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  • Setting the Table 2026年7月28日

    農林水産省
    「食料・農林水産業の国際標準戦略」

    「知的財産推進計画2025」の「新たな国際標準戦略」では、17の重点領域が設定され、その中で「食料・農林水産業」を含む8つの領域が「戦略領域」として位置付けられました。

    地域性や文化への依存が強く、規制が多い食料・農林水産業で、日本が国際的なルールの形成に参画し、主導していくことを表明しています。

    日本の食料・農林水産業の、安全・安心は国際的に認知されており、標準化によって市場における競争力が高まることは想像できますが、この分野での「標準化」とは、そもそも何なのか、いまいちピンときていませんでしたが、農林水産省より7月24日に公表された国際標準戦略を読むとよく理解することができました。

    以下、要点を抜粋させていただきます。

    【国際標準】

    • デジュール標準:ISOやCodex委員会等の国際的な標準化機関が作成する標準
    • フォーラム標準:特定の技術分野における標準化団体が作成する標準
    • デファクト標準:特定の製品・サービスが世界中に普及することで事実上の標準となるもの

    【アプローチの例】

    • まだルールのない領域で主導権を握り市場創出を図る
    • すでにデファクト標準等が存在する市場で日本の技術の優位性を生かせる規格化を図りシェア奪還を狙う
    • 国際的な規格の適用範囲外になる日本固有の食品に日本として新たな規格を作成する
    • あえて標準化を行わない

    【対象とする規格の例】

    • ISOやCodexといった国際規格
    • 欧州標準化委員会のCEN等の地域規格
    • 英国規格協会のBS等の国家規格
    • 花きに関するオランダのMPS等の民間団体規格
    • その他国際的な市場やルール形成に影響を与える基本規格、試験方法規格、製品規格、プロセス規格、業種横断のマネジメント規格
    • 企業の温室効果ガス排出量の算定・報告基準であるGHGプロトコルやカーボンオフセットの仕組みであるJ-クレジットのようなインベントリ算定方法・認証スキーム

    【国際標準により目指す社会課題解決と市場創出】

    • 我が国の強みであるスマート農業技術に関し、データ連携等に係る国際標準化を主導 
    • 我が国の有する GHG(温室効果ガス)の排出削減・吸収技術について、他国のタクソノミー(環境面で持続可能であることを示す分類、基準)やカーボンクレジット方法論(排出削減・吸収に資する技術ごとに、適用範囲、排出削減・吸収量の算定方法やモニタリング方法等を規定したもの)との調和・標準化を図る 
    • 各国の輸出規制・要求への対応 
    • 我が国が先行する技術や食に関する新たな概念について、その定義や評価手法等を国際標準として提案・確立することで、新たなグローバル市場を創出 
    • 成長が見込まれる海外市場において、製品の名称や品質、測定方法やプロセスに関する規格を国際標準として設定することで、市場全体の質を底上げし、信頼性を高める 
    • 既存の市場において、我が国の農林水産物・食品が持つ独自の価値や優位性を客観的に 示すものを国家規格や団体規格として確立し、他国製品との差別化を図る 

    【標準活用の重点領域】

    • 高品質・高付加価値の農林水産物・食品
    • スマート農業、フードテック・フードチェーン、水産養殖、食の栄養評価等の持続可能な農林水産業・食品産業
    • 森林吸収、水田管理、土壌炭素貯留等のGHG削減・吸収ビジネス

    【標準活用推進のための施策】

    • 産業界の主体的な参画を促すため、政府・公的機関は機運醸成に加え、伴走支援を伴う専門サービスの提供や金銭支援の枠組みを提供し、大学・研究機関は研究開発と標準化を一体的に推進し、金融機関や投資家はコーポレートファイナンスやプロジェクトファイナンスの観点での投融資活動を通して産業界の取り組みを後押しする
    • 多くの事業者が国際標準化に参入しやすくなるようなエコシステムを構築する
    • 農林水産省内における推進体制の強化
    • 国際連携の強化

    <所感>

    日本成長戦略全般について全く同じことが言えると思いますが、民間が動くかどうか、動くとしたらどのように動くか、が見える前に、行政側のスキームの構築を行なっています。

    そのスキームの内容は、トップダウンである点、省庁横断的である点、グローバル市場を前提としている点、ファイナンスを巻き込んでいる点など、これまでの政府主導の取組よりもダイナミックかつ緻密なものと言えます。

    その一方で、それゆえに分かりづらく、どの主体がどのように動くのか、一般の人だけでなく、期待されている当事者にも届かない可能性があります。

    行政ができることはあくまでスキーム作りなので、JETROや中小機構のような独立行政法人、金融機関、または専門家などが媒介となって、個別の民間企業が「一歩を踏み出す」ためのアクションが求められるかも知れません。

    または、若い世代がベンチャーとして挑戦する場合は、こういったスキームをどんどん活用して、いろんな機関を巻き込んで推進していくかと思います。

    そういった意味でも、標準化という戦略について、行政がどのようなスキームを描いているか、知っておくことは必要と思いました。