厚生労働省
ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」作成ワーキンググループ
ストレスチェックは労働安全衛生法改正により
2015年12月1日から、従業員数50人以上の事業場で
義務化されました。
働く人々のメンタルヘルス不調を防ぐための制度であり、
国が用意した調査票に基づく57項目に回答すると、
職場で抱えているストレスについて
ストレスの要因に関する項目
心身のストレス反応に関する項目
周囲のサポートに関する項目
のそれぞれと合計について評価結果が算出されます。
その結果が医師による面接指導が必要とされた従業員から
申し出があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施する
ことが、企業に義務付けられています。
調査票は57項目だけでなく、簡略化した23項目版や
詳細な80項目版や120項目版もあり、
各事業所の応じたふさわしい形で運営されています。
2025年5月、労働安全衛生法が改正され、
従業員数50人未満の事業場についても義務化されることになりました。
義務化時期についてはまだ明確になっていませんが、
公布後3年以内の政令で定める日
となっているために、2028年までに義務化されることになります。
従業員50人未満の事業場については
衛生委員会の設置義務や産業医の選任義務がありません。
そのため、ストレスチェック実施を管理する人も、
ストレスチェック実施の結果、
メンタル不調のリスクがあるという評価結果になった人を
サポートする体制もない企業がほとんどと言えます。
安全委員会、衛生委員会、安全衛生委員会が設置されている事業場でも、
2015年のストレスチェック義務化の当時は、
導入に向けて体制を構築することが大変でした。
対応できる人員がいない従業員50人以下の事業場で
ストレスチェックを実施する上で、
様々な課題があると思われます。
一方で、ストレスチェック制度はすでに約10年運営されてきているので、
民間のサービスが充実しています。
調査票を紙でもWEBでも提供して、結果を提供し、
産業医の手配まで行うサービスを
EAP(従業員支援プログラム)の一環として
提供している企業がたくさんあり、
そういった企業にノウハウが蓄積されています。
しかしながら本質的なところでは、
ストレスチェック制度の意味や効果を踏まえて、
従業員のメンタルヘルス対策に投資を行う、
ことに、中小零細企業が意義を感じなければ、
制度倒れに終わってしまう危険性があります。
多くの企業の中で浸透してきた健康経営の考え方が、
より裾野の広い企業に広がり、
ストレスチェックの義務化をポジティブに捉えてもらえるような
環境の醸成が重要と思います。