金融庁
成長企業への資金供給の在り方等に関するワーキング・グループ
IMFのデータによると、世界の与信に占めるノンバンク金融機関のシェアは約50%にまで拡大しています。
日本銀行の「ノンバンク部門」の国際比較によると、米国はノンバンクがシェア5割を超えているのに対して日独は2〜3割にとどまっているようです。
さらに、日本銀行の同文献によると、ノンバンク部門の内訳では米独では投資ファンドのシェアが6割程度と大きく、拡大傾向にある一方、日本では保険・年金のシェアが6割以上となっています。
債券市場を見ると、アメリカではノンバンク部門のシェアが5割、日独では4割となっています。特に日本ではかつては銀行部門が5割を占めていた中で、銀行部門のシェアが急速に低下しており、代わりに海外部門のシェアが拡大しています。
ノンバンクは中央銀行に口座を持たず、国際的な銀行規制の管理下になく、預金保険や流動性支援の対象外となっています。
また、将来のキャッシュフローを担保にして資金を借りることで資金供給する仕組みやヘッジファンドのような株式・債券価格の変動に賭ける仕組みはハイリスクであり、リーマンショックのような世界的な金融危機が起きると金融市場全体に大きな影響を与えることになります。
一方で、資金供給元であるノンバンク金融機関の存在は、資金の借り手にとってはメリットが大きく、銀行貸付に頼れない企業や、資金調達のポートフォリオを多様化したい企業にとっては重要な選択肢となります。
このワーキンググループでは、プライベートエクイティ市場、ノンバンク社債法などについて意見が交換されており、公開されている資料の中にはとても重要な内容が多数含まれています。
一部抜粋します。
【金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律(ノンバンク社債法)】
- 1999年、 ノンバンク社債法の制定により貸金業者による社債の発行が登録制度の下で解禁された。登録にあたっては、悪質業者の参入を牽制する観点から最低限の資本金や人的構成を要求。
- 2006年改正資金業法の成立により総量規制や上限金利の引き下げが導入され、悪質業者の退出が進んだ結果、貸金業者数は2005年度は14,236業者であったものが2024年度は1,473業者と約10分の1の水準にまで減少。
- ベンチャーデッドの提供に際し、エクイティ調達のみならず、銀行融資や社債発行等を活用した資金調達手段の多様化を進めることで、調達力や財務基盤の強化を図ることが重要。他方、融資を伴うノンバンク自身がスタートアップである場合、ノンバンク社債法の資本金要件等を満たすことが困難。
【ベンチャーデット】
- 新株予約権付融資/社債等のベンチャーデットは、292億円。デット全体に占める割合は13.2%
- ベンチャーデットが浸透した世界では、コベナンツ、リターン、期間等のパラメータを提供することで綿密にリスクリターンを調整することができ、ランウェイ延長や補助金精算払いまでのつなぎを含む成長支援資金の提供を行うことができる。
- ベンチャーデットの供給は新興プレイヤーが牽引役を担っている
【LBOローン】
- PEファンドが実行する買収M&Aは事業会社が行うコーポレートM&Aに対してバイアウトと呼ばれており、我が国M&A市場において、件数・金額は拡大傾向を続けている
- PEファンドはバンズオンで経営参画し、マーケティングの改善、適切な設備投資の実行、相乗効果のあるM&A、ノンコア資産の売却等を実施し、買収金額の価値向上を行なった上で、当該企業の上場等により投資の回収を図る
- 投資期間中の将来キャッシュフローを返済原資とするシニアローンに加え、メザニンローンを活用することで企業価値向上を見据えた買収資金調達を機動的に行うことが可能
- LBOローンは買収資金だけでなく、当座の運転資金や設備投資資金のためのファシリティが設定され、資金需要に柔軟に対応するためコミットメントラインで提供
<所感>
金利のある世界に戻り、資金の供給側も調達側も活発になってきています。資産のないスタートアップの資金供給源としてだけでなく、資産を活用できていない企業の資産を流動化させるうえでも、資金供給の多様化はメリットが大きいです。
また資金の貸し手が増えることで金融システム全体の流動性が高まれば、長期金利の上昇にも歯止めがかかるかも知れません。
その一方で、金融には深い知識と最新の情報を学び続ける必要があり、Fintechの登場で、さらに新たな技術とそれに対する規制も知る必要が出てきています。
何をするにしても、昔よりも大きな資金が必要な時代となっており、企業の成長には金融の活用が不可欠です。自社に適した金融のプロフェッショナルをパートナーとして持つことが、ますます重要になっていると思います。