生産材

工場での生産のために様々な設備や消耗品が使用されています。

生産ライン、ロボット、搬送機器、専用設備、工作機械などの資本財
PLCなどのFA機器や画像処理のためのカメラ、
ドリル、エンドミル、チップ、切削油
さらには手袋や安全靴なども欠かせません。

工場によっては測定のための定温ルームや、クリーンルームもあり、そういった環境を保つための設備も欠かせません。

量産製品を製造している工場で、ドリル1本がないために生産ができないということになると、大きな問題が発生します。

そのため生産材の調達は、原材料や部品などの中間材の調達と同様に、重要な意味を持ちます。

日本企業が海外でモノづくりをする場合、最初はノックダウン方式で、部品も生産材もすべて日本から海外に送るというところから初めるかも知れませんが、現地拠点が安定的に継続的に稼働していく上では、現地調達をしなければなりません。

日本と同じ商品を同じ品質で海外拠点で作るためには、現地調達で日本と同じ生産材を購入できることが理想ですが、価格競争力や調達の安定性を考え、現地で新たな生産材を評価し、新規購入をする場合もあります。

こういった形で、日本企業の海外でのモノづくりは、現地での新たなサプライチェーンの構築に大きな貢献をしてきたと言えます。日本企業だけでなく、ドイツやアメリカの企業も、中国、東欧、中米、東南アジア等でサプライチェーンを構築してきました。

高品質な生産材は新興国の生産材メーカーが簡単に製造できるものではなく、どの市場でもやはり欧米と日本の企業の製品が高いシャアを持っています。
近年では台湾や韓国の生産材メーカーも高品質の生産材を相対的に低価格で提供し、シェアを高めています。中国、東欧、中米、東南アジア等のモノづくりも、
日米欧資本の企業だけでなく、中国、台湾、韓国、その他現地資本の企業の実力が高まっています。

生産材の調達については、
・外資工場がノックダウンで本国から調達
・外資工場が外資製生産材を現地で調達
・現地資本工場が現地製生産材を調達
・現地資本工場が外資生産材を現地で調達
・外資工場が現地製生産材を現地で評価し調達
といった様々な形態がありますが、いずれの分野でも将来的にはネット通販での調達が増えていくことになるでしょう。生産材のマーケットは大きく、裾野も広いため、この分野のマーケットリーダーは大きな影響力を持つことになるかも知れません。

日本の生産材メーカーが、その事業規模にかかわらず、様々なチャネルを活用して海外に製品を輸出する機会は増えていくことになると思います。そのための貿易実務、国際決済などの知識やノウハウ、そして安全保障輸出管理等の規制対応はますます重要になっていくと思います。