海外代理店契約には、Distributor, Sales Representative, Agentなど様々な形態があります。
いずれの形態でも、付与する権利、守るべき義務は契約で定めて合意することになりますが、基本的な知識としてDistributorとCommission Agentの違いを認識することは必要です。
通常は、Distributorはエンドユーザーと自社との間に介在して、取引として販売まで行います。一方で、Commission Agentの場合は、取引には介在しません。販売促進までしか行わず、Commision Agentが見つけてきた顧客に対して、自社が直接販売し、販売価格の○%かをCommission Agentに支払うことになります。
この「売買に介在するか否か」の違いは、貿易においては大きな違いがあります。例えば、Distributorの場合は売買に介在するのでBuyerとして通関手続きを行うことができますし、もちろん在庫を行うことができます。
しかしCommission Agentの場合は、通関手続きのサポートはできてもBuyerではないので通関を切ることができませんし、製品の所有権がないのでCommision Agentの所有物として在庫を行うこともしません。
また、Distributorの場合、末端顧客への販売をDistributorが行うため、
末端価格を自社が決めることはできず、Distributorが末端顧客にいくらで販売したか、自社には分からないこともありますが、Commission Agentの場合は末端顧客への販売を自社が行うため、末端価格を自社で把握し、決定することができます。
Distributorを選定する場合は、どの末端顧客に販売する場合でもDistributorからの支払いになるため、末端顧客毎に口座を開く必要がありませんが、その分、Distributorの与信リスクが高くなります。Commission Agentの場合は、その逆となります。
このように、海外で代理店経由で製品を販売する場合、Distributorか、 Commission Agentかで、検討すべき契約内容が大きく異なることになります。
さらに、例えばCommission Agentの場合でも、寄託在庫ではなく預託在庫として、自社の所有権のまま現地に在庫を持つことができるような仕組みもあります。代理店選定の際は、形態別のメリット・デメリットを把握した上で、
細かく契約内容を検討することが大切です。