総務省
宇宙通信アドバイザリーボード(第8回)
宇宙戦略基金における技術開発テーマについて会議が開催され、会議資料が公開されています。
【実施方針第二期技術開発テーマの背景(令和7年3月26日実施方針より)】
<宇宙通信サービスの提供者>
- 宇宙と地球の間を繋ぐ通信は遅延が小さい低軌道衛星を用いたサービスの需要が拡大しつつあるが、低軌道衛星コンステレーションの維持・構築には多額の資金が必要。
- 低軌道衛星コンステレーションは海外のオペレータを中心に構築が進んでおり、この状態が続けば、日本の衛星通信を国内事業者がコントロールすることが困難な状況が今後生じるおそれがある。
<宇宙通信にかかる機器等の製造・提供事業者>
- 衛星本体や通信機器に関する需要が高度化している一方で、機器の受注は海外ベンダーに集中している。
【今後の技術開発の方向性】
<地上通信機器の小型化、軽量化、(複数の衛星通信サービス・規格に対応した)汎用化の技術>
- 自動運転等非通信分野での衛星通信の社会実装を促進しプラットフォーマーとしてデファクトスタンダードを獲得
<月と地球間での大容量通信を可能とする地上側通信技術>
- 月面輸送や月面資源探査、月通信サービス等の新たな宇宙産業の創出を促進
<衛星通信に対する妨害・傍受等の技術>
- 衛星セキュリティ市場の需要を取り込み、国際競争力ある衛星関連ビジネスを創出
<高周波数帯の電波の送受信を可能とする技術>
- 将来にわたる衛星通信の持続的な提供環境を構築
<次世代衛星通信を実現する革新的衛星搭載アンテナ技術>
- 国際競争力ある次世代衛星通信サービスを実現
【宇宙戦略基金の5つの技術開発テーマ(令和7年度補正)】
<衛星通信利活用を拡大するための汎用地上アンテナの開発>
- 現状アンテナと通信サービスが1対1対応で搭載性や省スペース性が不足している。
- 汎用化・小型軽量化を実現し、モビリティ分野等での利活用を可能にする。
<月・地球間通信インフラの実現に必要な地上局の開発・実証>
- 世界の月関連市場は2040年までに累計約1,700億ドル(約27.3兆円)に達すると見込まれている。
- 大容量かつ高精度捕捉・追尾等が可能な通信アンテナを備える地上局の開発とこれを活用した月・地球間 の通信サービスの提供開始に向けた研究開発
<衛星を取り巻くセキュリティ技術(電波の妨害・傍受対処技術)の開発・実証>
- 衛星電波に関するジャミング、スプーフィング等の脅威が顕在化。
- 軍事・民生のデュアルユース通信衛星においては秘匿性・抗たん性を確保する通信技術を備えることが必須となる可能性。
<Q/V帯等通信機器の開発・実証>
- 利用される周波数帯が、Ka帯、 Ku帯等の広帯域通信に適した周波数帯に徐々にシフトする中、Ka、Ku帯の周波数資源は徐々にひっ迫し、国際周波数調整も長期間化。
- 多くの通信需要に対応可能な電波 (Q/V/E/W帯)の活用が期待され、国内外で開発競争が激化している。
<次世代衛星通信を実現する革新的衛星搭載アンテナの開発・実証>
- スマホダイレクト通信等新たな通信サービスの進展
- 地上端末とダイレクト通信を行うことで、通信 ネットワークのない地域において、高速なインターネットアクセスを提供可能に。
- アンテナ等の個別のコンポーネントに止まらず、通信システム全体の構成やサービス提供を見据えた具体的な構想が求められる。
【所感】
宇宙産業は市場規模が大きく、成長性が高く、産業の裾野が広く、多様なプレイヤーの参画が望まれる一方で、自動車、建築、重工業、医療等と比較して、一般的な企業にとってあまり馴染みがないと思います。
総務省から公表されている資料からだけでも、参画できるテーマがあることを知る企業はたくさんあると思います。ベンチャーや中小企業含めて、広く宇宙産業への参入を促すための施策も、個別具体的な支援策と同じくらい、重要であると思います。
フュージョン、レアメタルなど素材、次世代半導体、防衛産業などとならんで、日本企業の底力が活かせる分野だと思います。