Setting the Table 2026年8月1日

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環境省
Nature-based Solutionsの手引き

地球環境の破壊という、過去直面したことがない人類の最大な課題に対して、様々な解決策が提案されてきました。

カーボン・ニュートラル、サーキュラー・エコノミー、生物多様性の保全、といった大きな概念から、サステナブル投資、ESG経営、TNFD、カーボンクレジットといった民間の経済活動における数多くの枠組みなどを含めると、解決策は数多く存在しています。

2026年7月31日に環境省から公表された「自然を活用した解決策(NbS)の手引き」は、これらハイレベルな位置にある解決策といえるでしょう。

本編では、NbSは、気候変動に伴う自然災害の激甚化や農林水産業への影響、人口減少・少子高齢化に伴う地域経済の停滞や低未利用地の増加、生物太陽性の喪失などの社会課題の同時解決に貢献し、地域住民のウェウビーイングの向上と地域固有の文化や景観などの魅力をもたらすアプローチであるとしています。

そして、NbSの言葉自体は比較的新しいものでありながら、日本では古来より、地域の自然に根ざした暮らしの中で持続可能な自然環境の利用に関する知識が育まれ、生活や防災・減災などのために自然を活用した取組が行われてきたとしています。

その上で、現代における産業も、その多くが自然資本に依存しており、自然資本の劣化は事業活動上のリスクとなり得ると言及しています。

分業化と機械化は大量生産を可能にして、自然資本を破壊と引き換えに私たちは豊かさを享受してきました。

日本を含む一部の先進国がこれ以上豊かになれくらい豊かになった段階で、ハードからソフトへの移行が起こり、データ社会とAIにより、人間の集団生活の定義が変わりつつあります。

この、後戻りできないと言われている大きな社会の流れの中で、この手引きはNbSという基本的な概念を提供してくれています。

以下一部抜粋・引用します。

<NbSを進めるための5つのポイント>

【1.総合的に対応する前提で、社会課題を整理する】

  • 人の健康
  • 食料の供給
  • 水資源の確保
  • 災害リスクの軽減
  • 地域経済の発展
  • 文化・教育・コミュニティ
  • 気候変動の緩和
  • 自然環境の保全

【2.自然の多様な機能を引き出す】

  • 周辺地域の「自然のつながり」も考慮しながら、自然が有する機能を引き出す観点を含める
  • 取組の効果が及び得る範囲・対象についても把握する
  • ランドスケープアプローチ:課題に対応した十分な空間スケールの計画に基づき、自然の状況や社会課題を総合的に捉え、解決を図ろうとする手法

【3.自然環境の保全・再生に貢献する】

  • 取組の対象地やその周辺の自然の状態を適切に把握し、適した保全・再生活動を行いながら、自然が劣化しないように持続的に管理していく
  • 定期的にモニタニングし、その結果を踏まえて順応的に管理する

【4.多様な主体の参画を促進する】

  • 専門家を含めた様々な立場の関係者の参画を促進するとともに、関係者間で相互に学び合い、協働での実践につなげる
  • 地域の課題や自然を活用した課題解決の可能性等について、情報交換・意見交換を行う場を設けることが有効な場合がある
  • 地域循環共生圏:地域資源を活用して環境・経済・社会を良くしていく事業(ローカルSDGs事業)を生み出し続けることで地域課題を解決し続け、自立した地域をつくるとともに、地域の個性を活かして地域同士が支え合うネットワークを形成する

【5.取組の持続性を確保する】

  • 人材・資金を継続的に確保する

<日本版NbS基準>

【総合的に対応する前提で、社会課題が整理されているか】

  • 解決を目指す社会課題の明確化
  • 地域特性を踏まえた社会課題の特定
  • 社会課題に対するNbSの貢献の評価

【自然の多様な機能を引き出す取組となっているか】

  • 取組による効果の認識と評価
  • トレードオフとシナジーの認識と対応
  • 社会的便益が影響する範囲の考慮
  • もたらされる社会的便益の公平な配分
  • 費用対効果の認識と評価

【自然環境の保全・再生に貢献する取組となっているか】

  • 生態系の機能の活用
  • 生態系や生物多様性への悪影響の回避
  • 生態系や生物多様性の保全・再生・創出への貢献
  • 生態系や生物多様性のモニタリングプロセス

【多様な主体の関与が促進されているか】

  • 取組のステークホルダーの特定と関与の機会の提供
  • 性別や年代・肩書を問わない関与の仕組み
  • 参加型の意思決定の仕組み
  • 取組に関する情報の公開

【取組の持続性が確保されているか】

  • 地域の目指す姿やビジョンとの整合
  • 地域性・歴史性の考慮
  • 持続可能な資金・人材等の調達
  • 生じうるリスクの特定と管理
  • 順応的な管理

<所感>

「自然を損なわずに活用する」という営みは、産業革命以後の人間を除いた、すべての生物が行ってきた活動と思いますが、改めてリスト化されると、今の私たちにとってなんと難しいことか、と思います。

そもそも、自然の力で分解できないプラスチック製品などは、NbSにそぐわないと思いますが、プラスチックなしの生活は、現代を生きる私たちには考えられません。

そのように考えると、まずは私たちはNbSを意識することから始めて、不断の努力を続けていく必要があるのだと思います。