経済産業省
「エンタメ・クリエイティブ産業戦略2026」
経済産業省より『海外売上高20兆円に向けた「ものがたり大国5ヵ年計画」』として、エンタメ・クリエイティブ産業戦略が公表されています。
経済産業省が中心となって、民間や関係省庁の協力を得て構築した戦略とのことで、冒頭からかなりの意気込みを感じる内容となっています。
コンテンツ産業は過去10年で海外売上が1.6兆円/年から6.1兆円へと年率14%で成長しており、「コンテンツ産業はデジタル赤字抑制の切り札となり得る。」と言及しています。
コンテンツ産業への財政支援がアメリカの60分の1程度という反省から、財政支援を拡充していくことを表明しています。
以下、一部抜粋します。
【エンタメ・クリエイティブ産業政策5原則】
- 大規模・長期・戦略的に支援する
- 日本で創り、世界に届ける取組を支援する
- 作品の中身に口を出さない
- 真っすぐ届ける
- 挑戦者を優先する
【IPの価値の最大化と創り手への対価還元を促進する5大構造改革】
- 就業環境整備を通じたクリエイターの質・量両面での拡充
- 価値評価・完成保証といった資金調達環境整備を通じた融資活用による資金確保
- AI環境整備を通じたAI活用・権利保護の両立
- 報酬環境整備を通じた制作会社による成果に応じた報酬の獲得
- IPライセンス取引市場整備を通じた戦略的なIP権利活用の促進
【分野別の官民投資額・経済波及効果】
- ゲーム 2026年投資額 6.5兆円 2033年投資額 19.0兆円 経済波及効果 191.4兆円
- アニメ 2026年投資額 1.0兆円 2033年投資額 2.4兆円 経済波及効果 93.5兆円
- マンガ 2026年投資額 0.3兆円 2033年投資額 0.9兆円 経済波及効果 17.2兆円
- 音楽 2026年投資額 0.2兆円 2033年投資額 1.1兆円 経済波及効果 15.0兆円
- 実写 2026年投資額 0.7兆円 2033年投資額 1.0兆円 経済波及効果 8.9兆円
【IP360】
- IP新規創出支援(スタートアップ支援:創風)
- IP新規創出支援(新規IP企画支援)
- 大規模作品制作支援(一般支援)
- 大規模作品制作支援(ロケ支援)
- 流通プラットフォーム拡大支援
- 開発プラットフォーム構築支援
- 海外展開支援(ローカライズ支援)
- 海外展開支援(プロモーション支援)
- 海外展開支援拠点整備
- 海賊版対策
- 就業環境整備
- 資金調達環境整備
- 市場データ提供
【産業横断インセンティブ】
- 研究開発税制
- 大胆な投資促進税制(特定生産性向上設備等投資促進税制)
- デジタル化・AI導入補助金
- 中小企業省力化投資補助金
- グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金
<所感>
日本のコンテンツが世界中のファンの心を惹きつけているのは、日本市場で育まれた独自の、海外にはコンテンツの面白さがようやく世界中の人々に理解されるようになったからだと思います。
一方、今回の戦略は、まったく真逆のアプローチであり、どちらかと言えば欧米的な内容になっており、目指すところも、スタンスも、方法も、欧米型のやり方のように感じます。
日本のコンテンツ産業が、日本という特殊の環境で育むスタイルから、世界市場を前提として競争力を高めると言うスタンスに大きく変換するということだと思います。
いずれにしても、コンテンツ産業に限ったことではないと思いますが、創り手への対価還元が促進されることは望ましいと思います。
自分の創造したコンテンツがデビューする機会が増えると、それだけクリエイターの母数も増えていくと思います。
今も読み続けられる傑作漫画の著者が若手時代を過ごしたトキワ荘のような、クリエイター同士が刺激しあえるような環境が、さまざまな分野で構築できるといいな、と思います。
また、これまで日本のクリエイターが厳しい環境の中でも諦めずに地道に努力を続けてきたマインドや、高い評価を受けたクリエイターが奉仕の心で後進の育成に取り組んできたような、歴史を経て積み重ねてきた日本的な文化が失うことにならないことを望みます。