環境省・農林水産省
遺伝子組換え農作物の第一種使用等に関する承認に先立っての意見募集
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法)に基づき、遺伝子組換え農作物(ダイズ3件、トウモロコシ4件)について第一種使用等に関する承認手続でパブリック・コメントの募集が行われています。
<カルタヘナ法とは>
2000年1月に採択され2003年11月に締結された「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」を日本で実施するために交付され、2004年2月に施行されています。
カルタヘナ議定書は遺伝子組換え生物の国境を超える移動に焦点を当て、生物多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼさないよう、安全な移送、取扱い及び利用について、十分な保護を確保するための措置を規定しています。
2010年10月にはカルタヘナ議定書の補足議定書が採択され、遺伝子組換え生物等の国境を越える移動により損害が生じる場合に、生物多様性の復元等の対抗措置を講じることになっています。
この補足議定書を日本で実施するためカルタヘナ法の改正法が2018年3月に施行されています。
<遺伝子組換え生物等の使用にかかる措置>
【第一種使用等】
環境中への拡散を防止しないで行う使用等
新規の遺伝子組換え生物等の 環境中での使用等をしようとする開発者や輸入者等は、事前に使用規程を定め、生物多様性影響評価書等を添付し、主務大臣の承認を受ける義務があります。
例えば、遺伝子組換えトウモロコシの輸入、流通、栽培など、遺伝子組換え生物等の環境放出を伴う行為は第一種使用等です。
【第二種使用等】
環境中への拡散を防止しつつ行う使用等
施設の態様等拡散防止措置が主務省令で定められている場合 は、当該措置をとる義務があります。
定められていない場合は、あらかじめ主務大臣の確認を受けた拡散防止措置をとる義務があります。
<標準手順書(SOP)>
遺伝子組換え農作物を輸入、流通、栽培等するためには、その予定者はカルタヘナ法に基づき事前に申請を行い、科学的見地から評価を受け、生物多様性上、問題がないものとして承認を受ける必要があります。
承認の際の審査・管理の標準的な作業手順に加えて、未承認の遺伝子組換え農作物の混入が疑われる場合における評価や管理措置の手順を定めた、「遺伝子組換え農作物のカルタヘナ法に基づく審査・管理に係る標準手順書が公表されています。
<今回の申請・審査>
バイエルクロップサイエンスから5件、BASFジャパンから1件、コルテバ・アグリサイエンス日本から1件の申請が出されており、学識経験者からは生物多様性影響が生じるおそれはないとした生物多様性影響評価書の結論は妥当との意見が出ており、パブリック・コメント募集の段階にあります。
<遺伝子組換え作物の安全を確保する仕組み>
- 食品としての安全性は「食品衛生法」及び「食品安全基本法」
- 飼料としての安全性は「飼料安全法」及び「食品安全基本法」
- 生物多様性への影響は「カルタヘナ法」
に基づいて、それぞれ科学的な評価を行い、全てについて問題のないもののみが輸入、流通、栽培等される仕組みとなっています。
<所感>
米の品種改良など日本でも生物同士の交配に人間が介入するという行為は長年にわたって行われてきました。
一方で遺伝子組換え作物については、極端な話、植物の遺伝子に動物の遺伝子を組み込んで耐性の強い穀物を創出するといった、従来の交配とは全く異なる技術で作られています。
遺伝子組換え作物は、生物分類上はダイズやトウモロコシでも、遺伝子は他のダイズやトウモロコシとは異なります。
そのため、そうやって新たに創出された作物が、それを食べた人間を含む動物に、どのような影響を与えることになるか未知数です。
一方で、世界的に人口が増える一方で世界の耕作面積は減っており、気候変動で作物も育ちにくくなっています。
遺伝子組換え技術に頼ることになることは避けらないという考え方もあります。
遺伝子組換え作物を排除するのではなく、その安全性を確保した上で受け入れていくという運用になっている中、消費者含め、知識を身につけることは重要です。
食品ラベルへの表示方法も法律で定められているので、その見方など、一つひとつを気にするようにしていきたいものです。