総務省
情報通信成長戦略官民協議会(第1回)
日本成長戦略会議における情報通信分野の検討を進めるために情報通信成長戦略官民協議会が開催されています。
令和6年1月30日(金)に第1回が開催され資料が公表されています。
興味深い内容盛りだくさんなので一部引用させていただきます。
<DX・イノベーション加速化プラン2030>
人口減少社会においてイノベーションを創出し、経済成長を実現するために
- デジタルインフラ整備計画2030
- デジタル海外総合戦略2030
に基づきDX・イノベーションの加速化に取り組む
<デジタルインフラ整備計画2030>
デジタルインフラの整備方針とその推進方策について以下の内容でまとめられています。
【AI時代の新たなデジタルインフラの推進】
- データセンター・海底ケーブル・AI
- オール光ネットワーク(APN)
- 次世代情報通信基盤・量子暗号通信
【新たなデジタルインフラやデジタル技術の活用を支えるネットワークの構築】
- 光ファイバ
- モバイルネットワーク
- 非地上系ネットワーク
<デジタル海外展開総合戦略2030>
2030年頃を見据え、国際競争力の強化と経済安全保障の確保に向けて以下の重点分野が定められています。
- 海底ケーブル
- モバイルネットワーク
- 非地上系ネットワーク
- サイバーセキュリティ
- 大規模言語モデル(LLM)
- オール光ネットワーク(APN)
- データセンター
- 量子暗号通信
<現状と動向>
【全体概要】
- 世界の生成AI市場は2032年には1兆3,040億ドルと大幅拡大
- 生成AIによって引き出される可能性のある日本の生産額
- 情報通信市場における日本企業の売上高ベースの国際シェアについて概ね10%前後又はそれ以下
- 5G基地局の市場シェアは日本企業は1.7%程度
- 日本企業全体では5Gの標準必須特許の15%程度を保有
【海底ケーブル、データセンター】
1.海底ケーブル
各サプライヤーにおける新規敷設ケーブルの総距離の構成比は
ASN(仏) 41%
サブコム(米)33%
NEC(日) 17%
HMN(中)9%
となっており、HMNは途上国を中心に新規敷設距離を増加
2.データセンター
- 世界のデータセンター事業の市場規模は2025年は1,192億ドルのところ2030年には3,087億ドルに達する見込み
- 市場シェアは米国、ついで中国がシェアトップを占め、日本ではNTTグローバルデータセンターが第5位、KDDIが第16位
【オール光ネットワーク(APN)】
- オール光ネットワークは電気ー光の変換を極力なくし、低消費電力・低遅延・大容量な次世代情報通信基盤を実現する技術で日本企業が優位性を持つ
- APNイノベーションハブの構築を行うことでオール光ネットワーク分野の事業化サイクルの加速化を図る
【AI】
- AIへの民間投資額は日本は14位(約9億ドル)。1位の米国は約1091億ドル、2位の中国は約93億ドル
- 人工知能基本計画:イノベーション促進とリスク対応の両立、アジャイルな対応、内外一体での政策推進
【量子通信】
- 計算量的安全性により解読リスクを低減化できる耐量子計算機暗号や情報理論的安全性を担保できる量子暗号通信の導入に向けた取り組みが加速している
- 量子コンピュータをはじめとする量子デバイスを量子もつれを保持したまま大規模に相互接続可能とする量子インターネットの2040年頃の実現を目指して研究開発が進んでいる。
- 2040年には量子技術の市場規模が最大1,980億ドルに到達すると予測
- 量子通信市場は2030年には110億ドルから150億ドルに到達すると予測
【光ファイバ】
- 全国の光ファイバ整備率 97.09%
- 人口減少に伴う採算性の悪化と離島・山間地等の地理的条件など光ファイバ基盤の維持が今後課題→第二号基礎的電気通信役務制度を創設
【モバイルネットワーク】
- 世界の携帯基地局市場はグローバル企業3社による寡占状態。日本企業の世界シェア合計は1.3%で国内市場でも厳しい競争にさらされている。
- 2025年度下期以降より順次、携帯電話事業者4社の共通仕様として、新たな5Gピクト表示の実装が進んでいる。
【非地上系ネットワーク(NTN)】
- 多数の非静止衛星を一体的に運用する「衛星コンステレーション」の構築・運用が欧米事業者を中心に進展
- 宇宙通信分野は宇宙活動の中でも特に市場規模が大きく、かつ成長が期待されている分野
- NTTドコモ及びソフトバンクが携帯電話基地局としてのHAPSの利用に向け研究開発等を促進、2026年にサービスを開始する予定。
<所感>
通信は研究開発への投資、大規模な設備やインフラへの投資が必要で、米国も中国も国が積極的に推進してきました。
日本ではロケットなどの分野でベンチャーが成長しつつあるものの、プレイヤーの顔ぶれは昔から変わっていません。
新たな先進的な技術を持つ企業群が多数生まれ、裾野が広がることが重要であり、どうやって裾野を広げるか、という戦略も重要と感じます。
新しい産業の創出で、日本ではかつての通産省や大手商社が企業と企業をつなげる役割を果たしてきました。
海外の技術を学び、日本独自の技術を生み出す。
高度成長期のような、日本が技術開発で世界をリードする仕組みが、通信分野でも形成されることを望みます。