Setting the Table 2026年2月4日

デジタル庁
第1回デジタル・サイバーセキュリティワーキンググループ

デジタル・サイバーセキュリティは日本成長戦略会議の17の戦略分野の一つです。

戦略分野は官民連携での危機管理投資・成長投資を促進していくこととなっており、令和8年2月3日に第1回デジタル・サイバーセキュリティワーキンググループが開催されています。

公表資料には全体像と各テーマの論点が大変分かりやすくまとめられているので
一部を引用させていただきます。

【クラウド基盤/データ基盤】

  • AI・データを継続的かつスケーラブルに処理・活用できるクラウドプラットフォームの需要は質・量ともに増大。信頼性が高く、安定的なクラウドプラットフォームの確保が経済成長や産業発展、社会サービス維持の制約要件となりつつある。
  • 計算リソースの最適化、低遅延化はもちろんのこと、AIの学習・推論において、個人情報や産業データ等、機微性の高いデータを大量に取り扱う機会が増加していることから、特定クラウドに依存せず信頼性・安全性を確保する観点の技術のニーズも出てきている。
  • AI学習・利用やデータ連携等が容易な形式にデータを精製する技術や分散管理されたデータ資源の連携を信頼ある形で、利用者目線で柔軟に、スケーラブルに実現するためのアーキテクチャ(データスペース)に関する検討が国際的に進展。

【サイバーセキュリティを取り巻く状況】

  • クラウドへの移行、リモート接続、サプライチェーンの高度化・複雑化、AI・IoT製品の普及といた環境変化に伴い、サイバーセキュリティ対策の必要性が一層増加。潜在的な需要が顕在化してくる可能性。
  • 利用実績が豊富な海外製のセキュリティ技術・製品への依存度が高い中、今後増大する需要を見越して、国内のサイバーセキュリティ産業・技術基盤を強化することが急務。

【公共分野のDXの現状】

  • 巧妙化・高度化するサイバー攻撃や大規模災害に対して、政府や地方公共団体のDX基盤のセキュリティをシステムや体制の面で強化し、高い水準の強じん性を確保していくことは、我が国全体の安定的な成長を下支えする上で不可欠。
  • 市場と技術が、個別開発から標準化、オンプレからクラウドへと構造的に変化する中、国や地方においても、セキュリティや耐災害性を向上させながら、AI活用やクラウド型システムの導入・運用により効率化していく必要がある。

【準公共/医療分野におけるDXの現状と課題】

  • 必要な患者の医療情報のデータ連携・利活用を進めるため、全国に医療機関で共有できるシステムやネットワークを整備しつつ、あわせて、医療機関のセキュリティ開発を強化していくことが重要。
  • 一方、現行の病院システムは外部システムともデータ連携しにくいオンプレ型のシステム構成が主流であり、医療機器や部門システムが多様で、ネットワーク構成も複雑化し、セキュリティ対策を含め、各病院の負担が大きくなっている。

【準公共/自動運転の社会実装に向けた現状整理】

  • 海外では自動運転サービスの社会実装が進展するとともに、AIベース技術の開発が加速。国内においても、自動運転の社会実装が開始しているものの、自動運転の用途に応じて、いつ・どの水準で社会実装されるのか見通しが十分に示されておらず、車両・システム開発や、運行体制整備といった供給側の中期的な投資判断が行われにくい状況。
  • 自治体や物流事業者などの需要側においても、社会実装の見通しが示されていないことで、授業側での自動運転の導入判断や自動運転を支援するインフラ整備などの関連投資が進みにくい状況にある。

【ワット・ビット連携】

  • 今後、データセンターが急増する中で、電力系統増強、脱炭素電源の活用が課題。電力系統の先行的な整備を通じた、データセンターの大規模集積と適正立地を促すことで、電力・通信インフラ整備を効率的に行うワット・ビット連携を実現する。

