経済産業省
技術革新と人類社会の未来 中間報告書
経済産業省の若手政策立案プロジェクトが取りまとめた報告書が公表されています。
技術革新そのものを、社会的・政治的な視点から多角的に捉えてまとめられており、新鮮でかつ鋭い内容となっています。
例えば以下のような内容が記載されています。
- イノベーションエコシステムの時代からフロンティア開拓競争に入っており、官民で科学力に投資しなけれ勝てない時代になっている
- 情報科学分野、生命科学分野、材料・エネルギー科学分野の3分野は、複数の分野で今後10年〜20年の間に技術的ブレクスルーが生じる可能性が高く、一つの領域での進歩が他の領域での進歩を生み出す共進化の関係にある。
- 「人間を超える知性の出現」「人間の認知・身体的拡張」「健康寿命の飛躍的延長」「エネルギー・資源制約の克服」の4つの技術トレンド
- 社会的価値の実現に向けては、次世代技術がもたらし得る意図せぬ副作用に対する「ガードレール」を整備するだけでなく、技術や市場、制度の発展方向そのものを積極的に方向づけていくイノベーション戦略が不可欠
- 国際社会における今後の技術革新は、企業主導のテクノリバタリアン的な動きと、安全保障と結びついた国家主導のアプローチが併存しながら進展すると見込まれる。
それぞれの論点について有識者の参加するヒアリング・研究会の議論の要旨及び示唆も掲載されていて、技術革新が社会の変化に与えるインパクトの大きさを感じることができます。
所感として、衣食住が満たされてからは、家庭での消費意欲の拡大や生産性向上のための技術革新がこ行われてきましたが、すでに個人レベルの消費や企業レベルの生産といった次元ではないところにある、社会課題を前提とした技術革新が、これまで同様の競争関係において営まれていることを感じます。
技術革新という論点に、攻めと守りの両面があることは常と思いますが、守りについては、人類のあり方そのものがテーマになってなりつつある点が気になります。
社会が必要としているが故の技術だと思いますが、技術革新で世界標準を手に入れた者が勝者、というような文脈で取り組まれている限りは、技術革新によって失われる物を考えることをさけてはならないと感じました。
技術革新について、国家間の競争ではなく、国際的な強調の枠組みで取り組まれる時代が将来、来ることを期待したいです。