環境省
令和8年度環境デュー・ディリジェンス推進支援事業
バリューチェーンにおける環境への負の影響・リスクを対象とする環境デュー・ディリジェンスに取り組むモデル的な事業創出のための令和8年度環境デュー・ディリジェンス推進支援事業に参加する企業の募集が開始されました。
<バリューチェーンにおける環境デュー・ディリジェンス>
【DD概念の拡大化】
- DDとは、「道理をわきまえた人が、ある立場において、その立場にふさわしい水準と内容で行うべき心配り」を示す用語であり、その立場に応じて払うべき「相当の注意」を意味する
- ビジネス社会でM&Aや不動産取引など特定の取引行動を実施する前に行われるDDは、その取引に付帯するリスク等を評価する調査活動を表す
- OECDガイダンスではDDを「自らの事業、サプライチェーンおよびその他ビジネス上の関係における、実際のおよび潜在的な負の影響を企業が特定し、防止し軽減するとともに、これら負の影響へどのように対処するについて説明責任をはたすために企業が実施すべきプロセス」と定義づけている
【OECDガイダンスが示すDDプロセスの5つの要素】
- 責任ある企業行動を企業方針および経営システムに組み込む
- 企業の事業、製品またはサービスに関連する実際のおよび潜在的な負の影響を特定し、評価する
- 負の影響を停止する、防止する及び軽減する
- 実施状況及び結果を追跡調査する
- 影響にどのように対処したかを伝える
- 是正処置を行う、または是正のために協力する
【OECDガイダンスにおけるDDの特徴】
- DDは予防手段である
- DDには複数のプロセスおよび目的が含まれる
- DDはリスクに相応する
- DDには優先順位づけが必要になる
- DDは動的である
- DDは責任を転嫁しない
- DDは国際的に認められたRBCの基準に関連する
- DDを企業の状況に適合させる
- DDはビジネス上の制約に対処するために適応できる
- DDはステークホルダーとのエンゲージメントから情報を得る
- DDには継続的なコミュニケーションが必要である
【環境マネジメントシステムとDD】
- 環境マネジメントシステムの構築・運用は、企業自らが目的を定めて行うものである一方、DDプロセスは、企業が原因となったり助長したりする負の影響を停止・防止・軽減するという目的を達成するために企業が「相当の注意」を果たすプロセス
- 環境マネジメントシステムが確立されている場合にも、DDプロセスを組み込むことを明確に方針として打ち出すことが必要
【バリューチェーンの把握】
- バリューチェーンは一般的に事業者の生産活動以外に、原材料調達、加工、物流等を含む川上での活動と、得意先における販売・サービスや最終消費者による使用・消費といった川下での活動から構成される
- 直接の調達先とその先の2次、3次サプライヤー等や直接の顧客とその先の間接的な顧客、最終消費者、更には最終処分場で負の影響・リスクが発見される可能性がある
【事業活動と負の影響・リスクとの因果関係】
- 原因となる:自社の事業活動そのものが負の影響・リスクを発生させているケース
- 助長する:意図的でないとしても自社の事業活動が結果的に他企業による負の影響・リスクの発生を促しているケース
- 直接結びつく:直接の契約関係がなくても、ビジネス上の関係先を介した負の影響と企業の製品、サービスまたは事業との関係がある場合
【情報開示】
- DDプロセスの情報は、社内で共有・活用するだけにとどまらず、「実施状況と結果の追跡調査」の適切性の担保のためにも、開示することが求められる。
- 情報の開示場所は、サステナビリティレポート、CSRレポート、統合報告書、アニュアルレポートのような企業が年次で発行する報告書が一般的
<所感>
環境DDは、収益を産まないばかりか、自社がバリューチェーンで抱える負の影響・リスクを対外的に公表するために多大な時間とコストをかけて行うものとなります。
収益などの財務指標よりも、社会的な責任が企業の評価の対象となってきていることはわかるものの、ビジネスを運営していく上で、環境DDまで行える企業は非常にわずかであると思います。
その一方で、その一部のわずかな企業のバリューチェーンには、非常に多くのサプライヤーやユーザーが含まれます。
したがって、いかに中小規模の企業といえども、環境DDとは無関係ではいられない状況になっていくことは間違いないと言えます。
バリューチェンはグローバルに広がっています。自社が調達している原材料がどこで、どのようにして生産されているのか、自社が販売した製品が、最終的にどのような商品となって、誰に、どのようにして使われているのか、その結果、環境や人権に対して負の影響を与えていることはないか?
もしこの問いに対して、少しでも懸念がある企業は、ステークホルダーを探索していく必要があると言えます。