Setting the Table 2026年2月3日

金融庁 
金融審議会 「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告

令和8年2月3日に第56回金融審議会総会・第44回金融分科会会合が行われました。

2025年12月10日付の暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告について、
非常に分かりやすい説明資料が公開されています。

一部を引用させていただきます。

<規制見直しの概要>

1.根拠法令の見直し

  • 暗号資産の規制法を資金決済法から金商法へ変更
  • 有価証券とは異なる金融商品として金商法に位置づけ

2.情報提供規制

  • 発行者がいる暗号資産については、当該者が資金調達を行う場合に情報提供義務を課す
  • 発行者の資金調達を伴わない場合や発行者のいない暗号資産については、暗号資産交換業者に情報提供義務を課す

3.業規制

  • 基本的に第一種金融商品取引業に相当する規制を適用
  • サプライチェーン全体のセキュリティ対策の高度化等を通じ、利用者財産の管理を強化

4.不公正取引規制

  • インサイダー取引規制を創設
  • 証券監視委の犯則調査権限や課徴金制度を創設

<主な規制等の概要>

【業務管理体制の整備】

  • 取り扱う暗号資産の審査体制、顧客適合性確保のための確認体制、売買審査体制を強化

【利用者財産の管理】

  • 近年の不正流出事案の手口の巧妙化に対応するため、サプライチェーン全体を含めたより包括的なセキュリティ対策を強化
  • 委託先へのサイバー攻撃により不正流出が生じた事案を踏まえ、暗号資産の管理を行うための重要なシステムの提供者に対する規制(事前届出、システムの安全生確保義務)を導入

【責任準備金】

  • 不正流出事案が生じた場合の顧客への補償原資として責任準備金を積み立て

【暗号資産の借入れ】

  • 利用者から暗号資産を借り入れてステーキング等を行う業務に対する規制の導入

【銀行・保険会社における取扱い】

  • 銀行・保険会社本体による暗号資産の発行・売買等は、引き続き慎重な検討が必要。投資目的での暗号資産の保有は十分なリスク管理・態勢整備が行われている場合には認める。
  • 銀行・保険会社の子会社については、今般の金商業規制の下、暗号資産の発行・売買等も可能とする。

【DEX等への対応】

  • DEX(分散型取引所)等への技術的性質に合わせた過不足のない規制のあり方について、各国の規制動向を注視しながら継続して検討

【サイバーセキュリティに関する取組み】

  • サイバーセキュリティは、自助・共助・公助の組み合わせで対処すべき課題。特に業界共助の取組の発展が不可欠であり、当局としても後押し

<所感>

現在の資金決済法を規制法とする制度では、まず暗号資産該当性を判断した上で、暗号資産に該当する場合は暗号資産交換業者又は暗号資産仲介業者に登録する流れとなっております。

つまり、ブロックチェーンを活用した取引を開始するにあたって、資金決済法上の前払式支払手段・電子決済手段・暗号資産のいずれにあたるか、についての判断は引き続き必要になり、暗号資産に該当した場合のみ、新たに金商法の規制を追加で受けるという形になると思われます。

このことは、暗号資産の発行者や交換業者にとっては、新たに守るべき規制が増えることを意味し、同時に日本国内で事業を行うにあたって従うべき法規制が明確になることを意味します。

これによって従来暗号資産を扱っていなかった事業者が、暗号資産の発行・交換・仲介に参入することが予想されます。

一方で、一般消費者にとっては、暗号資産への投資にあたって、悪質な取引に巻き込まれるリスクが低くなります。
少なくとも国内においては、暗号資産を購入・保有する上で、一定の安心感をもった投資ができるようになるでしょう。

同時に、暗号資産に該当しないNFTが、暗号資産と明確に法制度上切り離されることでNFTのビジネスへの活用も活発になることが期待されます。

暗号資産に該当した場合は、パーミッションド・チェーンか、パーミッションレス・チェーンかによって、情報提供義務者が異なります。国内事業者によるパーミッションド・チェーンでの暗号資産の新規発行、国内事業者によるパーミッションレス・チェーンの海外暗号資産の国内取引の拡大のいずれも拡大することが期待されます。

暗号資産に対する法規制は国際的に未整備な中、日本がいち早く整備することによって、世界をリードしていくことになると望ましいと思います。

今月末からJapan Fintech Week2026が開催されますが、どのような発表があるのか、楽しみです。