内閣官房
「人的資本可視化指針(改訂版)」(案)に関する意見募集について
投資家は、長期的に成長する企業に投資をすることでリターンを得ます。
そのため、短期的な売上や利益よりも、長期的な視点にたった戦略が投資家の関心対象になっています。
その中でも、非財務指標である「人材戦略」を重視する投資家が増えています。
こういった中で内閣官房に設置された非財務情報可視化研究会が、2022 年に「人的資本可視化指針」を公表し、2023 年には有価証券報告書において人的資本に関する開示が義務化されました。
今回の改訂版では、これをさらに進め、以下のような内容が追加されています。
【経営戦略と人材戦略の連動】
経営戦略と人材戦略の関係を「人的資本への依存と影響」「人的資本関連のリスクと機会」という2つのステップを介してより具体的な形で説明する。
【4つの要素に従った開示】
- ガバナンス:人的資本関連のリスク及び機会をモニタリングし、管理し、監督するために用いるガバナンスのプロセス、統制及び手続
- 戦略:人的資本関連のリスク及び機会を管理する企業の戦略(人材戦略)
- リスク管理:人的資本関連のリスク及び機会を識別し、評価し、優先順位付けし、モニタリングするために用いるプロセス
- 指標及び目標:人材戦略に関して企業が用いている指標及び目標
これらのうち、(人材)戦略」と「(人的資本関連の)指標と目標」に関して、経営戦略と関連付けた開示が投資家から期待されている。
さらに、「(人材)戦略」と「(人的資本関連の)指標と目標」と関連付ける形で、「ガバナンス」 と「リスク管理」の開示を行うことにより、投資家が期待する4つの要素に従った開示が可能になると考えられる。
【人材戦略・人的投資の可視化】
人材戦略・人的資本投資と経営戦略とのつながりについて、比較可能性の高い指標のみならず独自性のある指標について、定性的な説明も適切に活用しつつ、財務人事の両面から一貫したストーリーとして説明することが重要
<所感>
変化が大きい今の時代、一番確実な投資先は、人材であると言えます。
その一方で、人材への投資の結果を何かしらの指標として表すことは難しいです。
そもそも確実なリターンが約束されている投資などないですが、特に人材への投資は、優秀な人材が流出したり、有望な人材を採用してもミスマッチが起こったりします。
また、たとえ売上や利益が伸びても、それが人材に投資したことの直接の効果かどうかも、検証することは難しいです。
そいった中で、「人的資本可視化指針」は、可視化のための明確な方向性を示しています。
パブリックコメントを経て、正式に改訂版が発行されます。
上場企業は当該内容に基づき、開示を進めることになります。
そして、その具体的な内容は、企業によって千差万別と思われます。
この指針に基づき、各業界の特性、企業の特徴を踏まえ、投資家を惹きつけ、かつ自社の成長につながる人材戦略とその可視化の手法を、各企業が考えていくことになると思います。