Setting the Table 2025年11月3日

International Labour Organization
The New Social Contract: Towards the Second Summit for Social Development 

国際政治で再びPowerがキーワードとなっています。

Powerが台頭すると、おろそかになるのが、
基本的人権と人間の尊厳です。
これらを確保することを理念として設立された
国際連合は、
自国のPowerを重視する常任理事国の拒否権によって
徐々に機能ができなくなっています。

そういった中でも、国連は
様々なアーティクルを公表することで、
国の枠を超えた、世界中の人々に、
基本的人権と人間の尊厳を維持することの
大切さを訴え続けています。

国際労働機関(ILO)は、
経済活動の意思決定において、
働く人の人権と尊厳を中心におくための
活動を行なっている国連機関です。

テクノロジーの変遷、気候変動の圧力、
民主主義のシフトと社会保障の弱体化が
働く環境を悪化させており、
政策が追いついていないことについて警笛を鳴らしています。

このアーティクルを読んで、
この問題は発展途上国や
経済的な弱者に限った話ではないと感じました。

企業は収益など財務情報だけでなく
サステナビリティや人的資本経営など
非財務指標を重視するように
なっていますが、
実際のところは株主の影響力は
ますます高まっており、
働く側、というよりも
働かされる側の立場はますます
弱くなっていっています。

グローバル化し、
そしてデジタル化した経済環境においては、
弱者にしわ寄せが行く圧力は
ますます強く、そしてますます見えにくくなっていっています。

今一度、この問題に真正面から向き合うことが、
持続可能な社会実現のために不可欠であると感じました。

2025年11月4日から6日までドーハで
Second World Summit for Social Developmentが開催されます。

このILOのアーティクルでは、
このドーハでのサミットが、具体的なアクションのきっかけとなることへの期待が
述べられています。

かつて日本でも労使の対立は大きな問題となりました。
働かされる側の尊厳を軽視すると、
何かしらの新たな社会問題を引き起こされる可能性もあります。

海外に生産拠点を移転する、
外国人を採用する、
といった活動についても、
対処療法としてではなく、
理念に基づく戦略として取り組む必要があると
改めて感じました。