金融庁
「海外におけるカーボン・クレジット等の実態把握等に関する調査」報告書
カーボン・クレジット等に係る海外事例と、カーボン・クレジット等に係る海外制度のみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社による調査結果が公表されています。
温室効果ガスの削減量を売買するカーボン・クレジットは、日本ではJークレジット制度に基づき、以下のような運用となっています。
【J-クレジット創出者】
- 省エネ設備の導入
- 再生可能エネルギーの導入
- 適切な森林管理
【J-クレジット購入者】
- CDP・SBTへの活用/RE100の目標達成
- 温対法・省エネ法の報告
- カーボン・オフセット
- SHIFT事業/ASSET事業
- 経団連カーボンニュートラル行動計画の目標達成
J-クレジットには相対取引と入札販売の2通りの売買方法があり、J-クレジット・プロバイダーと呼ばれる仲介事業者を介して取引をする方法もあります。
東京証券取引所でJ-クレジットを取引できる市場も創出されています。
日本におけるカーボンクレジット取引はこれまで諸外国と比べて大きく遅れていましたが、2026年度からの排出量取引制度の本格稼働を契機として、より一層の取引の拡大と多様化が見込まれています。
金融庁では「カーボン・クレジット取引に関する金融インフラのあり方等に関する検討会」を2024年6月から開始し、取引の透明性・健全性の向上において重要と考えられる論点を整理し、2025年6月には報告書を公表しました。
報告書には、以下のような内容が記載されています。
- 情報開示
- 利益相反の防止
- カーボン・クレジットの法的性質・会計上の性質の整理
- 商品説明義務
- 取引仲介者におけるリスク管理
- 登録簿の正確性の確保
- 取引所・決済インフラのリスク管理
- クレジット評価や保険サービスの活用のあり方
- バリューチェーン内の排出削減努力を優先し、クレジットによるオフセットは補完的な手段として検討すること
今回の「海外におけるカーボン・クレジット等の実態把握等に関する調査」報告書では、米国、EU、英国、シンガポールについて、取引の健全性確保と法的・会計上の取り扱い等について整理がなされて、合わせて「カーボン・クレジット取引に関する金融インフラのあり方等に関する検討会報告書」との対比も行なっているので大変参考となります。
<所感>
金融は資本主義経済において、血液のような役割を果たしています。
カーボン・クレジットが金融商品として位置づけられるためには、単なる交換価値だけでなく、産業と産業の間を流れて、それぞれを活性化させるような役割を持つ必要があると思います。
一部の事業者だけでなく、すべての事業者がカーボン・クレジットを意識するような、より上位概念の枠組みが構築されると望ましいと思います。
そういった意味で、国際的な金融市場が発展している米国、EU、英国、シンガポールにおけるカーボン・クレジットの取り扱いに関する情報はとても参考になります。