Setting the Table 2026年2月14日

金融庁
「FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP)」支援決定案件について

令和7年11月、金融庁のFintech実証実験ハブ内に、決済分野に特化した「決済高度化プロジェクト」(Payment Innovation Project)が立ち上がりました。

令和8年2月13日、2件目の支援プロジェクトが決定しております。

<決済高度化プロジェクトについて>

フィンテック企業や金融機関等が、実験を通じて整理したいと考えているコンプライアンス等の論点について、個々の実験毎に金融庁内の担当チームが継続的な支援を行います。

<1件目の支援プロジェクト(令和7年11月7日)>

【申込者】

  • 株式会社みずほ銀行
  • 株式会社三菱UFJ銀行
  • 株式会社三井住友銀行
  • 三菱商事株式会社
  • 三菱UFJ信託銀行株式会社
  • Progmat, Inc.

【実証内容】

ステーブルコイン(電子決済手段)を複数の銀行グループが共同で発行する場合において、サービス設計に応じた規制対応や実務対応を適法かつ適切に遂行できるか等を検証

<2件目の支援プロジェクト(令和8年2月13日)>

【申込者名】

  • 野村證券株式会社
  • 大和証券株式会社
  • 株式会社みずほフィナンシャルグループ
  • 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 株式会社三井住友フィナンシャルグループ

【実証内容】

社債、株式等の振替に関する法律に基づく振替が行われている有価証券について、ブロックチェーン技術を活用した権利者の移転を適法かつ適切に遂行できるかについて検証するとともに、権利者の移転に係る取引とステーブルコインを用いた決済との連動について実務上の対応

<所感>

ステーブルコインは円やドルなどの法定通貨と連動する安定的な決済手段という側面と銀行の決済システムを経由しなくてもインターネット上でP2Pで決済できるという側面があり、次世代の国際的な決済手段として高い潜在性があります。

一方でステーブルコインが無秩序に存在すると、各国による法定通貨を前提として構築されている国際決済システム、国際金融秩序の安定性・安全性を脅かすことになります。

日本では、ステーブルコインは資金決済法上で規制されており、法定通貨による債務の履行等が約束されている場合は、電子決済手段となり、そうでない場合は暗号資産となります。

1件目の支援プロジェクトについては、明確に電子決済手段と記載されています。つまり、銀行が発行しますが、銀行によって特定に者に対して中央集権的に管理されるデジタルマネーではなく、不特定の者と相手方として流通し得るものを意味していることが分かります。

2件目については明確にはなっておらず、法定通貨による債務の履行が約束されているかどうかも記載されていませんが、もし法定通貨による債務の履行が約束されていなくても、社債、株式といった財産的価値をもつ有価証券の決済に使用されるので、1号電子決済手段でなくても4号電子決済手段として指定される潜在性をもったものと思います。

また、2件目については、有価証券の権利の移転を、ブロックチェーン技術によって行うという大きな意味を持っており、決済における利便性だけではない、ステーブルコインの特徴も活用することになると思われます。

いずれにしても、日本において、金融庁の支援のものと、大手銀行グループによるステーブルコインの実証が進められているということは大きな意味を持ちます。

日本銀行はCDBC(中央銀行デジタル通貨)のパイロット実験を進めていますが、民間銀行によるステーブルコインの動きも連動していくと、デジタル決済の景色が大きく変わっていくと思います。