2024年4月に成立した物流効率化法は2段階での施行となっており、2025年度からすべての荷主・物流事業者に対する規制的措置(努力義務)が施行、2026年度から一定規模以上の特定事業者に対する措置(義務)が施行されています。
特定事業者(荷主・連鎖化事業者:3,229社、トラック事業者:867社、倉庫業社58社)は初年度である2026年度は10月末までに中長期計画を提出しなければならないなど、対応に追われていることと思います。
特定事業者に該当しない場合でも、将来の義務化に備えて今のうちから対応の準備をしておくことが望ましいと言えます。
以下、荷主にとっての物流効率化法について簡単にまとめます。中長期計画の策定含め、対応にあたりご不明な点があれば遠慮なくお問い合わせをいただけますと幸いです。
1.荷主とは
【荷主の分類】
自社トラック以外のトラックを貨物の運送・受取りに利用していれば荷主に該当し、すべて自社トラックであれば荷主には該当しません。
荷主に該当する場合は第一種荷主、第二種荷主に分類されます。
外注先との運送契約を自社で行なっていれば、第一種荷主、外注先との運送契約を取引先が行なっていれば第二種荷主に該当します。取引先のトラックを利用する場合も第二種荷主に該当します。
その上で、運送する貨物の年間重量が9万トン以上であれば、特定第一種荷主または特定第二種荷主となります。
【連鎖化事業者とは】
フランチャイズ本部が加盟店と運送事業者との貨物の受渡しについて運送事業者に指示ができる場合、フランチャイズ本部は「連鎖化事業者」に分類されます。コンビニは典型的な例と言えます。
【注意点】
仕入時は仕入元が、出荷時は自らが運送契約を締結する場合は、第一種荷主、第二種荷主の両方に該当することになります。
フランチャイズ店が仕入れる商品の配送センターをフランチャイズ本部が管理して、本部が運送契約を締結している場合は、本部は第一種荷主、連鎖化事業者の両方に該当します。
その他、寄託倉庫に物流業務を委託する場合や、委託販売など間接的な売買や受渡しを行う場合、共同配送、巡回集荷/配送など、物流パターンごとにどの荷主分類に該当するか判断する必要があります。
2.すべての荷主の努力義務
【積載効率の向上等】
- リードタイムの確保
- 繁閑差の平準化、納品日の集約
- 社内の関係部門間の連携の促進
【荷待ち時間の短縮】
- トラック予約受付システムの導入等を通じた到着時刻の分散
- 混雑時間を回避した日時指定。
【荷役等時間の短縮】
- 輸送用器具の導入による荷役等の効率化
- バラ積み貨物のパレット化
- タグ導入等による検品の効率化
- 事前出荷情報の活用
3.第一種荷主、第二種荷主の義務
【中長期的な計画の作成】
定期的に判断基準を踏まえた措置の実施に関する中長期的な計画を作成することが義務付けられており、規定による提出をしなかったときには、50万円以下の罰金が科せられます。
【定期報告】
毎年、「努力義務」の実施状況を報告します。荷待ち時間と荷役等時間を分けてそれぞれ計測、平均時間を施設ごとに報告します。
【物流統括管理者の選任】
事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者を物流統括管理者として選任し、物流統括管理者は以下の業務を行います。
- 中長期計画の作成
- トラックドライバーの負荷低減と輸送される物資のトラックへの過度の集中を是正するための事業運営方針の作成と事業管理体制の整備
- その他トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のために必要な業務
- 定期報告の作成
- 貨物運送の委託・受渡しの状況に関する国からの報告徴収に対する当該報告の作成
- 事業運営上の重要な決定に参画する立場から、リードタイムの確保、発注・発送量の適正化等のための社内の関係部門(開発・調達・生産・販売・在庫・物流等)間の連携体制の構築
- トラックドライバーの運送・荷役等の効率化のための設備投資、デジタル化、物流標準化に向けた事業計画の作成、実施及び評価
- トラックドライバーの運送・荷役等の効率化に関する職員の意識向上に向けた社内研修等の実施
- 物資の保管・輸送の最適化に向けた物流効率化のため、調達先及び納品先等の物流統括管理者や物流事業者等の関係者との連携・調整
【注意点】
すべての手続きはe-Gov電子申請によりオンラインで行います。e-Gov電子申請を行うためには事前にGビズIDの作成が必要です。
特定荷主が行う手続きの選択にあたっては、農林水産省、経済産業省など、主たる事業の所管省庁を選択する必要があります。提出する省庁ごとに選択すべき手続きが異なります。
4.中長期計画について
各事業者における物流効率化について、最長で5年間の計画を示すものです。特定荷主の指定を受けた年度の7月末日が締切です(例:2028年度に指定→2028年7月末までに提出)。 ただし、2026年度に限り、10月末日まで延長されています。