Setting the Table 2025年7月17日

金融庁 「金融安定理事会」による最終報告書

金融安定理事会(FSB、Financial Stability Board)は、
1999年設立の
金融安定化フォーラム(FSF、Financial Stability Forum)
を引き継ぐ形で2009年に設立され、
主要国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省
IMF、世界銀行、国際決済銀行、OECD等
の代表が参加する会議体です。

今回、ノンバンク金融仲介に関する
3つの報告書を公表しました。

ノンバンク金融仲介とは
証券会社、
投資ファンド、
保険会社、
年金基金、
その他銀行以外の金融仲介機関
です。

銀行の機能は各国で共通しており、
その前提で国境を越えたネットワークで
安全性や信頼性が担保されているのと
対照的に、
ノンバンク金融機関は
ビジネスモデルもガバナンス構造も
異なるので、
画一的な規制監督対応が困難です。

その一方で、
預貯金、融資、決済等のビジネスモデルだけでなく、
多様な金融仲介が誕生することには
金融市場の拡大と安定化のためには
歓迎すべきところもあります。

今回の金融庁のWEBではわかりやすく
3つの論点のそれぞれに分けていますが、
原文は一つのもののようであり、
ノンバンク金融機関のレバレッジ
についての脆弱性やデータ面での課題
にどのように対応していくか、
ということが主要な論点と思われます。

ノンバンク金融仲介には少ない資金で
大きな取引を行うものもあります。
こういった取引は金融市場への参加者を
魅力を高めていますが、
同時に多くのリスクを孕んでいます。

現金需要が流動的で
突発的に大量の需要が発生した場合、
その需要に対応できないと
金融機関として存続のリスクに晒されます。

銀行においてはBIS規制があり、
自己資本比率8%以上
急な資金引き出しに備えるための流動性規制
レバレッジ比率規制
等が定められています。
これらの規制は、
金融システム全体の安定性を維持するとう観点で定められています。

ノンバンク金融仲介が増えることは、
金融システム全体の安定性そのものが脆弱になる
リスクもあり、それらをデータ面でどのようにとらえ
各国でどのように監督していくか、
ということが各中央銀行の課題となります。

電子マネーが当たり前になり、
オンラインで様々な取引が可能になっています。
金融仲介の裾野の広がりは
すなわち様々な課題が、
一部の金融機関だけでなく、
私たち一人一人の問題にも
つながっていくということを
意味すると思います。