
    という時代ではなくなりました。

    一人ひとりが、
    自分の権利を自分で守らなければならなく
    なってきており、
    「権利」の内容を把握して、
    しっかりと主張していく必要があります。

    厚生労働省から提示されたこの資料を見ると、
    いったいどれくらいの雇用主が、
    この内容を遵守できているだろうか?
    と感じます。

    人が足りないからスポットワークで補う、
    人が足りないから外国人を雇用する、
    確かにそれも経営上の戦術と思いますが、
    労働基準法に違反する労働契約は、
    無効となります。

    時代の変化につれて
    様々なことが多様化し、
    複雑化しています。

    お互い「よかれ」と思っていたことが、
    あとで問題になるということもあり得ます。
    身近な相談相手がいると便利と思います。

    総務省 「ICTサービスの利用を巡る諸問題」

    この資料の目次を見るだけで、
    取り上げられている「諸問題」が
    誰にとっても、
    身近なものであることを感じます。

    行政がこれらの諸問題を認識し、
    事業者側への対応等含めて、
    対策を講じている内容を知ることは、
    消費者として安心できます。

    一方で、事業者にとっては、
    ビジネス上の収益追求だけでなく、
    これらの諸問題に対応するガイドラインを
    細かくチェックして、
    迅速に事業内容を適合させていくことが必要であり、
    それができる事業者が、
    10年後、50年後、100年後も
    信頼され続ける企業になると思います。

  • Setting the Table 2025年7月4日

    財務省 「高齢者の資産をめぐる2つの問題」

    この三井住友信託銀行の資料によると、
    75歳を超えると認知症有病率が急速に高まります。

    健康で生き生きで働き続けることができることが理想ですが、
    現実問題として存在している認知症の問題についても
    正面から取り組んでいく必要があることを
    改めて認識させてくれる内容となっています。

    認知症高齢者の保有資産が
    2020年にすでに255兆円という規模となっており、
    この資産が本人のために、
    正しく使われるような「制度」を構築しなければなりません。

    米国では民間による信託が発展しています。
    個人的には、
    米国の信託はどちらかと言えば相続制度が
    ネガティブに捉えられてきたことから発展してきたように感じます。
    日本で米国同様の信託制度が望ましいとは必ずしも言えないと思います。
    一方で、現在の法定後見、任意後見といった制度だけでは、
    高齢者の資産を「活かす」という意味では
    十分ではないとも感じます。

    環境省 「自動車向け再生プラスチック市場」

    私たちの生活の中にプラスチックは溢れています。
    顔料を練り込んで着色したマスターバッチを
    樹脂のペレットとまぜ、
    ブロー成形、射出成形などの機械で
    金型をとおって部品になります。

    耐熱性に優れたプラスチックもあれば、
    外部からの衝撃に対して強いプラスチックや
    接着性や加工性に優れたプラスチックもあり、
    用途に応じて無数にある化学構造の中から、
    最適な機能のある素材が開発されてきました。

    「再生プラスチック」というと、
    環境保護の上で聞こえは良いですが、
    既存のプラスチックを素材から置き換えのは
    至難の業です。
    ましてや、自動車という人の命を預かる機械で、
    品質への妥協は許されません。

    一方で3Dプリンタなど、
    デジタルを活用した新しい技術が生まれ、
    これまでと違った加工方法も可能になっています。
    新しい技術から、新しい製品が生まれ、
    新しいリサイクルの形も生まれることも期待できます。

    自動車プラスチック向け再生プラスチックというのは
    とても大きなテーマですが、
    日本の素材、部品、アセンブリ、加工含めた横軸で
    様々なアイデアを出し合えば、
    魅力的かつ実用的な市場を創造できるかも知れません。

  • Setting the Table 2025年7月3日

    観光庁 「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」

    観光DXとは
    「業務のデジタル化により
    効率化を図るだけではなく、
    デジタル化によって収集されるデータの分析・利活用により、
    ビジネス戦略の再検討や、
    新たなビジネスモデルの創出といった変革を行うもの」
    と定義されています。

    サイトから、
    観光地域づくり
    来訪・周遊増
    生産性向上
    といったカテゴリ毎に
    過去3年間の事業を確認することができます。

    令和7年度の実証事業は
    ●地域活性化の推進モデル
    ●生成AI活用モデル
    ●オープンデータ推進モデル
    の3つ。

    近年の海外インバウンド観光客が増えている背景は、
    円安だけでなく、
    各地域でDMOが主体となって、
    多言語のWEBサイトで地域の魅力を発信していること、
    つまりデジタルの背景があることは見逃せません。

    日本の魅力はトレンドではなく、
    歴史・文化・おもてなしの心に基づくもの。
    海外からの訪問者がそれらを体験し、
    共感し、関わることで、
    その魅力はさらに高まります。

    デジタル技術で訪問者が増えました。
    さて、次のステップは?

    それぞれの地域が、
    デジタル技術を活用した地域活性化に向けて、
    様々な創意工夫をしています。