厚生労働省
ヘルスケアAX・DX推進本部
政府は本年度、医療DXを日本成長戦略「戦略 17 分野」における「デジタル・サイバーセキュリティ」の対策の 1 つとして位置づけ、官民投資ロードマップの作成を進めています。
それと同時に、カルテ作成、問診、レセプトといった医療・ヘルスケアの各分野でエージェントAIの活用が見込まれています。
さらに、一つの分野にとどまらず、
予防、診断、治療、服薬、介護、リハビリ、在宅支援、事務、経営、創薬、臨床研究を含む
ヘルスケア全体の業務フローに対してバーティカル AI(領域特化型 AI)が活躍することが期待されています。
AIの性能を左右するのはデータの質ですが、日本は毎年の健康診断が法定で義務付けられていることがレセプト・薬価などさまざまなデータが統一したフォーマットで管理されているので、世界に類をみない良質なデータが存在しています。
こういった中で、日本は「孤立した医療データ主権」ではなく、
安全かつ公正 に利活用できる制度・技術・運用を一体で構築することで
戦略的自律性と国際連携を両立させる「開かれた医療データ主権」を目指しています。
データ基盤に基づきAIが駆動するヘルスケア・インフラをランサムウェアの脅威から守り、
予防・医療それぞれに関連するヘルスケアデータを積極的に利活用していく
AI 駆動型の健康・医療基盤への構造転換に向けての動きが進んでいます。
令和8年6月には以下の提言がなされ、厚生労働省が中心となった意見交換が進められています。
- AI 駆動型健康・医療基盤の構築に向けた検討体制の整備
- 医療機関等の緊急のサイバーセキュリティ脆弱性チェック
- 医薬品の安定供給・流通の最適化等
- AI 駆動型の健康・医療基盤に向けた医療データの利活用基盤の整備
- 医療 DX による効果の定量的な評価
<所感>
今の日本には、国民皆保険に基づく医療保険体制や大学の医局が中心となる医学会と開業医からなる医師会によって形成される医師のネットワークなど、社会保障の基盤を構成してきた重要な制度・仕組みが存在しています。
貴重なデータがそれぞれ完結された仕組みで管理されてきたところに、海外が技術的に先行しているクラウド、AI、データセンター、アプリケーションといった新たなデータ利活用の仕組みが現れています。
ヘルスケアや医療の分野には、一人一人の健康を維持し、命を守るというだけでなく、新たなソリューションを提供して収益を得るというビジネスモデルの考え方も介在するようになっており、良し悪しにかかわらず、それが新たな国際競争力の源泉ともなっています。
こういった分野では、市場の自律にまかせるだけでなく、行政が大きく関与することが、国民一人ひとりの命を守ることに直結します。
同時に、国の動向を見定めた上で、基盤を活用することで実現する、「一歩先を行く新たなアイデア」が提供されることも、産業界には期待されていると言えます。