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  • Setting the Table 2025年8月30日

    環境省
    環境インフラ海外展開基本戦略

    <環境インフラの海外展開>

    グローバルサウス諸国を
    共創パートナーとして、
    環境インフラを海外展開する、
    という戦略が定められました。

    その戦略の3つの柱は、

    1. 制度的基盤構築
    2. 国際環境インフラ市場の形成
    3. 互恵的パートナーシップの強化

    となっています。

    <制度的基盤構築とは>

    日本は

    • 自然資本を経済に組み込むネイチャーポジティブ経済
    • 温室効果ガスの策定・報告制度

    など環境保全実現に向けた
    様々な指標・目標・報告を制度として持っています。

    そして、それらささえる衛星観測技術等があります。

    すでにアジアゼロエミッション共同体での
    各国の状況に応じた個別の取組も行っています。

    <国際環境インフラとは>

    廃棄物発電、地熱発電などのプラント技術
    地域における官民連携などの仕組み
    について、日本は数々の技術・経験を持っています。

    国の資金を直接投資する手法は限られていますが、
    JCMクレジット取得を目的とした
    政府資金を活用しない民間資金を中心とするJCMプロジェクトを
    活用して、民間の投資を呼び込みます。

    <JCMとは>

    二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism)
    を言います。

    日本がパートナー国で脱炭素技術等を使って
    温室効果ガスの排出削減・吸収実現する
    プロジェクトを実施します。

    そのプロジェクトで削減・吸収された
    温室効果ガスを定量化し、
    クレジットとします。

    クレジットは
    日本のカーボンニュートラル達成にカウントし、
    パートナー国では計上しません。

    つまり、パートナー国で実現した
    温室効果ガスの削減は日本でカウントされます。

    この仕組みによって、
    日本の脱炭素に向けた投資が
    パートナー国に対して実施されます。

    これまでに約270件の事業を実現しており、
    JCM指定実施機関として、
    2025年4月1日に
    JCMA(JCM Implementation Agency)
    が発足しています。

    <互恵的パートナーシップとは>

    国と国の枠組みに限らず、
    資金の循環、
    人材育成含めた
    戦略的なネットワークとなります。

    <所感>

    環境保護は、未然防止が原則となります。

    この未然防止のアプローチでは、
    その費用を負担するのは
    環境への負荷の原因を作っている当事者となります。

    例えば、日本の大気汚染防止法、
    水質汚濁防止法など、
    環境関係の法体系は、
    この未然防止のアプローチを前提として構築されています。

    一方で、この環境インフラ海外展開基本戦略は、
    日本の環境インフラの技術、ノウハウ、そして投資を
    グローバルサウスに提供するというモデルになります。

    これからは未然防止アプローチで培ってきた様々な技術・ノウハウが
    カーボンニュートラル達成という目標達成のために
    国を超えて活用されることになります。

    環境関連企業にとって、
    大きなチャンスと言えます。