World Economic Forum
“The Longevity Dividend: The Business Case for Linking Health and Wealth”
2026年の社会保障給付費は144.1兆円。
GDP比で20.8%となっています。
内訳としては、年金63.7兆円、医療44.6兆円、福祉35.8兆円、
それぞれGDP比9.2%、6.4%、5.2%となっています。
社会保障給付費の財源としては、
保険料、税金、国債等による借金があります。
国立社会保障・人口問題研究所の「令和5年社会保障費用統計」によると、
1990年度と2023年度を比べると、保険料は約40兆円から約80兆円へと約2倍に、
税金+借金は約16兆円から約58兆円へと約3.6倍となっています。
働く世代が減少し、年金受給者が増加する中で、
社会保障給付費、医療費はますます財政を逼迫させるとともに、
これからも高まり続けると予想される保険料負担は、
若者の将来への希望を失わせる原因ともなっています。
一方、WEFとMarshによって公表されたこのアーティクルでは、
長寿社会はむしろ、これからの期待される、予測できる大きなビジネスチャンスであると言います。
今、人手不足を、どのようにAIとロボティクスで補っていくか、という議論が繰り広げられています。
私たちはすでにコミュニケーションの多くを、ICTを経由して行っています。
ICTは情報収集にとどまらず、私たちは判断をAIに委ねるようになりつつあります。
デジタル教科書も2030年度使用へ改正法が成立し、教育にもAIの影響が及ぶようになることは既定路線といえます。
しかしながら、このアーティクルは、この長寿社会におけるビジネス機会の鍵を握るのは、今の時代のキーワードであるAIでもなく、エネルギー変換でもなく、地政学でもなく、カーペットのラグテープ、階段照明、手すりなどの設備、身体活動の増加、補聴器などであると言います。
日本は成長戦略の17分野に370兆円を超える官民投資を想定していますが、カーペットのラグテープや補聴器などにはこれほど大規模な投資は必要ありません。
このアーティクルでは詳細なデータに基づき問題提起をしながらも、健康と富という普遍的なキーワードを分離させることなく、それぞれのテーマに応じて事例をあげながら、ビジネス的なアプローチを、その市場規模とともに提供しています。
気がつけば、私たちは、超高齢社会を社会問題として扱っています。
しかし思い起こせば、長寿社会はそもそも価値のある、素晴らしいことです。
私たちは歴史上ずっと先人の知恵から学んでおり、今も、本人から直接学べること以上に価値のある学びはないと言えるでしょう。
長寿そのものを、財政負担の観点から社会問題とするのではなく、長寿を全うするための社会システムをビジネスの観点から成立させることを、機会とする発想が大切であることを気づかせてくれます。
日本では、日本健康会議、経済産業省、厚生労働省などが、ヘルスケアをビジネスとして考えるアプローチにずっと取り組んでいます。
WEFがデータで示しているように、今こそ、民間部門が動くべきタイミングと思います。