カテゴリー: Quality of Life

  • ウェブアクセシビリティ

    2022年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が成立・施行され、第3条では以下の内容を規定しています。

    • 障害者による情報の取得等の手段について、可能な限り、その障害の種類及び程度に応じた手段を選択することができるようにすること。
    • 全ての障害者が地域にかかわらず等しくその必要とする情報を十分に取得等できるようにすること。
    • 障害者が取得する情報は、障害者でない者が取得する情報と同一の内容の情報を障害者でない者と同一の時点において取得することができるようにすること。
    • 全ての障害者が通信ネットワークの利用及び情報通信技術の活用を通じ、その必要とする情報を十分に取得等ができるようにすること。

    障害者に限らず、すべての人が情報への共通のアクセスを得られることが理想と言え、欧米ではこの取り組みは以前からかなり進んでいます。日本においても、情報を発信する側が、アクセシビリティを確保することの重要性はこれからますます高まっていくことになると思われます。

    2024年4月1日から、障害者差別解消法が改正され、国や地方公共団体などに義務付けられている合理的配慮の提供が、民間の事業者も義務化されました。現時点では努力義務ですが、WEBサイトでは「JIS X 8341-3:2016」に準拠するということが、努力義務とはいえ明確になっています。

    情報アクセシビリティ自己評価様式が総務省から提供されています。JIS X 8341-3の技術基準を見ると、

    • すべての非テキストコンテンツには、拡大印刷、点字、音声、シンボル、平易な言葉などの利用者が必要とする様式に変更できるように、代替テキストを提供する
    • 時間依存メディアには代替コンテンツを提供する。
    • 情報、及び構造を損なうことなく、様々な方式(例えば、よりシンプルなレイアウト)で提供できるようにコンテンツを制作する。
    • コンテンツを、利用者にとって見やすく、聞きやすいものにする。これには前景と背景を区別することも含む。
    • すべての機能をキーボートから利用できるようにする。
    • 利用者がコンテンツを読み、かつ、使用するために十分な時間を提供する。
    • 発作を引き起こすようなコンテンツを制作しない。
    • 利用者がナビゲートしたり、コンテンツを探し出したり、現在一を確認したりすることを手助けする手段を提供する。

    その他、上記以外にも詳細が記載されています。

    また、デジタル庁はウェブアクセシビリティ導入ガイドブックを公開しており、こちらは視覚的に読みやすいないようとなっています。

    ウェブアクセシビリティの基準を満たすためには、まずはウェブアクセシビリティ方針を決め、目標とする適合レベルを定め、ウェブアクセシビリティの試験を行い、試験結果を公開する、といった手順が定められています。

    インターネットを通じた情報発信、情報収集、コミュニケーションが一般的となり、ビジネスにおいてもウェブサイトが欠かせないツールとなっている今、ウェブアクセシビリティを向上させることは不可欠になっていくと思います。

  • ヘルスケア産業

    人の健康はお金には換算できません。その点で健康は「産業」とは言えないでしょう。

    健康の維持のためには、多くのステークホルダーが関わっています。医療機関、医療機器メーカー、製薬、さらには院内設備、薬の卸、健康診断、スポーツクラブなど

    健康に関わる事業は数多く、かつ、一つ一つの規模も決して小さくありません。

    そして、医療や健康は行政と密接に関わっており、医師法、医療法など法規制も多く厳格、健康保険制度は地方自治体、健康保険組合、協会けんぽ等の保険者が
    担っています。医薬品も医療機器も販売のためには各国の許認可を得なければなりません。

    そのため、ヘルスケアをビジネスをして捉えることには心理的な抵抗感があります。

    そういった中でヘルスケア「産業」としてとらえるいくつかの大きな変化が起こっています。

    一つは医療ツーリズム。進んだ医療を受けるため、あるいはより充実した設備で医療を受けるために、富裕層を中心に国を跨いで医療を受ける人が増えています。タイは外国人患者を受け入れることのできる設備・語学の備わった病院がいくつも存在しています。インドネシアの富裕層はシンガポールで健康診断を受ける人が多いです。日本でがん検診を受ける中国の富裕層もいます。こういった医療の国際化の流れは、付随する産業の国際展開を促進することにつながると思います。

    二つ目はデータ。
    健康アプリ、母子手帳アプリをはじめ、様々な無料ソフトウェアがあります。
    日本では電子カルテ(EHR)やPersonal health Record (PHR)の仕組みも政府が積極的に推進しています。またウェアラブルデバイスでも脈拍数を測定できるなど
    医療機器としての一定の機能が備わっています。こういったアプリやコンシューマデバイスを通じて集められたデータは、これまでの治験では得られなかった新たなアウトプットを導く可能性があります。
    そして世界ダントツの超高齢社会の日本で得られたデータに基づくアウトプットは、今後日本の次に超高齢社会を迎える国々にとっての重要なソリューションとなるため、グローバル競争力を持つ新たな企業がデータの利活用から生まれるかも知れません。

    三つ目は規制の動きです。
    規制そのものが、産業育成の観点から一部緩和される傾向にあります。
    薬事承認の期間の特定を適用する事例が増えています。また規制のサンドボックス制度のように、データによる実証を根拠に、規制を見直していくような取り組みも始まっています。
    社会環境が変化するにつれて、そしてICT化が進むにつれて、規制の側にも変化が起こっています。

    ヘルスケアを「産業」として様々なベンチャー企業が誕生しています。今後大きな変化が生まれる可能性があり、注目のテーマと言えます。そして、人の命に関わる事業であるということを十分認識の上、行政の動きと密接に連携していくことが必要です。

  • 高齢者サポートサービスで悩んだら?

    以下のような様々な不安を抱えていらっしゃる高齢者の方々は少なくありません。

    身元保証人の手配
    葬儀の手配や遺品整理
    一人で買物ができない

    こういった問題を抱える高齢者の方々のために日常生活を支援したり、医療機関や介護施設等に入る際の支払いを保証したり、死後事務サービスを提供する高齢者サポートサービスが増えています。

    これらのサービスは高齢者に寄り添う内容である一方で、高齢者の方々にとってはサービスごとの料金の違いや料金体系がわからず、いくら支払うことになるのか不安になったり、サービス利用後に思ったようなサービスではなかったと不満を感じるなど、悩みやトラブルの原因になることもあります。

    地域包括ケア支援センターは、そういった時の身近な相談窓口になってくれます。

    地域包括ケア支援センターには、保健師、社会福祉士、ケアマネージャー等の専門家がいて、さらに行政や各分野の地域の専門家ともネットワークがあるので、総合的に対応してもらうことができます。

    地域に魅力的な高齢者サポートサービスがあるけど、トラブルが心配でなかなか利用できないという悩みをお持ちの場合、まずは一歩踏み出すために、相談されると良いと思います。