Setting the Table 2025年8月16日

デジタル庁
地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化

この統一・標準化について、以下3点、大きな意味を持つと思います。

1. クラウドへの本格的な移行
2. 何が自治体の基幹業務であるかを明確にしている
3. 手続き業務をシステムに合わせる

<クラウドへの本格的な移行>

クラウド化は効率性の面でもデータ活用の面でも、
必須と言えます。

自治体の業務を遂行する上で不可欠なシステムを
既存のものから新しいものに変更するには、
多大な労力とコストがかかります。
まして、各自治体が受託企業と開発した、
自治体毎のシステムを、
クラウドに移行するということになると、
要件定義から再度行う必要があります。
対応できる自治体と、対応できない自治体との格差が生まれ、
その差は徐々に開いていく結果となります。

その点、クラウド化においては、
デジタル庁がリーダーシップを発揮して、
システムの機能要件や非機能要件を規定しています。
可用性、拡張性、保守性、移行性、セキュリティ等を
各自治体に委ねるのではなく、
デジタル庁が行うことで、期限を決めて
ガバメントクラウドに本格的に移行することを可能にしています。

そしてクラウド化が、
住民へのサービス向上という、
各地方自治体が追及する目的に沿った形で行われようとしています。

<何が自治体の基幹業務であるかを明確にしている>

自治体は膨大な業務があります。
そしてそれらの業務は自治体の職員が組織として運用しています。
それらの膨大な業務を基幹業務、周辺業務、間接業務等に割り振ることは
困難を極める作業と言えます。

一方で、企業において基幹業務システムが一部の業務だけでなく、
そこから派生する様々な業務を効率化させてきたこと、
クラウド化によって、基幹業務だけでなく間接業務含めた
大幅なコストダウンととデータの利活用が
推進されてきたことは周知の事実です。

今回、標準化対象事務は、現時点で20が政令で指定されています。
これらの標準化対象事務はいずれも
データという意味では非常に機密性が高い内容であり、
総務省、法務省、総務省、文科省、こども家庭庁
など各省庁によって標準仕様が策定され、
デジタル庁によってBCP含めたセキュリティ面が
確保されていることは運用面で大きな意味を持ちます。

また政府は匿名加工情報の利活用を進めています。
基幹業務のデータが匿名加工情報となった時、
データの質という面で、
これほど高い情報は存在しないと思います。
その意味でも、基幹業務が何であるか、
を定めたことの意味は大きいと思います。
基幹業務の匿名加工情報が将来、民間によって利活用された時、
大きな産業が生まれることになると思います。

<手続き業務をシステムに合わせる>

自治体には地方自治の本旨、
すなわち
国から独立して自治を行う団体自治と
住民の意思に基づいて地方自治が行われる住民自治
が憲法で定められ、条例制定権など、
自治体独自の運用が認められ、そして期待されています。

そのため、システムの統一・標準化は、
地方自治の本旨という憲法で定められた内容に基づき
推進される必要があります。

このように考えると、
システムの運用は自治体ごとに多様化することも求められると思います。

つまり、システムの統一化と、運用の多様化は
両立されなければなりません。

この点、
今回の統一化は、
以下のデジタル3原則に則った設計となっています。
デジタルファースト
ワンスオンリー
コネクテッド・ワンストップ
つまり、業務そのものを統一化するのではなく、
業務手続きの効率化するための統一化と言えます。

また、ガバメントクラウドへの移行のメリットとして、
システム開発になどについて柔軟に対応
といった内容も挙げられています。

これらのことから、一部の基幹業務について
自治体に共通の内容の手続きを
各自治体の運用に委ねるのではなく、
システムに合わせた運用とすることで、
各自治体の応用範囲を拡大することに寄与する方向になると思います。