国土交通省
建設用3Dプリンタによる造形物の出来形及び品質の確認に関する参考資料(案)
建設現場においてセメント系材料を用いた建設用3Dプリンタの適用事例が増えているとのこと。
出来形の確認方法が確立されている型枠に材料を打ち込む施行方法と異なり、
3Dプリンタの場合の品質管理項目が標準化されていないとのことから、
品質管理のための参考資料が国土交通省から公表されています。
【品質管理項目が標準化されていない背景】
- 3D プリンタは、各社固有の仕様であり、プリンタに適合した材料を使用し、その種類、配合等も異なる。
- 適切に積層するためのプリント条件もプリンタの仕様、使用材料、プリントする環境に大きく依存する。
- 3D プリンタによる造形物が所定の要求性能を満足しているかどうかを、使用する材料やプリンタの仕様等で一律に規定することは困難であり、今後も各社個別の協議が必要となる。
【3Dプリンタの種類】
材料押出方式:材料をプリンタの先端にあるノズルから一定量を吐出し、一層ずつ積み重ねて構造物を造形する方式
材料吹付け方式:セメント系材料を組み立てた鉄筋に吹き付け、両者を一体化させる方式
これまでの直轄土木工事での実績は材料押出方式のみ
【受注側が3Dプリンタの適用を希望した場合に発注者が注意すべき事項】
- これまでの直轄土木工事の施工事例は、従来無筋コンクリートとして製造されてきた構造物・部材、あるいは鉄筋コンクリート構造物の埋設型枠への適用に限定されている。
- 3Dプリンタの材料は粒径の大きな骨材が含まれておらず、単位体積あたりの骨材量も少ない。
- 3Dプリンタの材料は高価な場合が多い。
【出来高・品質確認の留意点】
- 造形物の表面には積層模様が生じる
- 層状に積み重ねることにより、同じ材料を型枠に打ち込んで製造した場合とは圧縮強度に差が生じる場合がある
- 造形物を公正する積層方向に由来し、方向によって材料特性が異なる性質(異方性)を持つことが想定される
- 積層プロセスが造形物の品質に影響を与える
- 現状ではJIS規格のような品質保証制度が確立されていない
【プリント原材料の品質】
プリント原材料とは、プリント材料を構成するセメント、水、骨材、混和材料等の各材料のことであり、3Dプリンタを用いた造形物の製造者は各材料の品質を確認しなければならない。
【プリント材料の品質】
プリント材料とは、プリント原材料をミキサでねり混ぜたもののことであり、3Dプリンタを用いた造形物の製造者はプリントするプリント材料が適切に造形が可能か、造形物が所定の品質を満たすかを試験等により確認しなければならない。
【積層プロセスの妥当性】
プリント速度、打ち重ね時間感覚等のばらつきにより、3Dプリンタによる造形物の品質にもばらつきが生じることが想定され、積層プロセスが許容範囲内に収まっていることを確認することが重要である。
<所感>
土木建築物の老朽化が問題となっている一方で、建築現場は人手が不足しています。
こういった問題を解決する上で3Dプリンタのような新たな技術を活用していくことは重要ですが、歴史が浅いことは品質の検証事例もまだ少ないことを意味します。
下請構造からなる土木建築現場では、こういった新しい技術における品質管理上の論点を、様々な立場の人が相互にチェックしあう仕組みが必要と感じます