【AIの学習データの枯渇】

  • これまでインターネット上の大量のテキストデータを学習し、性能を向上させてきた生成AIも、昨今では目前に迫っている「学習データの枯渇」が大きな問題となっている。
  • 今後は、全世界で流通するデータの6割を占める企業内データの利活用が産業戦略上の焦点。特に、産業分野の豊富なデータを有する我が国にとってデータ活用のポテンシャルは非常に高く、そうしたデータをAIで利活用しやすい状態(AI-Ready化)に整備することが求められる。

【企業や業界を越えたデータ連携による社会課題への対応】

  • データ連携を通じて新しい価値を生み出す企業間連携の取組を「ウラノス・エコシステム」と名付け、官民で連携し推進。
  • まずは、具体的な取組として、CO2排出量の管理などを実現するための、自動車・蓄電池のデータ連携基盤を構築。この取り組みをモデルとして、今後、化学物質管理などの多分やでの展開や、国際連携を推進。
  • 諸外国による規制や囲い込みの動きに適切に対応し、日本企業が諸外国の制度・PFに依存することなく我が国として対等な関係性を確保するための取組が必要。特に、化学物質管理等の資源循環分野での欧州規制等に対応することが急務。
  • 今後は、新たに製品含有化学物質のトレサビシステム(CMP)構築し、国際相互運用性の確保等を目指していく。

【データスペース技術に関する取組】

  • 信頼を伴ったデータ流通・利用環境としての「データスペース」技術に関する日本発の共通仕様を「Open Data Spaces」と位置づけ、OSSとしての技術開発や国際標準化等を、IPAを事務局としてワンチームとして推進していくことを2025年10月に発表。

【デジタル人材スキルプラットフォームの構築】

  • 個人のデジタルスキル情報の蓄積・可視化により、デジタル技術の継続的な学びを実現するとともに、スキル情報を広く労働市場で活用するための仕組みとしてIPAにおいて、「デジタル人材スキルプラットフォーム」の検討を進め、令和8年度内のサービス構築を目指す。

【サイバーセキュリティにおける新たな脅威の顕在化】

  • デジタル技術の発展と社会実装の進展、地政学リスクの高まり等によりサイバー攻撃のリスクが高まっている。直近でも、情報流出、事業活動の停止、サプライチェーンへの被害など重大な事案も発生。

<所感>

デジタル・サイバーセキュリティの政策実現のためには、各専門分野にたけた人材が不可欠です。

日本はそういった人材が潜在的に豊富と思いますが、アメリカにおけるシリコンバレーのような所属・組織・目的を超えて高めあい、尖ったアイデアに自然にお金が流れるような環境が存在していません。

一方で、大企業内部においては、その意思決定プロセスにおいてアイデアは無難なものに向かわざるを得ず、海外のような細分化された特定の分野でアジャイル的な開発で突っ走るような開発はなかなかできません。

これが、デジタル化において高い技術を持つ日本企業が海外企業に遅れることになった大きな理由と思います。

これまで政府も自治体もイノベーション・ハブのような環境作りにも政策的に取り組んできましたが、シリコンバレーのような環境作りを政策的に作り出すことは難しく、かつての漫画家のトキワ壮や、作家の同人誌のように、仲間同士がそれぞれ集まるのが日本っぽいように思います。

そういった中で、「AI-Ready化」については、日本企業の強みを発揮しながら日本らしいアプローチで実現していった場合、非常に面白いことになると思います。

海外の企業は先に枠組みをつくって、コンセプトを固めて、ユーザーが自然と巻き込まれていくような展開をしますが、日本企業は一つ一つを緻密に検証していくアプローチを取る傾向にあると思います。そもそも日本の産業界には「良質」なデータが豊富に存在しています。これらを横軸でつなげ、さらに日本的なアプローチでアプリケーションにしていった場合、どこにも存在していないすごい技術が創造されるような気がします。

日本成長戦略会議をきっかけに、デジタル・サイバーセキュリティに長けた尖った人材が、そこらじゅうで自然に集まり合うようになると素晴らしいと思います。